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【浦和vs名古屋】押して、受けての四つ相撲【J1リーグ 17節 感想】

サッカーと赤菱を愛する皆様、こんにちは。
積み感想を消化しつつ、仙台戦が週末目の前に迫っていて少し焦りを感じているくろだです。

今回はJ1リーグ17節の名古屋グランパス戦です。
スコアだけ見れば0-0の静かな試合でしたが、実際に見てみるとリカルド・ロドリゲス監督とフィッカデンティ監督の差し合いであったり、ピッチ内での選手同士の熱い主導権争いを感じることが出来て非常に満足度の高い物でした。

試合を見ながらだだだーっと書いていますが、お互いがどんな打ち手を出し合いながら試合が進んでいったのかの参考になれば幸いです。

スタメン

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【浦和】
後半0分  武田(英)⇆伊藤(敦)
後半17分 山中⇆汰木
後半34分 関根⇆田中(達) 小泉⇆武藤
後半42分 K.ユンカー⇆興梠

【名古屋】
後半29分 相馬⇆長澤 山崎(凌)⇆斎藤(学)

試合雑感

久しぶりに武田(英)が先発に名を連ねましたが、武田(英)がスターターとして出場する際の代名詞のようになっている4-1-4-1ですが、ビルドアップ時には小泉が下がる事によって2-2ビルドアップの様相となり、前線が名古屋守備陣をピン止めする役割を持っている様な序盤でした。
柴戸は文字通りアンカーとして中盤の底を支えつつ、武田(英)と小泉がビルドアップの出口として顔を出しつつ、両サイドバックは早々に深さと幅を取りに上がっていく形が主となっていました。

対する名古屋は、米本・稲垣の2枚が(特に守備局面で)圧倒的な支配力を誇ることで両翼の攻撃力を活かしつつファイナルサードでは柿谷のテクニックを活かせる場面を探っていく、という趣き。

給水タイムまでの間で浦和がシュートまで行けた場面はポジティブトランジションで稲垣・米本の背後を取る事が出来た上で、ユンカーが良いタイミングで顔を出すことが出来た19分あたりのシーンのみ、しかもミドルシュートだった場面で、名古屋の陣形を攻略する事の難しさを感じる時間帯だったと思います。

今シーズンの浦和としては、ビルドアップから相手のプレスを少しずつ剥がしていって、最終的にクロッサーまたはパサーにユンカーとタイミングを合わせる時間を届けたいところですが、中盤で起点を作ろうにも稲垣・米本が前を向かせてくれず、素早く相手陣地の深くまでボールを届けようにも、相馬・マテウスという凶悪な両翼に自由を与えないためのプレスバックを徹底する事で浦和の両サイドバックとサイドハーフが下がってしまために、ポジティブトランジション時に名古屋の中盤の制圧力に屈してしまう、というジレンマをどのように解消すべきか、という課題が立ちふさがります。

唯一の光となりそうだったのが、前半終盤で槙野が持ち上がって裏に抜ける動きを見せた明本へのパスでしたが、これは惜しくもオフサイド。
守備時の厄介さを考えた時に、吉田豊の君臨する右サイドよりは左サイド側の成瀬の方を狙った方が良いよね、という場面だったかと思います。

武田(英)に代えて伊藤(敦)を投入し、基本陣形を4-2-3-1に代えた後半は「浦和がボールを握って押し込むんだ」という意識が見えるものだと思います。
ビルドアップでは鈴木彩艶を含めた3-2で名古屋のプレスと中盤のチェックを分散し、ミドルサードでのトランジションでは伊藤(敦)と柴戸がボールを落ち着かせながら名古屋の陣形を押し戻し、という形で序盤の15分はボールを握る事の効果を見ることが出来たと思いますが、押し込まれても陣形が圧縮される事による硬直化がおきにくく、かえってプレッシャーが強まる所だという印象を受けた時間帯でもありました。
ユンカーに対する吉田豊のアタック、柴戸に対する柿谷のアタックなんかは象徴的だったのかな、と思いますがただの撤退守備のチームではない、という所に名古屋のすごみを感じます。

62分には山中を代えて汰木が投入され、明本がサイドバックに移動しますがビルドアップ時に汰木がハーフスペースとワイドを入れ替えながら局面に顔を出すようになり浦和がシュートチャンスを迎えるシーンが増えるようになります。各ラインを越えていく際に、局面ごとに顔を出しつつ均衡状態を歪ませながらボールポジションに応じて進攻していくプレーぶりは「仕事場を見つけた」というのに十分ですし、ワイドでカットインという大きな武器を持ちつつも消える時間帯が減っていく良い傾向だな、と思います。
もちろん、その動きに応じて幅と深さを取りに行く明本という相方がいてこそ、とも言えますが。

その様を見たからか、フィッカデンティ監督は斎藤学と長澤を投入。柿谷をトップに据えて中盤の支配力マシマシ、ワイドから一突きできるやりも入れるぜ!というイヤらしい采配。ここからはもうどっちが押し勝つか、という様相。
運動量の低下が見られてきた小泉と関根に代えて武藤と田中(達)の投入で推進力を失わないように、という意図はみえたものの直後に斎藤学のシュートがポスト直撃の大ピンチ。これが決まらなくて本当に良かった、というシーンでした。

この後はお互いにボールの差し合いになるも終盤に名古屋に決定的な場面を作られるなど、浦和としては勝ち筋を産み出せずに終戦。勝ち点を分け合う結果となりました。

さいごに

昨年の対戦から考えると長足の進歩と言える試合展開だったと思います。
浦和はボールを持ちながら相手のバランスを崩す為に手を尽くし、名古屋はバランスを維持しながら狙いすました一手を刺すために手を尽くし、お互いに大事にしている所を厚く持ちつつ、対照的な試合展開でしたがその様は四つ相撲のようでした。
四つ相撲の時は相手のバランスを崩すために無謀な仕掛けをすれば逆に自身のバランスを崩して倒れてしまう結果になりますが、今節の浦和はよく堪えて相手の重心を乱そうと色々な仕掛けをしていた様に思います。
交代の手の打ち方しかり、ピッチ内での選手同士の振る舞いしかり、リカルド・ロドリゲス監督の手腕が大きいのは当然としても、ピッチ内の選手たちの資質も大きな比重を占めていると感じさせる試合だったと思います。

まだまだ、名古屋を圧倒する試合運びは出来ず、トータルで考えた時に名古屋の厚い壁に跳ね返された感じもしますが、折り返し後の2回目の対戦の時にどれだけの展開をお返しできるかに期待感が高まりました。
リーグ戦での次回対戦は最終節。
今シーズンの総仕上げとしてお礼参りが出来るかどうか、これからの試合を楽しみに見ていきたいな、と思います。

積み感想の次回はルヴァンカップのアウェー神戸戦。
勝ち抜けを知っているからか、気分良く見ることが出来そうですが、前回対戦とどんな違いが見えるのか、二も注目して見れたら良いな、と思います。

ではでは。

強い気持ち。

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