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【名古屋vs浦和】J1リーグ 第9節 感想【強い気持ち】

お盆シーズン、酷暑が続きますが皆さまいかがお過ごしでしょうか。
僕は、暑さに耐え切れずにクーラー様のありがたみを感じながらグダグダしています。。。
グダグダしがちでしたし、何より大敗を喫した事によるショックも少なからず。
リアルタイムでは見ることが出来ていませんでしたが、ケータイに届く通知を眺めながら「え!?・・・え!?・・・えぇっ!!?」と何か大変な事が起きているんじゃないか、という気持ちでソワソワしていました。
改めて見返してみると、浦和はアグレッシブさを何とか保ちながら精いっぱい戦っている様には見えましたし、2失点目までに立て直す事が出来れば好ゲームになった可能性もあります。

前回の記事では「流れが淀んだ時の復元力」が今後に向けての課題、という話をしましたが今節も復元力が問われ、そして粉砕されたという試合だったのかな、と思います。
今節は2失点目までの流れを中心に、テキストベースで書いていきたいと思います。
感想やご指摘をいただけると大変嬉しいので、是非とも、是非ともよろしくお願い致します。

浦和の今節の動き

名古屋の基本陣形は4-2-3-1、浦和は従来通り4-4-2。

まず、浦和の今節での挙動を確認しようと思います。

左サイドは、ビルドアップ時に山中がハーフスペースに入り、汰木が外に。序盤では汰木が西川からのフィードを受けに裏に走る動きを見せましたが、基本的には汰木がボールを受けることが出来た時にはボールを持ちながら中に入り込む動きの背後から山中が左右のどちらに走り込むかによって相手ディフェンスに選択を迫りながら汰木に仕事をさせる形が基本となっています。
今節では汰木が大きく開いてボールを受けられるポジションを取っていましたが、前田直輝のチェックに中々自由に動くことが出来ませんでした。

右サイドは、武富が前線に収まり3トップの様な形を形成し、サイドハーフの位置に橋岡が上がる事によってロングボールのターゲットとなる形を取っていました。ボールポジションが低かったり、押し込まれた際のポジティブトランジション時などはサイドバックの位置に下がり、武富も合わせてサイドハーフの位置に下がる形を取っています。
ボールサイドが左にある状態では武富もハーフスペースに位置を取る事によってトランジション時に中盤の高い位置でフィルターを形成しようという意図はあったのかな、と思っています。

失点のカタチ

序盤に見せた浦和の動きは非常に期待したいものでありました。
押し込んだ際に相手を押し込み続けるための位置取りやカバーリングを意識して取っていた事が伺えますし、両翼が幅を大きく取って相手陣形を広げようと意識するなど、これまでの浦和には伺えなかった挙動を見せていましたし、実際に柴戸が見せたカバーリングや持ち出し、トップへの縦パスなどは浦和の意欲を感じるのに十分だったと思います。

ただ、問題は浦和のプレス設計でした。
先制を許した場面は、杉本のハンドからのリスタートで相手のゴールキーパーにボールが渡った時点で浦和は2トップと中盤がパスコースを押さえた配置を取ったものの、金崎に当てる形で浦和の中盤とバックラインの間に配球された事により失点を許す形となりました。
この時、降りてくる金崎についていく形でデンが迎撃しようとしましたが、競り合うこともかなわず相手にボールが渡ってしまう事に。
浦和はこの時「前から圧力をかける」という意識が強かった様に思いますが、その意識が裏目に出た形なのではないかと思います。

柴戸が試合後のコメントで制限をかける所の意思統一が出来なかったというニュアンスのコメントを言っていましたが、先制点のシーンについては名古屋のビルドアップ設計をどうスカウティングしていたのか、という部分も問われるんじゃないかというシーンだと思います。
個人の資質としては対金崎としてのデンの迎撃能力とその後の帰陣する際のポジショニングなど、指摘できる部分はありそうですが。
この時の、帰陣の時にどのポジションを取るか、押さえるかというのはセットされた状態を基本にしては対応出来ないものですが、今季の浦和はまだ不安定、アンストラクチャーな状況に置かれた際にセットされて安定した状況を求める傾向があります。

それは、浦和の戦術的ナイーブさに依る所も勿論あるでしょうが、選手側もアンストラクチャーな状況に慣れていない、という事でもあるのだろうな、と思います。

安定を求める事とアンストラクチャーを押し付けるということ

今季の浦和が掲げているコンセプトを表現する為に、と考えた時におそらく誰もがトランジションゲームを志向するのだろうと想像していたと思います。
ルヴァンカップの仙台戦が決定打となった気もしますが、走力を最大限活かし、相手が見せた隙に向かって全力で噛みきりに行く、そんな獰猛さを期待したのではないでしょうか。

現況としては、大槻監督の言葉からも垣間見える通り「バランス」を意識した様な挙動が端々に見え隠れしていますが、それがかえってチームとしての不安定さを増している要因なのではないかと思います。
バランスを考慮するのは悪い事ではないとは思いますが、基本形を念頭に置いたバランスの取り方は、不安定な形から基本形に戻るまでの時間をどう担保するのかという部分に難しさがあり、時間を作るためにエネルギーを多く使う必要があります。
おまけに、工数が増えればその分だけエラーが起きる可能性も高まるわけで、時間を担保できる保証はどこにもないのです。
今節の1失点目の様に、セットしようとしながらどんどんと走り込まれるとセットしようとする動き自体の有効性が薄れていきますし、より中間でいかに対応するか、序盤の金崎とのマッチアップで結果的にファウルとなりましたが、鈴木大輔が見せた様な潰しであったり、より不安定な状況を迎える前に対処してしまう事が求められるのではないでしょうか。

トランジションゲームでの趨勢はいかに相手に不具合、不安定さを押し付けるか、という部分が重要になると思われますが、その目指す先に不安定さに立ち向かうためにセットする、という意識が働く事は本末転倒だよな、と思ったりもします。
やるべきことが見えにくい状況の時は、不安が顔をもたげて安定した足場、自身の立ち位置を確認するために触れられる固い部分を求めがちですが、そこを強い気持ちで前に向かう事で、相手にアンストラクチャーを押し付けて、自由を奪う事が出来るのではないかな、と思います。

またもや、次節直前での感想となりましたが、広島戦では苦しい状況でどれだけ相手に不具合を押し付けるだけの強い気持ちを見せてくれるか、ドキドキしながら見てみたいと思います。

例によってリアルタイムでは見れずに、後追いになってしまいますが・・・

まさか、笑い話として使っていた「強い気持ち」を真面目な顔して書く事になるとは思いませんでしたが、なにはともあれ、第一歩なんだろうな、と少し頭の中が痺れる様な感覚を覚えながら、本記事を終えたいと思います。

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