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【浦和vs神戸】個の力に依らない序列の話【J1リーグ 15節 感想】

サッカーと赤菱を愛する皆様、こんにちは。
オリンピックによる中断期間までに積み感想をどうにか消化したいぜ!シリーズ、遅々としてではありますが神戸戦です。

今回は、個の力に依らない序列の話を含めて書いてみました。
ユニットとしての機能性を考慮しつつ、そうはいってもスペシャルな選手はいるしな、という感じですが今後の浦和レッズがどんな姿を見せてくれるのかを妄想する一助になれば幸いです。

スタメン

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【浦和】
後半0分  武藤⇆小泉 阿部⇆柴戸
後半21分 田中(達)⇆関根 汰木⇆山中
後半45分 K.ユンカー⇆興梠

【神戸】
後半11分 リンコン⇆ドウグラス 山川⇆初瀬 佐々木⇆マシカ
後半38分 郷家⇆増山

試合雑感

序盤は浦和は後ろ3枚でのビルドアップに対し、神戸は前三枚でビルドアップの出口を封鎖しつつ酒井高徳を前に上げて3-4-3的な守備陣形。
浦和はステップを踏みながらの前進を試みるものの、どのエリアに配球しても前後左右からのプレッシャーを受ける形になる事から細かく前進する事が難しい。必然的に相手の守備陣形を間延びさせる為にディフェンスラインの裏への配球を狙うも効果は薄い、という状態。
上手く前進できない浦和に対して、神戸はイニエスタが要所でボールの展開に関わる事でチャンスを創出。

15分を過ぎたあたりから田中(達)が深い位置でポジションを取る事によって神戸の守備陣形が4-4-2然としたあたりから浦和もボールポジションを前に移す事が出来るように。ここから展開としてはお互い均衡を見るが、神戸は浦和のビルドアップに対してハイプレスを敢行するようになったことでビルドアップ時に優位性を前線に届けながら前進する事も厳しい状態に。この相手の配置によって仕掛けが変化していくのは現場判断だとしたら厄介。ここまでは、ゴールキーパーのビルドアップさんカム含めて差し合いの様相が強い。

飲水タイム後のビルドアップに関しては、浦和は2-1ビルドアップを行おうと試みるも神戸側の中央の選手が釣りだされない事からサイドにスペースが生まれず、カットされる。
40分ごろから武藤とユンカーのポジションを入れ替えて、菊池(流)へのプレッシャーを強めていく浦和。コースを切るユンカーではなく積極的にプレスをかける武藤を対面に配置する事で積極的にボールを刈り取る、またはビルドアップの阻害を狙っていく意図は十分に表現されていた様に思います。
これによりイニエスタがサポートに動くようになり、神戸のポジションのバランスが崩れつつあったので、ここで1点取れたら良かったな、という局面だったなと。

後半に入って、武藤に代えて小泉、阿部に代えて柴戸が入った事によって前線のプレスと中盤のプレッシャーの両面で圧力を高める事を選択。
小泉が入る事でボールの循環が良くなり、汰木がクリーンな形でクロスを上げる事が出来た事が直接的な要因ではあるものの、明本の動きの質が依然と比べて大きく向上している事も見逃せない部分。
基本的な配置としては、アタッキングサードでは幅を取るポジションを取るものの、先制点のシーンではインサイドに侵入していった汰木に引っ張られるようにハーフスペースに陣取る動きを見せていた事や、ビルドアップの時のボールの捌き方の判断スピードなど、長足の進歩を見せている印象。

失点してからの神戸はイニエスタが全局面で優位性をどうにか作り上げて周りの選手がプレーするぜ、という飲食店のモーレツ社員ムーヴでどうにかチャンスを作るものの、決定的なチャンスを得る事は出来ずに展開は五分の様相。しかし、最終的に押し込んでコーナーキックの連続からこぼれ球をユンカーが流し込んで大勢が決しました。

さいごに

最終的に勝敗を分けたのは「展開を動かせる選手の数」だったのだろう、という試合でした。
神戸はイニエスタが局面ごとに優位性を作りながら、周りに時間とスペースを供給する事でチャンスを生み出していました、結果として単発になりがちで仕組みとして優位性を作り上げることが出来たか、と言うと難しい試合になったのかな、と。序盤に見せたブロック守備からの囲い込みでボール奪取の流れを維持できていたら浦和の攻め手が狭まっていって浦和としては難しい試合になったのではないか、とも思ったりしました。

浦和は小泉は当然として、ユンカーがボールを持ちながら動かして状況を作ることが出来る事でオープンな展開になりがちな試合でも自軍に有利な状況を維持、または不用意なロストが減る事で配置を取ることが出来るメリットを大いに享受することが出来た試合だったのかな、と思います。現時点で小泉がスペシャルである事は疑いようのない事実ですが、武藤を起用した理由の一つが小泉に類似した機能を期待してのものだったのだろうと推測しています。基準となるセンターフォワードの相方として、プレスのスイッチ、主に右サイドのライン間でハーフスペースで起点となる事(これは西やサイドハーフとの連携が必要ですが)、トランジションにおいてはプレスバック含めた圧縮局面を作りだす事・・・などなどあると思いますが、それぞれを包括して言葉にするなら「展開を動かせる」という一言に尽きるのかな、と。

この記事を書いている段階では江坂選手の加入が決定していますが、小泉とのターンオーバーとしても(役割が整理されたうえで)小泉と共存する配置にしても夢のある選手の加入が決まったな、と。
「展開を動かせる」選手が増える事で自軍に有利な状態でトランジション局面を迎える場面が増えるでしょうし、そうなれば「即時奪回」への道筋が見えてくるのだな、という夢が見れる訳で。
まぁ、これは少し勇み足感ありますのでこの話は一旦納めますが、この話が今後できるようになるのは良い事ですね。

そして、最後に明本のサイドバックについて。
当初は山中のコンディションが・・・?とも思いましたが、今節を経て左サイドハーフとの相性を含めての序列の上昇なのかな、と思える試合でもありました。汰木のインサイドでの仕事に一定の計算が立つようになったことでハーフスペースでの起点を汰木に任せ、大外での推進力と運動量、対人守備のアタックなどの総合力で明本の序列が上がったように思います。
汰木と明本で前線に並んだ時の流動性についてもポジティブなものを見る機会が増えていますし、安定感のある並び、という意味では汰木と明本のセットは魅力的なものになっていると思います。
では、山中が再度序列を上げるにはどうしたら良いのか。
個人的には、山中がインサイドに侵入する「偽サイドバック」的な振る舞いをやめる必要は無いと思いますが、そうであるならばボランチ的なムーヴとしてプレッシャーがある局面で守備をかわして前を向ける、であったりパスコースを作る事の出来るボディアングルだったり、そのポジションでボールを受ける事で優位性を作り上げる事の出来る武器がもっと増えてくると良いのではないかな、と思ったりします。
偽サイドバック的ポジションを取るメリットはいくつもありますし、特にトランジション局面で柴戸や小泉(今では伊藤(敦)や阿部も)の負担を軽減することが出来る可能性に溢れているポジションでもあるからですが、西が見せている様なハーフスペースの住人としての振る舞いが左サイドでも出来るようになった先に、山中を基準にしてポジションを考える余地が大きく広がってくるように思います。

そんなわけで、結果が出ているチーム状態が見せてくれる眩い可能性に目を細めながら次の試合を見ていこうと思います。

次は・・・広島戦です。
参った・・・どんな試合だったか全然覚えていないので、改めて見返してみながら強い気持ちでなんとか書いていこうかと思います。。。

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