見出し画像

【浦和vsFC東京】【浦和vs名古屋】J1リーグ 第29節、第21節 感想【間違いなく、後ろには進んでいない】

みなさま、こんにちは。
前節ではビルドアップの出口にあっぷあっぷという試合になり、足りないものは足りない、じゃあどうする?みたいな問いを突き付けられた気がします。
浦和レッズとしては相手のプレスに負けない強い気持ちと中盤の振る舞い!人数過多なサリーダは不要だぜ!と強弁できればいいのですが現実はまだまだそこまで追いついていない、という状況。
ただ、両センターバックがボールを持ち出してプレッシャーラインを越えようとする動きを見る場面も増え、ライン間にボールを届けるシーンにも仄かに再現性が見られる様になってきています。

その先は?と聞かれると難しい部分があるのですが、それは今シーズンのコンセプトからすると本筋ではないので、まずは強みを伸ばしていこうぜ、という強い気持ちが試されている様にも思えます。

つまりは、トランジションですね。

何回か書いていると思いますが、いかに相手にアンストラクチャーを押し付けることが出来るのか、ミドルサードのサイドに追いやった時にどれだけ陣形を崩される事なくポジティブトランジションに移行できるのか、攻撃時にゴール、またはシュートが成せなかった時のネガティブトランジションで相手を圧迫できるか、という部分でプレーサイクルを回せるか。

そんなシーンがたくさん見たいな、と思う訳です。

そんなことを思いながら、遅々として進めている振り返りシリーズ、今回はFC東京戦と名古屋グランパス戦を見ます。
これが終わればあと3試合、なんとかセレッソ大阪戦に間に合いそうじゃない?
振り返りを終わらせて、すっきりした気分でセレッソ大阪戦に入れそうじゃない?
という仄かな希望を胸に、いきましょう。

FC東京戦 感想

さて、この試合で橋岡がスタメンに復帰。清水エスパルス戦で痛打した頭がやっと回復したのでしょう。中盤は柏木と柴戸がセンターハーフでコンビを組み、長澤と汰木が両翼に。2トップは興梠と武藤が組む事で前線での流動性を高めようという具合でしょうか。

前半早々から、汰木が積極的な仕掛けを打ち、柏木が明確に中盤で展開をコントロールするタスクを担うなど、これまでとは少し違った様相です。
柏木が中盤にスタートから位置する事によってハーフスペースへ置いた起点へのパスルートが作れる形が序盤から見られるように。
FC東京のブロックがハーフスペースへの配球を意識してブロックを調整すれば逆サイドへの配球をチラつかせて押し込む、押し込んだ先には重心を上げて圧迫、狭いスペースなら興梠と武藤が活きるぜ!という形。

ただ、どちらかと言うとFC東京にはボールを持たせたい浦和レッズ。低めのポジションでボールを持った時は割と思い切ってボールを前線に蹴り込んでいる印象があります。ただ、そのスイッチもFC東京のポジショニングが前目に位置している時に限ってのようで、ブロックを整えて構えてきた時にはパスを繋いでのビルドアップを試みます。これはお互いに引き込んでミドルサード辺りでボールを奪いきりたい、という所なんでしょうがボールを早く動かせば早く帰ってくるの法則なのか、浦和は思ったようには優位な場面を作る事が出来ません。

こうなると段々と重心が上がってくるのが今季の浦和ですが、33分のあわやというシーンは相手のバックラインに圧力をかけようと重心を上げて中盤は人に付くような配置を取った所からボールを回収したものの、そのまま圧力を受けてボールを下げた事により最終的に槙野がボールを捌く余裕がなくなり逆に相手にチャンスを与えてしまいます。

ここら辺から、FC東京はビルドアップ時に幅をしっかり取って浦和のプレスを弱体化、浦和に守備をセットさせればネガティブトランジションで回収できる、というサイクルに入ります。
浦和もその流れを嫌って長短のパスを使いながら抜けようと試みますが、実質柏木にボールを渡せるかどうかで成否が決まる、という様相。
前半の最後の方では押し込みますがFC東京はブロックが整っているため前線に人数をかけても混戦からどうにか、以上の局面にはならず。

後半に入ってもFC東京のプレスを嫌って浦和のバックラインも距離を取って位置取りをしますが人にしっかり付かれるため、ロングボール、そこから回収されるという流れは続きます。
狭く使えばトランジションでひっかかる、広く使えば個々人が圧に負ける、というなかなかのジレンマを突きつけられる状況。

辛うじてFC東京がブロックを敷いた時には細かいパスの出し入れや汰木のチャレンジでチャンスになりそうな場面は見られますが、ビルドアップで大きく制限をかけられた時には非常に苦しい。前に人数をかけたい前線と、ボールを持ち出してプレッシャーラインを越えたとしてもその先に届けられる人がいないために結果的に時間を使いつぶす、という悪循環。
永井やレアンドロという強力な前線が控えている以上は取られてショートカウンターを受けるよりはマシ、という選択なのかもしれませんが手詰まり感も色濃く感じさせました。

マルティノスの投入も、どうにか起点となれる人間を置きたいという事だったと推測しますが、FC東京のバックラインの厚さをこじ開ける事は難しそうな雰囲気。起点以前に、中盤でビルドアップの出口をどの様にして作るか、苦しい時の橋頭堡をどの様にして作っていくのかという部分で非常に難しさを感じる試合だったのかな、という印象です。

総じてみれば、横浜FCと同様に構造で負けた、という部分ではまだまだ浦和には戦術的強度が足りないのかな、という。
それは選手の能力に起因する部分は当然ありますし、コンディションの問題も少なからずあるでしょう。
ただ、選手たちが局面でどのスペースに顔を出すべきか、そのために相手をピン止めすべき所はどこにあるのか、という部分を認識しているのかどうか、という部分は考えていかなければならないのかもしれないな、と思いました。

・・・あれ?いつの間にか重苦しい感じが顔をもたげてきている・・・(笑)

名古屋グランパス戦 感想

そんなわけで、これまで継続して見えている課題がいまだ重く目の前に立ちふさがっている事を再認識したFC東京戦を終え、お次は名古屋グランパス戦となります。
前回対戦時は木っ端みじんに粉砕されてしまいましたが、あの時とは違うんだぜ!とリベンジを期待していた一戦です。

顔ぶれは、マルティノスが初のスタメン(ですよね?)として右サイドに。中盤は長澤とエヴェルトン、興梠と杉本が2トップに入ります。
名古屋の相馬と橋岡がマッチアップするサイドはマルティノスの挙動も含めて注目になるのかな、という気がします。

名古屋は川崎フロンターレと同様、高い技術をベースとして主導権を握る展開。早速3分の前田の好機ではポジティブトランジション時と浦和ゴール前でボールの出し入れと列を越える動きで密集地点での振る舞いで優位が取れる事を示します。
浦和としては、川崎フロンターレ戦と同じくトランジションでの振る舞いで後れを取る事は避けたいところ。38分あたりのシーンではプレッシャーを強めにかけて名古屋のビルドアップからパスミスを誘います。

浦和はボールが落ち着いた序盤からマルティノスの突破力を活かした攻撃で惜しいシーンを作ります。マルティノスと橋岡の中と外の関係性はマルティノスが基本的に外を担当、マルティノスに人が付いている場合はマルティノスが中に入っていく事によって橋岡が駆け上がるスペースを作る、という具合だったのかな、と思います。

しばらくは浦和の右サイドからの攻めが名古屋に圧をかけることが出来ていましたが、給水タイム後からは名古屋も守備の配置を変える事によって好きにさせない場面が増える事になります。浦和が左サイドからボールの前進を試みれば、一人は逆サイドに残り浦和の右サイドをケア、残りはスライド、という形。それでも42分の様に興梠が素晴らしいキープからマルティノスへの大きな展開を見せるなど、トランジション時にどれだけボールを持てるか、という部分の差し合いで見ごたえのある前半だったと思います。

後半に入ると、両軍とも裏や体格の展開を狙い合う形に。それにともなって配置が広がってトランジションでのボールキープと展開での出し入れが激しくなっていきます。こういう展開を見越していたからかは分かりませんが、マルティノスはスプリントよし、ボールキープよしとポジティブトランジション時の起点として重要な役割を果たすシーンが増えていきます。
失点シーンではマルティノスをピン止めした先にドリブルで突入された事によって橋岡の対応が若干遅れてしまったのが悔やまれますが、ボールサイドの守備が破綻したわけではなかったのが、失点後の大崩れに繋がらなかった要因なのかな、と思います。

失点後は関根に代えて柏木、杉本に代えてレオナルドを投入しますが、これによりマルティノスが左に、長澤が右に移り、柏木がセンターハーフに入る事になりました。ポジティブトランジション時に興梠と柏木で起点を設けたい、という事なんだろうと解釈しましたが、興梠が中盤まで下がってくるのは相当に無理をさせる事にもなるので、他の方法を模索できないかな、というのはずっと思っている事だったりします。

63分には伊藤を投入し、最初は順脚サイドだったのが70分を越えて逆足サイドに、80分には山中と武藤を投入して同点を狙います。何度か惜しいシーンを演出しますが、84分にカウンターを受けた場面でデンのファウルでレッドカードを受ける事に。
その後も果敢に攻めましたが、名古屋ゴールを崩す事は出来ずに終戦。

総じてみると、前回の対戦と比較すればほぼ互角、ガップリと組み合うことが出来たいい試合だと言えるかもしれません。マルティノスのプレーぶりがスタメンと途中出場でこうも変わるのか、という部分で非常に驚きではあるのですが、勝利への貪欲さがそうさせるのかもしれませんね。
それまで、途中出場での見方によってはセルフィッシュであったり状況判断が弱いとみられがちなプレーが多かった印象からは相当いい方向に印象が変わりました。

さて、お次はサガン鳥栖戦と柏レイソル戦です。
状況としては、1周目の時よりはヤバさを感じないというか、それなりに良い印象を維持したまま試合展開を見る事が出来ている分、随分と気が楽になってきたように思います。
どうやら、なんとかセレッソ大阪戦には間に合うことが出来そうな雰囲気が出てきましたが、果たして・・・

では、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?