【浦和vs札幌】見えてきた光【J1リーグ 第5節 感想】
サッカーと赤菱を愛する皆様、こんにちは。
代表ウィークまで続く週2連戦シリーズも終盤戦となりました。
中2日の浦和と中6日の札幌で疲労度の違いが大きく出るのでは、というトピックと今シーズンも意欲的にプレーをするミシャ・コンサドーレに対して浦和がどの様なプレーを見せることが出来るか、というトピックで注目の試合はドローとなりました。
試合後のコメントからも伺える通り、浦和は疲労度やスカッドの状態を見ながらある程度「割り切った」部分もあった事を明らかにしていました。
(↓有料ですが、こちらを参照させて頂きました)
しかし、そんな状態でも浦和の今後に向けて非常にポジティブな部分が見えた試合でもあり、ようやく浦和の新シーズンが始まりそうな予感もしてくる試合だったと思います。
これまではプロローグだったんや。
(プロローグ完成の為に川崎Fにボロ負けして復活を期する、みたいなストーリーが頭をよぎってかき消す動き)
今回も、こちらでは試合の雑感を、SPRTERIAさんの方ではその雑感とデータの距離を測っていこうと思います。
雑感との距離が近いデータを持ち出しがち問題は、その内どうにかしようと思っています、頑張ります。
スタメン
【浦和】
後半8分 関根⇆田中(達)
後半19分 小泉⇆伊藤(敦) 汰木⇆大久保
後半44分 明本⇆武藤
【札幌】
後半32分 駒井⇆高嶺
後半36分 L.フェルナンデス⇆青木
後半42分 深井⇆岡村
試合雑感
スタメンはセンターハーフに小泉と金子、前節で強めの接触があった影響で右サイドバックに阿部が入る布陣。
前線で明本と杉本がコンビを組むのはもはやお馴染みな雰囲気すら漂って来ています。
金子のスタメンは少し驚きでもありましたが、前節まで奮闘していた伊藤(敦)の疲労を考慮した訳でもなさそうです。おそらく、センターハーフに小泉を起用する際のチョイスとして攻守の能力のバランスを取ろうという事なんだろうと思いますが、前節での金子のパフォーマンスが今節でのスタメン起用を後押しした側面は強そうかな、と思います。(柴戸頑張れ)
札幌はチャナティップを負傷で欠き、ゴールキーパーにはJリーグデビューの中野が入りました。
試合後会見を読んだ後だと、改めて浦和はビルドアップ時にしっかり繋いでプレーをするというよりはプレス回避の方に比重を置き、積極的に前線をターゲットにロングボールを配球する事を選択したのだと感じます。
浦和はボール保持時は左サイドの山中が上がり3バック的配置を取りながら小泉と関根が前線への配球後のセカンドボール回収に備える様な形。結果として明本の1トップ、杉本と関根の2シャドーの様な配置になりますがタスクとしては関根がハーフスペースから開いて外寄りでボールを受けてエリア内への侵入orクロスを狙うという形でした。
序盤の試合展開は何回か杉本をターゲットとしたボールからのセカンドボール回収で札幌のゴールに迫ろうと動きますが、押上げが間に合わなかったりで札幌にボールを握られる展開が続きます。A.ロペスが積極的にミドルシュートを狙ってくれたおかげで決定的な場面は見られませんでしたが、ボールの保持率で大きく水を開けられる事となります。
飲水タイム時にリカルド・ロドリゲス監督が両翼に高い位置を取って全体を押し上げるんだ、という風に見て取れるジェスチャーをしていた通り、全体的に重心が後ろに寄せられてしまっている展開にはストレスだったのだろうと思います。
少し話がそれますが、今節で後ろからのビルドアップに拘泥しない戦い方を選択した背景にはビルドアップ時にボールをしっかり繋ぎながらスペースと時間を前線に送り届ける戦い方は疲労が溜まりやすい、という事が言えるのではないかと思います。
適切なポジションを取り続ける事を意識するという事は適切なポジションに移動し続けるという事でもあり、4対4レベルのスモールスペースであればポジション移動にそれほどのダイナミックさは必要ないかもしれませんが、フィールドプレーヤーはそれぞれ10人います。
これまでの浦和はビルドアップ時に2-2+小泉を基本として、ミドルサードやサイドへ進出した時は更に1-2-1+小泉のような関係性をもってそれぞれの局面を小泉が繋ぐ、という場面が多く見られました。当然、局面に関わった選手が次の局面に明け渡したところでタスクが切れる訳では無く、前線に出来るだけ人数を送り込もうとした場合、前の局面から何人かはダイナミックに次(またはその次)の局面に移行しなければなりません。
守備やネガティブトランジションといった相手に負荷を押し付けられる局面もある中で、ポジティブトランジションや攻撃時にこのような動きを継続する事は非常に負荷が高い仕組みとも言えます。
平面上での機動力で後れを取った結果は前節の横浜FM戦でまざまざと突きつけられましたし、何よりこれまでの浦和はリカルド・ロドリゲス監督がチームを熟成させる為に選手の頻繁な交換は望んでいないと語っていた通り、ある程度特定の選手に負荷が集中する状況となっている事も今節の状況となる事を助けた側面があると言えるかもしれません。
試合に話を戻すと、ロングパスからのセカンドボール回収やボールの収まりが思うように機能しない浦和は札幌にボールを握られる展開が続きます。
31分には前からプレスをかけてくる札幌に対してロングボールが結実、少し押し込むことが出来た場面がありましたが、今節の浦和としては札幌の前線は引き込んで、中盤に余裕のあるスペースを用意するというのも目的の一つだったのかな、と。
後半に入り、浦和は攻め筋に大きな変更を加える事はありませんでしたが関根の運動量が目に見えて落ち始めます。
ポジションが比較的前に残るようになり、ネガティブトランジション時に関根の周辺からバランスが崩れる場面が目立つように。
その手当なのか後半開始早々8分に田中(達)と交代となります。
後半19分には小泉に代えて伊藤(敦)、汰木に代えて大久保と運動量の低下が見え始めたポジションに積極的に手当てをする交代を見せるのは、今シーズン序盤のリカルド・ロドリゲス監督の用兵からの変節が見られるところでした。もしかすると、川崎F戦に向けての負荷調整という側面もあったのかもしれません。
とはいえ、出場するという事はそれなりのクオリティがあるということでもあり、大久保は何回か積極的なドリブルからチャンスを演出する事に成功。
守備面では飲水タイム時に杉本に指導されていた通り、積極的に前に出てプレスをかけた方が良い場面で出足が鈍かったりもしましたので、もう少し勇気のあるプレーが見られると良かったのかもしれませんが、対面での守備時では素晴らしい反応を見せてくれていましたし、成長の具合というよりはプレスに行く判断の向上によっては汰木のとポジション争いを十分に出来る可能性を見せてくれました。
まとめ
両軍とも積極的に交代枠を使いながら、結果としてドローとなりましたが試合展開としてはポジティブな部分が増えてきたように思います。
まずはシーズン序盤でバックアッパーだった選手たちの現在地がスタメン組と比較してそれほど遠くないのでは、という部分。
金子は初戦のスタメンで考えれば阿部との比較となるポジションだったと思いますが、小泉がボランチに入る形を模索してきた段階で伊藤(敦)や柴戸との比較となる可能性が高まった事、実際に出場した時のボールの受け手として判断に向上の余地はあるものの落ち着いたプレーぶりを見せてくれたことでチームのバランスを損なう選手ではない、との印象を強く残す事になりました。
田中(達)はシーズン序盤は明本との比較となるケースが多かった様に思いますが、その明本が小泉がボランチに入る形を模索する事によって杉本の相方としてこれまで小泉が入っていたポジションへ入る優先度が高まった影響で右サイドでの起用に対して可能性が高まったと言えそうです。
もちろん、もっと頑張って欲しい部分はありますが復帰直後でコンディションが万全ではない関根との比較として考えた時にチームのバランスを崩さない(または崩さない時間が多い)選手はどちらか、という部分で田中(達)が現時点で果たさないといけない責任は小さくないと考えます。
そして、一番の驚きは先ほども触れた大久保ですが、まだ1試合だけの途中出場だけで何かを判断するのは時期尚早としても、積極的にドリブルを仕掛けられる場面でのモビリティを考えた時に汰木よりもインサイドへ切り込む事が出来る可能性を感じるプレイヤーなのではないでしょうか。
プレスのタイミングという点で大久保は遅い場面がある、汰木は小泉との連動性が低い場面が少なくない、という部分で守備時に考慮すべき点がニュアンスの違う形で存在する点は気になりますが、プレスのタイミングと強度の向上具合によっては一気に出場機会を増やす可能性もあると思います。
そして、個人的推しの柴戸にも触れておきたいのですが、現時点で金子と伊藤(敦)との比較となると思いますが、とにかく頑張って欲しい・・・ビルドアップ時の判断やカバー、ポジション移動した先でのタスク消化など越えるべき壁は低くありませんが、柴戸が持っている運動量の多さという側面を活かす事の出来るチームであることは間違いが無いので、ピッチの上で躍動する姿を見る事が出来る日をたのしみにしています。
さて、明後日は川崎F戦ですが、今節までのプレーぶりを見た分ではスタメンに大きな変更はない可能性もあります。
右サイドバックに宇賀神が戻ってくるのか、戻って来ない場合は今節と大きく変更のないスタメンになるのかもしれません。(もしかすると金子か小泉に代わって伊藤(敦)が入るかもしれませんが)
とにかく、今シーズンも猛威を振るっている川崎F相手にどれだけのプレーを見せる事が出来るのか、シミッチ含めた中盤の3人に対して浦和がチームとしてどれだけの対応が出来るのかを楽しみにしていようと思います。
(家長ー山根ラインにサクッとやられてしまう可能性もありますけども)
それでは。
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