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【鳥栖vs浦和】強度と練度【J1リーグ 第2節感想】

サッカーと赤菱を愛する皆様、こんにちは。

J1リーグ第2節の鳥栖戦はとてもタフな試合でしたね。
前節の感想に『強度の高いチーム相手にどれだけのプレーを見せることが出来るのか楽しみ』という感じの事を書きましたが、タフなチームがタフなプレーだけでなくタフな状況を維持させるための仕込みとインテンシティを見せた結果なんだろうな、と思います。
鳥栖はチームとして非常に練度の高い、そして強度の高いチームに仕上がっており、前半を見ている段階で「これは難儀しそうだなぁ・・・」とドキドキした事を覚えています。

そんな第2節を振り返って、感想を書いてみようと思います。
今回も、SPRTERIAさんではデータから体感を検証しながら並行して書ければ良いな、と思っています。(今日は横浜FC戦なんですけどね・・・)

それはそうとして、心情的には仙頭選手のプレーは退場にして欲しかった・・・()

スタメン

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【鳥栖】
後半14分 小屋松⇆本田
後半29分 林⇆石井
後半34分 中野⇆田代 仙頭⇆島川

【浦和】
後半0分  田中(達)⇆明本
後半33分 汰木⇆武藤 小泉⇆武田(英)


試合雑感

この試合は序盤からお互いテンションの高い入りが前半を通して展開されました。
浦和はFC東京戦と同じく、まずは相手サイドバックの裏を狙って幅と深さを取りに行こうという意思を見せ、鳥栖は中盤~前線に人数を送り込む事を意識していた様に思います。
開始5分で迎えた鳥栖のシュートシーンは、浦和がブロックを作って鳥栖のビルドアップを迎え撃とうと構えたところから始まりました。

序盤の浦和の守備ブロックはバックラインの4枚とボランチの2枚を基本として、その周囲の4人(杉本・小泉・田中(達)・汰木)が外を見るという構え。それに対し、鳥栖は積極的に位置的優位を取っていこうという意図が見えた気がします。

前半7分辺りで伊藤(敦)がハンドを取られた場面の配置とボールの動きを見ても、浦和のブロックを切り崩しながら、バックラインとの駆け引きを並行して行う事によって浦和の陣形のバランスを崩す事に成功。試合前のインタビューでキムジンヒョン監督が「浦和はそれほど難しい事をやっている訳ではない」と語っていたとの話がありましたが、浦和のやり方自体を阻害する(≒トランジション時にやりにくい形を強いる)事で、トランジション勝負に持ち込んだとしても浦和の攻撃を単発で終えさせることが出来た、と言えるのだろうと思います。
それでも、浦和がセットプレーやカウンターから強力な押上げを見せる事が出来たのは流石と言うべきかとは思いますが、20分過ぎあたりの展開を見ても、少しテンションの高い試合展開に引っ張られてしまった印象もあります。

結果論ではありますが、インテンシティの高い展開が続く事によるスタミナの消耗は思考を鈍らせる事になりますし、自分の周辺に人数が多くいる状況は脳にかかる負荷も積み重なっていきます。この試合を試金石としてどれだけの継続的負荷にチームが耐えられるのかという閾値を把握するという意味でも大事な試合だったのかもしれませんが。

飲水タイム後、高い位置でリスタートできた浦和は積極的に攻め立てる形を迎えます。田中(達)をディフェンスライン裏に走らせる、ダイアゴナルなパスで杉本をターゲットにクロスを入れる、などセカンドボールを拾えるポジション取りを見せながら迫りましたが決定打にならず。
逆に、31分には危ないミドルシュートを打たれるなど、浦和のビルドアップおよび後ろからのリスタートについても鳥栖の配置によって思い通りにボールを回収されてしまうシーンが目立ちました。

後半に入って、浦和は田中(達)に代えて明本を投入しましたが、前線で起点になれる選手を入れたかったという事と、前半で思うように深さを取ることが出来なかった事が影響していたのではないかと思います。
ポジティブトランジション時に深くまで配球できないという状態ではいくら裏へ速度を持って侵入できる選手がいたところで、ボールが届く事はありません。それならば、そのもう少し手前で起点になれる選手を投入する、というのは理に適っているのではないかな、と思います。

この交代により、明本が中央で仕事をする事が出来るという面に加え杉本がより中盤や左サイドへのビルドアップ時に関われるポジションを取れるようになります。49分辺りのプレーでは、小泉と使いたいスペースが被ってしまいましたが、局所的に優位を取りながら深い位置まで侵入したいのだろう、という場面が見られる事に。

加えて、鳥栖側のゴールキックの場面からも前半は初手のプレスをかわされてからブロックを敷く事を選択した浦和が積極的に相手をハメようと前に出ます。これは一定の効果があったと思いますが、ディフェンスラインとボランチのブロックが鳥栖の前線に引っ張られる形で押し上げる事が難しかったことから、ファーストプレッシャーラインの裏に鳥栖の選手が位置取ることができ、プレスの有効性に対して非常に厳しい状況を作られてしまいました。

そうこうしている内に鳥栖に先制点が生まれ、明本が幅を取る相手の対応に追われながら杉本へのフォローがままならなくなっていきます。鳥栖のやり口、本当にエグイ。

それでも、75分、76分と立て続けにチャンスを得ましたが、どちらも小泉を経由しての攻撃でした。
前後の橋渡しという運動量も強度も要求される仕事をこなし続けることが出来るというのが小泉という選手のスーパーな部分でもあり、中盤にもう一人小泉がいればな、という部分でもあり、という痛しかゆしな所でもあります。

チャンスを逸した直後に武藤と武田(英)を投入しますが、それぞれが両サイドに、小泉がいたポジションと役割に明本がスライドする形となりました。杉本と明本を近いポジションで使う事により、より明確に直接的な推進力を得ようという事だったのだと思いますが、80分に失点し、終戦の様相となりました。

さいごに

結果としては2-0というスコア、試合展開を見ても浦和としてやりたい事と自分が思っている事がほぼ表現できず、小泉が時間とスペースを作ってくれる事でどうにか均衡を保つことが出来た試合なのではないかと思います。

まだリーグでは2戦ですが、現段階では浦和レッズの狙いとしては

1-1.相手のサイド奥深くへの配球を通じた深さの確保
1-2.深さを確保することで中盤にスペースを確保
1-3.素早い押上げで相手の前線よりも早く優位性を確保する
  これがかなわない場合に
2-1.後方からのビルドアップ(CB2+DH)
2-2.相手のプレスの裏に小泉、その奥に杉本(or右WG)
2-2-1.右サイドからクロスを上げる場合はハーフスペースに小泉が控えて回収
2-3.左サイドを使う場合は山中と汰木が前後を入れ替えながら

というのが基本線になっている様に思います。
鳥栖戦ではこの2段構えをそれぞれ破壊されてしまい、非常に窮屈な試合展開となってしまいましたが、それぞれがレベルアップしてどちらかが詰まっても踏ん張る事の出来る足場とすることが出来るかどうかが浦和レッズの船籍の安定に繋がるのだろうと思います。

そう考えると、第2節で強度の非常に高い試合に当たることが出来た事を幸運だったということが出来るかはこれからの浦和レッズのシーズンを見ていく事で答えが導けるのかもしれません。
とにもかくにも、週2戦のスケジュールがしばらく続くので、コンディション回復に努めてもらって、どうにか乗り切って欲しいなとも思う訳です。

さて、もうすぐ横浜FCとの闘いが待っています。
今節は浦和レッズがどの様な陣容でどの様な戦いぶりを見せてくれるか非常に楽しみです。

・・・そろそろリーグ戦で柴戸の姿を見てみたいな、と思う訳ですが。
思い切って中盤をターンオーバーして柴戸・金子・武田(英)とかやってみたりしませんか?
どうですか?


それではまた!

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