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『マンダロリアン』最終回感想(ネタバレあり)

2/14、スターウォーズ初の実写ドラマシリーズである『マンダロリアン』(全8話)の最終回が配信されました。

毎週欠かさずフォローしてきたんですけども、前回の第7話のラストの絶望感から残り1回でどうオチをつけるのか気になって仕方なかったんですよ。で、ようやくそれが配信され観たのですが、そのあまりにも華麗な47分間に度肝を抜かされたので、鑑賞後の感想をここに記録します。

最終回の基本的な流れ

前回のラストの絶望 → どうするの主人公たち? → 仲間のドロイドIGによる反撃開始 → 旧帝国軍との銭湯 → 危機からの脱出 → 状況整理と今後の動きの説明(次シーズンへのつなぎ) → 脱出劇②〜IGの犠牲 → ラスボス戦 → ひとまずの大団円 → "Cパート"〜新たなる危機

ざっと要約すれば以上のような感じで。状況を握る敵があり、それに対してどう対抗するかを模索しながらリニアに展開していくという、綺麗(まあ普通といえば普通)な流れをとっていくんですけど。

しかし描かれる一つ一つの要素がいいですよ。この要素をどう読み取って楽しむかが「マンダロリアン」の醍醐味なんじゃないかと思うわけです。以下、何がいいかというのを列挙します。

絶望のリアリティ

7話ラストの絶望感について、絶望感を観客が"信じられる"ような敵の強さの描き方が良い。敵であるトルーパー(ストーム、デス)たちの動き、殺陣、演技に隙がないんです。"信じられる"かどうかは、演技のリアリティに強く依存します。これまでスターウォーズは、なんやかんやでジェダイやヒーローたちの超人視点でのお話なので、一般兵のストームトルーパーは強くは描かれてきませんでした(少なくともシリーズの途中からは意図的に)。ところが本作「マンダロリアン」は歴戦の戦士といえど一般的な男女であり、超兵器も持っていない一般人なわけで、彼らからすれば訓練を受けたトルーパーは"普通に"脅威なわけです。で、登場人物たちの演技に隙がないので、その辺のバランスが適切に描かれており、これまでのシリーズではなかなか見られなかったタイプの緊張感があります。他にも、今回のラスボスであるモフ・ギデオンの余裕、「こいつどこまで事態を掌握してるんだ?」的なですね、その底無し感。あとは武装に関する説明台詞もリアリティを底上げするのに効果的でした。

シリーズ通しての関係性

シリーズ通しての登場人物たちの関係性の発展が綺麗でした。特に最終回で大活躍したIGとマンドー(主人公)との関係がいいですね。最初は競争し、殺し合っていた間でした。また第7話で再プログラムされマンドーの仲間になったとはいえ、マンドーのドロイド不信(これは子供の頃にドロイドによる侵略を受けた経験から)が続いていました。しかし死に瀕したマンドーを救うIGの姿勢はその不信感を払拭させ、また終盤には自爆という自己犠牲を見せました。ドロイドだからこそできる機能をフルに活用し、仲間たちを見事に守ったわけです。だからこそマンドーはIGを"相棒"として弔うことができたわけです。

マンダロリアンという生き方から外れることのないシナリオ

マンドーたち生き残ったマンダロリアンは、賞金としてのべスカー鋼を集めてアーマーを作ったり強化してきたのはシリーズの序盤から描かれてきました。この所作は彼ら戦闘民族に深く染み込んでいるんでしょうね。最終回では、武装の最後のピースとも言ってもよいであろうジェットパックをゲットするシーンがありました。そして、そのジェットパックを使って、ラスボスであるモフ・ギデオンとの戦闘に勝利しました。目的達成のために更に強くなっていくというのがマンダロリアンの生き方とすれば、それを上手く利用して今作のラスボスに勝利した、それも慣れない兵装を窮地を救うために使用した、そういう勇気ですね。そこがシビれましたね。

ところどころ気の利いたギャグ

冒頭のスカウトトルーパー2人とか、フェリードロイドが全身を披露したところとか、The Childの力にすがるカルガとか、いいですね。

過去作要素

ジェダイ、ダークセーバー、あとデスウォッチ(?)。それぞれが主人公たちの行動やそれからのシナリオに影響していくわけですが、過去作要素があくまで上品に小出しにされながらも話の方向性に深く関わっているというのが世界観のつながりを改めて実感させられますし、シリーズのファンとして嬉しい。


もっとありますが、時間の関係でここまでです。

とにかく話のまとまりが見事だし、特殊効果の使いどころや過去作要素の出方がドラマとリンクしているし、そのそれぞれにスターウォーズの世界観が見える。それぞれの要素が有機的に活かし合っている。あっぱれなスピンオフシリーズでした。

続編が楽しみですし、スターウォーズの今後の展開にも期待したくなる有意義な作品でした。


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続きを書きました。

感想戦後にプレイヤーまたはコメンテーター(がいたとして)が雑談しているような雰囲気だと思って読んでください。


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