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「牛守り」という仕事
農林水産省「農村プロデューサー育成講座」の
実践コース、京都会場での講演で
滋賀県立大学の地域共生センター講師の上田洋平氏から
「〜守り」という仕事の紹介があり、
それまで自分の仕事を「牛飼い(うしかい)」と呼んでいましたが、
こちらがしっくりくるように感じました。
それ以来、「牛守り(うしもり)」と呼ぶようにしています。
「牛守り」という仕事に惹かれている今の想いをまとめます。
私の日常
「ふるさと」を五感体験で表す、ワークショップで
私の「今のふるさと」を綴った文章がこちらです。
山に囲まれ赤瓦屋根の家が梺に沿って点在し
青い空の下、水田が広がる
まさに田舎のイメージそのものという風景。
「おはよう」と声をかけると鳴き声と共に寄ってくる牛たち。
草を与え頭を撫でるとつやつやの毛並みの奥から伝わる、
生きていることを教えてくれる温かさ。
糞と尿の臭いにまみれながら汗を流し、
機械に乗って堆肥を切り返すと蒸気と共に広がる発酵臭。
食べ終えた牛を離すと放牧場に出ていくのを眺めながら
ほっと一息していると、定刻を知らせるサイレンが鳴り響く。
![](https://assets.st-note.com/img/1678635093956-odxLW5WhZZ.jpg?width=1200)
これが私の日常です。
街で育った私には「サイレンの音」が衝撃で
初めて聞いた時には「エヴァの襲撃か!」って
一人で焦ったことを今でも覚えています。
それを他の方にお話するとお互い爆笑で、
周りの方にはそれが「日常」であったのも
とても不思議な感覚でした。
繁殖農家とは
うちは雌牛を飼い子牛を産ませて大きく育て
肥育農家さんに買ってもらうお仕事です。
牛の助産院に保育園が併設してる感じです。
![](https://assets.st-note.com/img/1678635899544-G6SXTeN5r6.jpg?width=1200)
純粋無垢な子牛たちはやはり可愛く
日頃から「誕生」を喜ぶことができるのは
とても素敵な仕事だと思っていますが、
生き物相手で「死」も含めた「命」に向き合い
年中無休の上に体力仕事。
一大イベントの「お産」は昼夜問わず降りかかるので
夫婦二人だけで続けるにはなかなかハードなお仕事です。
![](https://assets.st-note.com/img/1678635674973-QJi1XBNdfM.jpg?width=1200)
「牛守り」の魅力
主な仕事はほぼ同じ時間に餌を与えるルーティンなので
どうしても作業化してしまいがちですが、
私にとっては良い構想時間になっています。
基本一人作業で相手は牛だけなので歌って気分転換や
独り言で課題を整理しながら楽しい妄想に耽ります。
また、作業ノルマは明確なので達成感があり、
自分の力量や都合で早く終わらせることもできます。
そして、朝・夕の時間は誰かしら仕事になりますが、
日中は比較的動けるので買い物や勉強、
ランチやお茶には仕事の合間で参加できたりします。
「牛守り」はブジネス
「牛守り」の仕事は「子守り」と一緒です。
日々同じ作業の中から牛の様子を見て、
発情が無いか、風邪を引いてないか、怪我をしていないか、
様々な違いを見極めて、気付き次第対処します。
なので何も異常が無くいつもと同じ「当たり前」を
素直に喜ぶことができるのがこの仕事の魅力な気がしています。
![](https://assets.st-note.com/img/1678635561557-ratpH9UoAb.jpg?width=1200)
「今日も変わらず一日無事に過ごせますように」と願い
毎日をただ純粋に生きるということに
とても幸せを感じてきませんか?
橋本葵
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