見出し画像

20220825

晩夏の海。家から車で30分程で海に着く。瀬戸内海は、四国に至るまで幾つもの島々があって、当日は四国まで薄らと望遠できるほど空気が澄んでいた。まだ陽射しは照りつけるくらいの熱さをもっていたが、海から吹く潮風は、確かに初秋の匂いだった。大した透明度でもない海だけれど、穏やかにただそこのある波と煌めき、空の色を映した青さ。ときに救われる。ときにどうしようもない懐かしさと寂しさと、私は過去にだれかとここに居た記憶を断片的に思い出す。思い出せないが、粉々になった貝殻のように再び戻ることがない記憶。立ち尽くす。潮騒が呼ぶ。強く吹く風が、気が済んだら早く帰れと背中を押す。晩夏の海。光に呑まれる。

この記事が参加している募集

夏の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?