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チェルノブイリ日記 42 ~ 朝の散歩の終わり


興味本位で来てみたけれど

 前回のあらすじ。
 廃屋の外壁に「さようなら、我が家よ」と大きく書かれていました。

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※ 過去の日記はこちらから。

 私がチェルノブイリへ入ることを許可されたのは「取材」という名目だからこそですが、実際のところは「合法的に入れる廃墟」「興味があるから行ってみよう」という感覚でした。

 朝食の後、ホテルの近くに建ち並ぶ廃屋を見て回りました。
 何軒目かの廃屋の外壁に「さようなら、我が家よ」と大きく書かれていました。
 興味本位で訪れたことを後悔した瞬間でした。

 1986年に起こったチェルノブイリ原子力発電所事故まではこの村に人々の暮らしがあったのです。この家から離れたくはなかったはずです。
 よそ者が踏み荒らして良いものか……。

「原発事故で人が住めなくなった街の悲惨さを伝える~」といったもっともらしい文字列を並べ立ててチェルノブイリのレポートを作ることは簡単です。しかし、そうすることにどれだけの意味があるのでしょう。
 何を書いたところで多くの人の興味は「廃墟」でしょうし、生活の跡というものも廃墟を美化する追加要素でしかありません。私がそのような考えであるように……。

 とまぁそんな考えを英語で表現してガイドとディスカッションすることなど出来ませんので黙ってガイドに続きます。

 焼け焦げたような廃屋を横目に……

 崩れた廃屋を横目に……

 この廃屋はかろうじて建っていますね。
 いや、それよりもこの手前の木って廃屋になってから生えたものですよね。自宅の出入口にこのような大きな木が生えていたら邪魔で仕方ないですものね。
 何度も思いますが、自然の力とはすごいものだなぁ。

 地下室……冷暗所、倉庫、いや、もしかしてシェルター……。
 このような地下へ続く出入口は何度か見掛けました。さすがに入りはしませんでしたが……。雨水や土、葉などが溜まって酷い有様になっていそうです。

 部屋を覗きます。

 酒瓶でしょうか。窓がなくなってからここに置いて行かれたのですよね。
 これまで見て来た建物は人為的に破壊されたと思われる箇所が多々ありました。このなくなった窓も恐らくそうなのでしょうけど、まぁシラフでは出来ませんよね、破壊なんて。建て替えのために破壊するわけではなかったのですし。

廃屋の中へ

 ガイドに続いて廃屋の中へ入りました。外観を撮影する余裕がありませんでしたので最初から内部の写真なのですが……。

 荒れていますね。天井の紙というのか壁紙というのか、何かが行く手を塞いでいます。奥へ進めなくはないのですが、やめておきましょう。

 ここは……?
 廊下の突き当りに窓と、小さなカウンターがあるようです。民家にしては珍し過ぎる造りではないですか。何のために……?
 民家ではなく診療所で、ここは受け付け……が廊下の奥ということはないか? 処方された薬を受け取る窓口だったのかなぁ。それでもわざわざこんな奥に?

 まぁ昔の診療所というのはそういうものだったのかなぁ。日本でも明るくてホテルのような雰囲気の診療所が当たり前になって来たのはここ10年や20年の話ですもんね?

 ところでこの窓にもカウンターはありますね。奥に比べるとだいぶ小さいようですが。

 もしかすると奥の窓の向こうは普通に屋外だったりするのでしょうかね。それでもちょっと変な間取りですよね。

 すっかりお馴染みソファベッド。恐らくベッドも兼ねていたはず。破壊されているのもお馴染み過ぎです。
 チェルノブイリの破壊されたソファベッドをいちいち載せているのなんて宇宙で私くらいのものでしょう。

 マットレスの部分が立てられていました。診療所ではなかったのかな……医師の居住スペースかな?

 先程の謎の廊下とは打って変わって明るい雰囲気です。サンルームというのでしょうか。そこまでではないか。
 天井は崩壊せずに残っていますが足元は何故か歩くのがためらわれる状態になっています。

 謎に泥っぽい屋内。
 この建物の間取りが分かるように撮影しておけば良かったのですが、そのようなことを考える頭はこのときなかったのです。ごめんなさいね。

ホテルへ戻ります

 なんのかんの30分ほどうろうろしていました。そろそろホテルへ戻りましょう。戻って休む間もなく出発するのですけどね。

 向こうに歩いている人が見えます。散歩に出るときも人を見掛けましたが……何をされているのでしょうね。
 ところでホテル……わりと遠い? 今まではあくまで朝の散歩であって、これからがチェルノブイリ3日目の本番なのですよ。朝から体力を消耗してしまっているのでは……。

次回予告

 プリピャチの街を散策します。

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