チェルノブイリ日記 52 ~ エネルゲティック文化会館の体育館
エネルゲティック文化会館の体育館
前回のあらすじ。
「エネルゲティック文化会館(Палац культури «Енергетик»)」の体育館に着きました。
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※ 過去の日記はこちらから。
エネルゲティック文化会館の中にあるスポーツ施設だと思いますので厳格には体育「館」ではないと思うのですが、便宜上そう呼ぶことにします。
床に白く円や直線が描かれています。何のコートだったのでしょうね。
ちょっと分かりにくいのですが赤と白で塗られたゴールです。ハンドボールでしょうかね。
ゴールネットはどこへ……。わざわざ外して持ち出したの? 謎に労力を掛けて中途半端に破壊することはチェルノブイリですっかりお馴染みですがそのエネルギーに感心します。
原発事故が起きた土曜日の昼間にハンドボールの試合が行われていたのかなぁ。誰が試合をしたのか、誰が勝ったのか、誰が応援に来ていたのか。
窓……枠しか残っていませんが、窓だったところの向こうに観覧車が見えます。
今は大きく育った木の存在感が大きいのですが、原発事故が起こる前は眺めの良い場所だったのでしょうね。
ちなみに観覧車はエネルゲティック文化会館の北側にあります。
しかし本当に森の遊園地という雰囲気ですよね。
いつの日かあの観覧車を修繕して動かしましょうと企画する人が現れることもあるのかも知れませんが、眺めは良くなさそうですね。周りの木を切り倒しちゃう? まぁそこまでする酔狂な人はいないでしょうけども。
ちょっとうろうろしてみましょう
さて、ちょっとうろうろしてみましょ……足元に割れたガラスが! 気を付けて。このガラスはあの窓だったものなんでしょうかね。それにしては破片が少ないかな?
しかし、もしあの窓ガラスだったのだとしたら、ガラスを窓枠から外してコート側に倒してバリーン! みたいな様子を想像してしまいます。危ないけど楽しそうですよね。
近年は破壊をアミューズメントとして提供するお店だってありますものね。廃棄される家電や家具などを集めて来てお客さんに破壊を楽しんで貰うというの。
プリピャチの街から出て行かないといけないというストレスや哀しみ、ヤケっぱち感から破壊しまくったのかも知れません。あくまで想像ですが。
何やら文字が書かれていますね。
イケメンの後ろ姿……。
イケメンが通り過ぎるのを待ってもう1枚。まぁ今になって思えばイケメンをもっと撮っておくべきだったのですが……。チェルノブイリを訪れたのが2013年で、そのときはまさかロシアに侵攻される日が来るとは考えてもいませんでした。イケメンはどうしているのか……。
さて、この文字はどういう意味なのでしょう。Google翻訳によりますと左から「勇敢」「強い」「機敏」とのことでした。
趣味の運動、楽しむ運動というよりは国策としての運動、やらされる運動というイメージを抱いてしまいます。
出た、落描き! しかも犯行声明というのかご丁寧にドメインまで書いて。
プリピャチのドメインをわざわざ取得するような人間がどうして落描きなどしてプリピャチを汚すのでしょうね。
こちらにはチェルノブイリ名物、座面のない限界椅子が佇んでいました。腐った床、剥がれて中が見える壁もすっかりお馴染みです。
しかし……よく見ますとこれで完成形のような、綺麗な姿ですね。座面など元からなかったかのようです。
いやまぁそんなはずはないのですが、でもどういう座面があったのでしょうね?
2013年の私はまだ写真に芸術を求めていた頃だったんです。まぁもちろん私の写真に芸術性などありませんし、現代における写真の芸術性というのは加工や演出の上手さだと思いますので私が求めていたものはベクトルがずれていたんですが、なんとなく限界椅子の写真を何枚か撮ってみたりしていました。
いくつかある「写真の価値」の中に「もう撮れない写真」という点があります。例えば解体された建物、子供だった頃の写真、事故の瞬間など再現が出来ないものです。
そしてもう1つ、「わざわざ行って撮った写真」という点もあります。行くことにものすごい労力が必要な、例えば高い山の頂上、密林の奥地などです。
チェルノブイリは多くの人とは言わないまでも色々な人が行って写真を撮っていますし、例えばこのエネルゲティック文化会館もいずれは崩壊するのでしょうけどそれは何十年かもしかすると何百年か先の話でしょうし、まぁ何が言いたいかというと私が限界椅子を何枚も撮ったところでということです。
しかしこの広いコートに椅子が1脚だけというのも不自然な気がします。選手や観客が座るための椅子だったならもっと必要ですよね。監督専用の椅子? うーんそれもなぁ。あ、監督への恨みを込めて椅子を破壊したとか……。いやまさか。
久し振りのフリーダムなガイド
わりと綺麗に見える靴が置かれていました。
私のような後年の訪問者が撮影のために置いたのでしょうね。演出の一環です。
ところで……向こうを見ますと天井から何かが垂れ下がっているようです。スマホの画面でご覧の方は写真を拡大してみて下さい。
いや、次に載せますのでしなくても良いですが。
ロープや……。これを上り下りして身体を鍛えていたのかな。
調べてみますと広背筋などが鍛えられるとのことです。
ガイドぉおォオオオォ!
まぁこうなりますよね。
忘れてた、このガイドはフリーダムな人だったんだ。
これで天井が崩れて来たらアナタのせいよ……。でも楽しそうで良いね!
次回予告
エネルゲティック文化会館の散策はまだまだ続きます。
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