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ひとり出版社をつくる⑪「タイミング」

ひとり出版社を立ち上げようと、何年も前から意識を高めてきました。

ことしに入って具体的な準備にとりかかり、そして満を持して法人を設立しようというときに、新型コロナウイルスの猛威と時期が完全にかぶってしまいました。

なぜこのタイミングなのか。何か意味があるのだろうか。意味があるのならそれは何なのか。運命なのか。

自問自答しても答えなんて出ませんが、自問自答するしかない日々が続きました。

それでも立ち止まることなく、計画どおりに4月中に出版社を設立する。

これが結論です。考えて考えて出した結論というわけではなく、考えてもしかたのないことを考えた結果、けっきょく何も変わらなかった、というような感じです。

考えるほど走るスピードがにぶるので、考えずに突っ走ったほうがいい、そんな気もしています。

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ぼくにとっては、このタイミングは不幸中の幸い、という見方もできなくはないです。

ひとり出版社をつくるという自分の決意を後退させない意味も込めて、2020年3月の時点で、クライアントからいただく書籍案件に区切りをつけていました。その他の単発の取材案件もほぼすべてお断りし、カッコいい言い方をすれば退路を断っていました。

その結果、大阪市内をはじめとした都市部への取材がほぼなくなっていたのです。

ぼくが住むのは兵庫県加東市という超田舎で、今朝(2020年4月7日8時)の時点で市中感染者は報告されていません。その加東市から週に何度も都市部に通うリスクから、期せずして逃れることができたわけです。近くには高齢の両親がいます。

収入に関しては、コロナの襲来にかかわらず、ほぼゼロです。出版社を立ち上げたからといってすぐ本ができ上り、書店に並んで皆さんに買っていただけるわけではないし、やっとこさ販売できる時期を迎えても、売り上げとして回収できるのはもっと先になります。だから、ことし一年の収入激減は覚悟済みでした。正直、国の補助にはあまり興味がありません。

というわけで。

このタイミングに何か意味があるのかわからないけれど、わからないのなら別に迷う必要もないんじゃないか、という心の安定を、この文章を書きながら得ました。書くっていいですね(笑)。

いずれにしても。

これから先、出版社を立ち上げようとしている現在の状況や心境が記憶に強く残り続けるはず。「出版社を立ち上げたのは、コロナ騒動のただ中にあった」と。思い出すたびに、きっと初心に帰ることができる。このプロセスを、この一瞬一瞬を、大切に心に刻んでいきたいと思います。

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