なみのたたかい~探偵ナイトスクープ依頼編~
たたかいますが今日もあたたかい内容でおくります。
今回はマジで闘っています。
SNS無精の私がnoteを始めたきっかけでもあります。せっかくこんなに頑張ったんやから誰かに知ってもらいたい気持ちもある。あと、バックグラウンドで応援や鼓舞をしてくれた友人達の裏話や、後日談、そしてなにより純粋に自慢話したいだけです。
私、去年
探偵ナイトスクープに依頼文を送りました。
去年の11月、前職の人2人と韓国料理を食べに行ってました。確か、、ヤンニョムチキン食べてたな。一人は薬剤師の方で、もう一人は私が前の職場を去る1年前に他店舗へ移動していて疎遠になっていた友人。彼女のニックネームはにゃんにゃんです。
にゃんにゃんはどちらかというと、怖がりでいつも一歩踏み出せないイメージ。コミュニケーション能力もそんなに高い印象もない子。前々から語学に興味があるのは知っていたけどネット英会話の対面授業で心が折れていたのを何度か目撃した気がする。
しかも私達の前職はめっちゃ外国人の来る職場で、英語と中国語と韓国語の対応当たり前。毎日が異文化交流でえしたが、にゃんにゃんが率先して外国語対応しているところも見たことがない。
そんな彼女がちょっとクセのある甘辛なヤンニョムチキンを見つめながら呟いた。
「私、仕事辞めます。ほんでカナダに語学留学します」
それは突然の一言だった。
「こんな時代やないですか、いつ何で死ぬかもわからない。そう思ったら語学留学したいなって思って。この夢叶えな死んでも死にきれん思たんです」
にゃんにゃんはヤンニョムチキンの下にしいているレタスを重たい鉄製の箸で摘まんで口に運びながら淡々と話す。
「コロナのアジア人ヘイト、カナダが一番マシらしいですし、大学の先輩いるんです。ビザもとれました」「いつ、日本発つの?」「有給消化中に行くので12月中ですね」「まだ航空券がとれなくて、、、、」
私にとってのそれってなんやろう?人生が終わるとき後悔するレベルのなにか。
帰り道、一人で考えた。あんまりちゃんと考えたことないもんよな。
電車の時間を確認しようと見たiPhon君の待受には微笑む私のNo.1ヒーローYAMATOさん。
今日もいい笑顔と筋肉だ。まぁ、この待受多分1年前ぐらいのんやけど。YAMATOさん。
あ。
私、大好きなYAMATOさんの筋肉に埋もれたい。
それは少し前からプロレス友達のムカイとジョークで言っていた事だった。どうにかしてあの筋肉埋もれられないか。ファンサービスでは写真やサイン握手が関の山。ならば私が女子プロに?いやそれ何年かかんねん。YAMATOさんおっさんやぞ?いつまで現役おるかわからんやん。しかも女子プロで同じリングのれんの?私が男子になればいいか。気の長い話やなー、ふふふ。
探偵ナイトスクープとか依頼してみるとか?
てかこの前の試合でYAMATOさん、みの(箕浦選手)にヘッドロックしてたよな?あの体制さぁ、ちょっと気になるんよな。あれやとこう、二の腕に挟まれてさ、大胸筋に顔押し付ける形で、、、YAMATOさんにヘッドロックしてもらいたい!とか?
あの日の笑い話が現実味をおびて頭の中で反芻される。
叶えたいな。
ただ、この願いには大きな心配事がついてきた。
2021年12月12日
私は習い事の講習会場で相棒と一緒にいた。相棒はアスリート支援を生涯の仕事にするべく日々活動している。自身もスポーツ経験があり、私の変態筋肉トークも笑いながら聞いてくれる懐深い男だ。
「私、YAMATOさんの筋肉に埋もれたいから、この願い叶えるためにメディア動かそうと思う」
この時点で相棒半笑い。私は更に話続ける。
「友達がな、こんなご時世やんか?明日しんでもおかしくない。やったら語学留学の夢叶えんとしんでもしにきれん!って思って一念発起して仕事辞めて年内にカナダに留学すんねん」「すごい行動力だね、それで?」「私考えてん、私のしんでもににきれん強い思いってなんやろ?って。真剣に考えてん。そしたらな、出てきた答えが私のNo.1ヒーローで理想の筋肉のYAMATOさんの筋肉に埋もれたいって」
もうニヤニヤが止まらない相棒と、面白いものを見つけた時のこの相棒のにやけ顔が好きな私もつられてニヤニヤ。
「私の理想の体制がね、どうやらヘッドロックやねん。これが自分のベスポジ。まず大好きな上腕二頭筋にはさまれて、大胸筋に顔が押し付けられます~ほんでね、この体制なら腹筋までみえへんかなぁって」「憧れの選手に技かけてもらいたいってのはよくある夢だよね」「うん。でもこれ、ファンサービスでは無理やねんな。握手とか写真、サイン会とかあるけどさすがにな」「なるほどね、それでメディアに目をつけたんだ」
私にはまだ不安があった。それはセクハラにならないか?ということと純粋にこんなこと言われて気持ち悪いと男性は思わないか。なにせ逆の立場ならなかなか大事になる。
「企画としては面白いじゃん!それになみさんがヘッドロックされたい側なんだよね?だったら問題ないんじゃない?」「気持ち悪ないかな?」「そんなことないんじゃない?」「まあ、嫌やったらあんな半裸でおらんよね」
問題クリア!
私は普段は可哀想な程にビビりの引っ込み思案だが、一人でも味方が出来ると世界征服も夢でなくなるほど調子に乗れるとゆう、繊細さを一瞬で叩き割れる特技がある。
12月20日
1つ上の姉とランチに行った。私は4姉妹の3番目で、真ん中二人は特に仲が良く、何でも相談出来る仲。
和泉府中のTULLY'Sでランチのあとのコーヒーを飲んでいた。ちなみこの日のランチも韓国料理だった。
話すなら今か。
私は話した。YAMATOさんのこと、筋肉のこと、私の好きな筋肉の部位のこと、それを全て一気に叶えられるポジションを発見したこと。そして復習としてもう一度YAMATOさんのことを大切だから2回言った。
「探偵ナイトスクープに依頼してみようと思う」
最初は私の変態トークに笑っていた姉の顔色が少し変わった。それは私も予感していた。なぜなら、姉は私の幸せを一番に祈ってくれている。そして恋愛レベルが底辺の私にいつも男性を紹介してくれ、素敵な出会いを願ってくれている。そう、私は39歳独身で恋人永久に募集中なのだ。今時趣味趣向を咎めるなどナンセンスだが、そんな私を滑稽に思う人もいれば、不憫に思う人もいるだろう。
「なぁちゃんの夢が叶う事は素敵な事やと思う。けど採用されてテレビで流れたら顔も名前も出るんやで?それって社会的にしぬで?」
社会的にしぬ。それな。なるほどな。
何だかんだと言いながらも、まぁ採用される事もないやろし!と最後は笑って別れた。
12月28日
私は今年最後の観戦のため、神戸のサンボーホールにいた。
にゃんにゃんはこの日、日本を旅立った。
第一試合から出ていたYAMATOさんは負けてしまったけど、自分の中の理想は勝手に確信になる。
私、あの人の筋肉に埋もれる。
そう思って見つめるYAMATOさんはいつもより近くに感じた。
12月29日
出勤前に氏神さまに今年1年のお礼を言いにお参りに行った。
よく晴れたいい日でそのまま気分良く出勤すると、ほんま今まで平和やったのに、すごい勢いで問題が噴出、なかなかのクレームも合わせて4件程一気に私にのし掛かった。
なんで?神様なんでなん?今年のお礼ゆうて来年もよろしくって確かにゆうたけど、今まだ今年やしよろしく頼むって!!礼ゆうたら秒で見放すやん?!賽銭?賽銭の額?
しかも処理をするためには本部を経由しないといけない案件が一番ヤバイのに、本部は正月休みで「年明け5日以降の対応になるから伝えといて」の一点張り。マジかー、、しかも私のミスやないのに対応せなあかんのかぁ。
完全な貧乏クジ。
12月31日
お客様も「別に急がないよ」と言ってくださり一旦、クレーム対応は忘れて久しぶりの大晦日の休みを満喫。とは言え心は疲れ果て、あんなにやる気だった探偵ナイトスクープへの依頼も年明けの落ち着いたときでいいかなぁ、なんて思いだした。絶対にしなければならない事でもないし、送ったとて採用される確率は殆ど無い。
憧れの選手の技受けたい、とか。すごい筋肉に触ってみたい、とか何番煎じの依頼よ。あるあるにも程がある。
疲れきった心がやる気を削いでいく。
疲れたな、RIZIN見よう。
そして私は目覚めるのである。那須川天心のマイクによって。
「常識を変えるやつは非常識なやつだと思うし、人が決めた限界なんて越えられると思う」
「挑戦してください!」
シンプルな言葉ほど昭和生まれには突き刺さる。
そうよな、天心。その言葉、しっかりババァの胸にも響いたぜ。諦めたらあかんよな!何者でもない私でも挑戦すれば夢は叶う。
同日11時時36分。
iPhoneのメモ機能に下書きし、添削した依頼文を送信。ベットに潜り込んだ。しばらくそわそわしたが、除夜の鐘を聞きながら眠りにつく。
溢れる達成感は煩悩まみれだった。
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