一冊の本として読むバスケ
読書と同じだけスポーツ観戦を楽しんでいる。
富樫勇樹選手の稀有な才能に沼り、ついに有料コンテンツでBリーグを視聴し始め、ややあって気が付いたことがある。
バスケって試合の道筋が整った、読みやすいスポーツだな?と。
✴︎動画配信(バスケットライブ)を前提にBリーグのルールで書いています
全て個人的見解です!
今日はルカ・パビチェビッチを読もうかな!
これをバスケに例える
ボールはストーリー、選手は登場人物、HC(ヘッドコーチ・監督)は著者
バスケは、ボールがあるところを中心にストーリーが生まれ、登場人物がストーリーを動かす様に、選手がボールを動かしていく。
それをあらかじめメイクしているのがHC(監督)、物語の著者になる。
HCの戦略は十人十色、選手もいろいろ、バスケチームは全く違う戦い方と顔を持つ。
スピード勝負のチーム、YouTubeが芸人レベルに面白いチーム、絶対的なエースがいるチームetc・・・
BリーグはB1だけで24チーム、と言うことは24通りの違うストーリーを楽しめるのだ。
さぁ物語を読んでいこう。
共通点は“4分割“
起承転結のおさらい
国語の時間に寝言でも言えるほど学んだ起承転結。
特にnoteユーザーは文字に対して意識がチョモランマ、標準装備だろう。
だが、ジャングル育ちで鳴き声のみでコミニケーションをとっていた人が、読んでくれている可能性もあるので説明しておく。
特にサスペンスやミステリーは起承転結が分かりやすい。
船越英一郎がホワイトボードの前に立ったら「承」で崖っぷちに立ったら「転〜結」だ。
バスケのおさらい
バスケットボールは40分制、1試合につき10分を4回行う。
野球のようにコールドゲーム(くつがえせない点差がついた時に審判の判断で試合を終了する)がないので、100対10の点差でマジでごめんって、と選手が泣いても続行される。
1試合を1Q(クオーター・1/4)と呼ぶ。
流れとしては、1Q+2Qで前半戦終了で20分休憩(ハーフタイム)3Q +4Qで試合終了。
物語を制するものはコートを制する
1Q:バスケの「起」
物語の始まり(ティップオフ)
各チームのスターティング5がコートに立ち、試合が始まる。
全体的に探り探りの試合展開が続く。
初手の切り方に唸ったり、この後の展開を予想しながら、わくわく観戦できる時間。
2Q:バスケの「承」
状況の説明。
1Qで動きや戦略を読み「こうきたら、こう!」と戦略が浮き彫りになる。
戦況は常に動きゲーム中も細かく指示が変わるので一概にも言えないが、だいたい2Qでお互いの出方を把握している。
目が慣れて選手の動き方がはっきりし、落ち着いて観れる。
3Q:バスケの「転」
盛り上がる部分(クランチタイム)
“クランチ“とは正念場を意味する言葉。1番 血湧き肉躍る時間。
前半戦であぶり出した敵の動きを元に、ハーフタイム中に落ち着いて戦略を練り直す。
選手の体も暖まり、1番激しく試合が展開される。
ここで一気に負けを覆したり、点数を突き放したりと見所の部分。
4Q:バスケの「結」
締めくくり。
落語のサゲくらいバリエーションがあるので、ラスト10秒でも気は抜けない。
コールドゲームがない故に、ボロ負けチームを見ているのが辛い試合もあるが、そこに天使が舞い降りる時がある。
「勝てなくても気持ちよくゲームを締める」職人みたいな選手がまれにいて、これに当たるとアカデミー賞ばりの見応えがある。
無双しすぎて起転転転?!
小説の技法で起承転結をあえて「起承転転」で書いたり「転承転結」と組みかえて書く技法もある。
失敗すると話の収集がつかないが、成功するとその独自の発想が面白さを生み、奇抜で面白い作品になる。
バスケの場合、シューター(シュートが得意な選手)が無双しだす時間が訪れると「転」が永遠に続く時がある。
両チーム同時にこれがくると「起転転転」も夢じゃない。
この時、同点で4Qが終わるとオーバータイム(延長5分)になり、小説で例えると「文庫版限定の書き下ろし短編」みたいな展開も起きる。
1Qから3ポイントシュートが止まらなくなって「転転転結」で終わった、打っている選手自身もアンビリーバブルな試合もある。
事実は小説よりも奇なり。
物語を楽しんだら
ここもバスケに例えると
バスケは、部分だけで見るとコート内で人が乱れたり細かいルールが多くてこんがらかったイメージがあるスポーツだが、ふかんすると理路整然と整っている。
しっかりと分割され、見どころが分かれることで内容に引き込まれやすい上手くできたストーリーになっている。
サリンジャーの最強のディフェンスをやぶれ!
私は海外文学を読んで「?」となった事が何度もある。
それでもサリンジャーやヘッセくらいは読んでイキりたいし、と頑張ったが「どんなにやってみても無理な事はある」ことを学んで終わった。
一度は袂を分ったが、本屋をぶらついているとあちこちの出版社にサリンジャーの本があることに気がついた。
そう、外国文学は1つの話を沢山の人が翻訳しているのだ。
と言うことは、訳者の言葉の選び方や、文の癖で内容の理解が変わってくるではないか!
自分の読解力の問題・・・ではないとは言い切れないが、外国文学への突破口は訳をする人との言葉選びのセンスと相性の問題だった。
バスケットは試合中にフエが鳴りすぎて「?」となる事が何度かある。
すぐさま実況が状況を手短に説明してくれるが「実況が専門用語を羅列して余計分からん」ことを学んで終わった。
実況は選手目線の戦略や、重箱の角をついたような技を教えてくれるが、なにぶん、元選手。お喋りが苦手な人もいる。
一度は匙をなげかけたが、解説が戦況と共に伝わり難いルールや専門用語も説明してくれている事に気づいた。
解説はプロのスポーツアナウンサー。
豊富な語彙と情報量でサポートしてくれる。
自分の知識不足の問題・・・かもしれないが、解説者が海外文学で言うところの訳者を担ってくれるおかげで、事なきを得た。
*現地観戦は場内アナウンスのみ、実況や解説はないです。
そもそも解説の言う「専門用語」やルールが覚えられないんだよ!
動きをそのまま英語にしているだけ
スポーツはルールや聞き慣れない英語の専門用語が多いイメージが先行してしまっているところがある。
「選手への質問」コーナーなどでもちらほら聞く悩みだ。
それに対し、千葉ジェッツふなばしの大倉颯太選手(#13)がYouTubeでこう語っていた。
「ルールを覚えるより、言葉を覚えた方が分かりやすい」
幼い頃からバスケをし、名門校を卒業して強豪のプロチームに入った選手でも、知らないルールや言葉は出てくるらしい。
試合中に聞こえる専門用語の全ては「動きを英語で言っているだけ」
試合を見ながら言葉を聞いて単語を理解すると、何が起きたか?どんなルールか?が分かりやすい。
英語を理解するには日本語の語彙力も必要、よく本を読む人の方が得意な分野なのだ。
それもバスケが体育会系の中でも、文系よりのスポーツとして楽しめるところ。
主人公は自分次第
観戦に行ってもバスケは屋内スポーツ。
日焼けも、天気も気にしなくても良いインドア派向け。
不利と言われた小柄でクレバーな日本人プレーヤーの注目度も上がり、世界と戦う時代が流れてきている。
体の大きさがものを言うバスケだったが、今は平均身長を下げてスピードを重視する時代になってきた
日本のバスケは今が過渡期の1番面白い時なのだ。
私はハーフラインを超えた時、ポイントガードがハンドサインを送る瞬間がワクワクしてたまらない。
あぁ、ここからどんな物語が始まるんだろうと、胸を騒がせページを繰る瞬間と似ているからだ。
臨場感たっぷりのバスケを会場で読む時間は、最高の読書時間。
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