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オランダ流・子供に大麻を始めさせないためのアドバイス

こちらは、以前書いた記事の姉妹記事です。その記事の最後に「また別の機会に、メンタルヘルス専門機関などがオランダの親と子供に、(大麻に関して)どのようなアドバイスをしているのかということを書いてみたいと思います」と宣言していたので、それについて書きたいと思います。

今回の記事の参考にしているのも、私の上記noteでURLを有料公開している参照サイト(中毒性物質の専門家グループの非営利団体)の内容です。

また、このnoteはあくまでも私の備忘録的に書くものなので、その内容通りにお子さまに接しても、必ず大麻使用から守れるわけではないとご承知おきくださいませ。

大麻未経験の子供を、どのように引き続き守るか

オランダの専門家によると、子供の大麻経験率が上がるのは、13歳からだそうです。12歳の段階では1%未満だった経験者の割合も、13歳で1%を超え、14歳では6.8%にはね上がります。つまり、この13歳より前の段階から手を打ち始めるのが最適だそうです。
では、具体的にどのような対策をとればいいのでしょう。
彼らのサイトには、以下の様に箇条書きされています。

1.自尊心を高める。 それはあなたの子供が後に「いいえ」と言うのを助けるでしょう。

2.お子さんにタバコを吸わせないようにします。 子供が喫煙しない場合、彼らは大麻を始める可能性が低くなります。

3.11/12歳頃に、「喫煙はしない」、「何があっても18歳までは喫煙しない」というルールを設定します。
※倉田注:オランダで喫煙は18歳から合法

4.取り急ぎ、「いいえ」と言う能力を強化してください。

5.大麻を吸うことは特に若者に危険であることを、お子さんに明確に教えてください。 脳は24歳まで発達します。

この「専門家による10代の子供の親へのアドバイス」は、「すでに大麻を一度でも経験してしまった10代の親」へのアドバイスが大半を占め、未経験の親に対しては、上記内容しか書かれていませんでした。詳しい解説もなかったので、ここからは私の推測と感想になります。

自尊心を高めることは自己決定を促す

上記5つのアドバイスをまとめると、「自尊心を高める」「Noを言えるようになる」「タバコに手を出させない」が大きなポイントかなと思います。

「自尊心」が一番先にくるのもなかなか面白いですね。
これはオランダ語では「de eigenwaarde」で、英語では「self-esteem」(セルフエスティーム)にあたります。日本語では「自尊心」以外にも「自尊感情」「自己肯定感」という訳語をあてられることもあるようです。

自尊心がないと、友人に大麻使用を勧められたり誘われた時に、友情を損なうことを恐れて断れないのでしょう。
自尊心や自己肯定感が高ければ、その拒絶で友情を損なう不安にさいなまれたりすることはないのではないでしょうか。その友人との関係に依存していなければ、別の人と違う友情を新たに育むこともできるでしょうし。

ただし自尊心を高めるのは一朝一夕でできることではないので、13歳と言わず、小さなころからの積み重ねが非常に大事なのではないでしょうか。

少し話がそれますが、以前オランダの性教育に関して調べたら、4歳や5歳の子供に対して「いやだ」(Nee/No)という意思表示をできるように練習させていたんですね。そのことを知った時は、「オランダの性教育は人権教育でもある」と考えました。更にこの薬物から身を守る時のヒントにも重ねると、「自尊心を育むことは自己決定を促し、薬物からの自衛にもつながる」と言えるかもしれません。

タバコと大麻の関係

専門家が「子供を大麻から守るためにタバコを吸わせるな」と強調しているのも印象的です。やはり「喫煙は18歳から」(※オランダの場合)という法律の壁を一度超えると、タブーに踏み込む心理的障壁が下がるのかもしれません。「大したことない」と思ってしまうんでしょうかね。

ちなみに、オランダの12歳から16歳の大麻経験率は10.4%(2019年)ですが、「電子タバコ25%」「通常のタバコ17%」(同年)だそうです。
日本の平成10年のデータでは、日本の15歳から19歳の喫煙率は、同世代の中の11.8%ほどだそう。こちらでも、オランダは高いですね(ただしオランダは「経験率」であり常用者ではない)。

大麻を経験してしまった子の保護者版

5項目しかない短いアドバイスでしたが、大麻未経験の子供を守るためのアドバイスも、非常にオランダ的だったと感じています。
また別の機会に、「すでに大麻を経験してしまった子供の親に対するアドバイス」についても書いてみたいと思います。

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