見出し画像

オランダ皇太王女が発するメッセージ

(トップ画像の著作権表記:© RVD - Martijn Beekman)

オランダでは少し前に話題になったトピックなのですが、昨日新しくオランダに来た日本人の友人と話していて思い出したのでここに書きたいと思います。

現在のオランダ国王には、3人のお子さんがいらっしゃいます。全員女性で、長女が来月12月に18歳になるアマリア王女(Catharina-Amalia van Oranje-Nassau)。オランダでは男女問わず長子が王座をつぐことになっているので、何もなければ次に王位に就くのはこのアマリア王女であると言われています。そして18歳という年齢は、オランダでは成人を意味し、結婚もできるようになるのです。

私も何度か書いてきていますが、オランダは世界で初めて同性婚を合法化した国。そのため、オランダでは以前から

仮にアマリア王女が女性と結婚を望んだ場合、彼女は王位を継承できるのか?そして彼女に子供が生まれなかった場合はどうなるのか?

ということが取りざたされていました。
そしてそれに対して、オランダ首相のマーク・ルッテ氏がメディアでのインタビューで以下のように回答したのです。

内閣の承認次第ではあるけれど、アマリア王女が女性と結婚したとしても王位にとどまることができます。

そして彼女に子供がいなくても、彼女は死ぬまで王位に就いていられるし、彼女の死後は妹たちのうちの一人や(仮にいれば)その子供たちに王位を譲ることができるのです。

当時はご自身のセクシャリティも公表していなかった10代女子アマリア王女にとっては、大人たちが自分の結婚をあれこれ取沙汰すのは気持ち悪かったかもしれませんね。
つい最近、彼女は自分が異性愛者であるということを公表しています。けれどこうやって首相が王家にも同性婚の選択権があると示したことは、大きな意味があると思います。公表されていないだけで、もしかしたら、オランダ王家にも同性愛者はいるかもしれませんから。ルッテ首相のこの回答は、もしかしたら存在するかもしれない誰かを救ったかもしれません。

画像1

(RVD – H.K.H. de Prinses van Oranje)

オランダ王家のメンバーは、18歳になるときに伝記が発売されるのが伝統なのだそう。つい最近、アマリア王女の伝記も発売されました。上の画像は、彼女とその著者。

そしてその本の中で、アマリア王女は

幼い頃から児童心理学者を訪ね、最近では定期的に専門家とメンタルヘルスについて話し合っています。それをタブーだとは思わない。公の場でそれを言っても問題ないはず。特に2018年に叔母(※)が自死してからは、時々専門家と話すのはごく普通のことだと考えています。

という趣旨のことを話しているのです。
(※叔母とは、アルゼンチン出身のマキシマ王妃の妹で、オランダ王家のメンバーではない)

https://nos.nl/artikel/2405795-bijna-18-jarige-amalia-in-boek-openhartig-over-mentale-gezondheid-en-toekomst

こういうオープンさも、オランダ王家の自由な気質を感じるとともに、その弱さを見せることでまた誰かの救いにもなっているような気がします。専門家の助けを借りるのは恥ずかしいことではないというメッセージを受け取る国民もいるのではないでしょうか。

でも彼女自身は、まだまだ王位を継承する心の準備ができていないそうです。なので、仮に近い将来に現国王が退位または逝去というような事態になるなら、しばらくはマキシマ王妃にその王座を守ってほしいと考えているのだとか。そして父親である現国王には「健康的な食事とたくさんの運動を続けて、健康でいてね」とお願いしているそうです。お茶目ですね。

(将来自分が女王になって)外交を通じて悪い状況を防ぐことができれば、そして世界を少し良くしたなら、私は幸せです。私は私の国に奉仕しています。私はオランダに命を捧げます。

というメッセージも本には記されているそう。「準備ができていない」と言いながら、もうしっかり国とご自分の役割をしっかり考えている様子がうかがえます。
彼女が王座に就く未来を、楽しみに待ちたいものです。

==========お知らせ==========

電子書籍出版しました!
(Kindle版)「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間
(紙版)「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

レギュラーで書いている主な執筆媒体のご紹介です。
ぜひ読んでみてください♪

サライ.jp

「novice」
https://no-vice.jp/?s=Naoko+Kurata

「イエモネ」
https://iemone.jp/article/lifestyle/naoko_kurata_518/

「現代ビジネス」(不定期掲載)
http://gendai.ismedia.jp/list/author/naokokurata

「Glolea!」(プロフィール&執筆記事一覧)
http://www.glolea.com/ambassador/kurata-naoko/profile

「未来住まい方会議」(執筆記事一覧)
http://yadokari.net/author/kurata/

「TABIZINE~人生に旅心を~」(執筆記事一覧)
http://tabizine.jp/author/kuratanaoko/

「ima(今) 海外リポーターが伝える世界の生活情報サイト」 (執筆記事一覧)
http://ima-earth.com/contents/profile.php?userid=kurata

#日記



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?