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清水の舞台から飛び降りられそうもない。

少食なのだが食べることが好きで、量より質の信念のもと(と言ってもB級グルメや町中華が好き)、美味しい店や美味しいもののリサーチには余念がない。

某マップの登録件数はおそらく3000件は超えている感じで、マップがピンで埋め尽くされていてマップが見ずらいのなんのって。

しかも、自分でジャンルに分けても選べるピンの色の数が少ないものだから分かりづらい。どちらにせよ、登録しすぎているのだ。

昨年、母と弟と共に緊急事態宣言前に金沢に行ってきた。
ちょうど蟹の解禁直後だったので、
着いて直ぐの昼食に地元で評判の寿司屋を予約、寿司のランチセットと噂のガス海老、そしてズワイガニの刺し身と甲羅味噌を頼んだ。

ちなみにこの時点で調べていたのは香箱蟹の相場一杯3000円ほど。
寿司はランチなので一人前3000円ほどだった。
この時不覚にもズワイガニの刺し身の値段は聞かなかったのだ、時価とは言え香箱蟹の相場から倍くらいで済むだろうと安易に考えていた。

刺し身はやはり美味しかったが、水分が多く旨味が感じにくくなる。
刺し身は喉越しのようなものを楽しむものだ。

今までも刺し身は食べたことがあったが、鮮度が良ければ良いほど瑞々しく薄味になるのだと言うことを知り、
結局火を通した蟹の身のほうが美味しいことを知った。

足以外の部分は焼いて出してくれるのだが、その焼いた足の付根は身が締まって旨味が凝縮されており、甲羅味噌のまろやかなコクが格別で舌鼓を打ったのだった。

ガス海老は海老好きとしては勉強しておかねばならぬと頼んだが、かなりあっさりした車海老と言った感じで、
寿司に関しては今まで食べたことのないトロの味だったのでそれには心底驚いた。

何というかまったく臭みのないマグロの血の旨味が、魚の脂と完全に溶けて一体になった「今まで食べてきたマグロはなんだったのか」と思わされる味だった。
うまいマグロを食べていなかったんだと。

そして、これらの勉強代は結果的に旅のスタートに水を指すことになる。
3人で3万円強の会計。

夜も美味しいという海鮮の店を予約しているのに初っ端から気張りすぎ、庶民の我々は後悔の念抱く。
しかも倹約家の弟は特に後悔し、楽しい旅の始まりが地獄に落とされたかのような後悔のしようだった。

あとで知ったことだが、地元の人はこの時期香箱蟹を食べるそうだ。
ズワイは高くて手が届かないと。
相場から考えれば決して高くなかったことも分かった。
きっと値段を知っていたら、ビビってしまい食べられなかっただろう。
その時は天にも昇る心地で楽しめたのだから、逆に良かったと思うようにした。
教養が得られたのだから。

今後、清水の舞台から飛び降りる時は、様子を伺ってからでないと駄目そうだ。
今回は完全に清水からうっかりバンジーしてしまったのである。
ただ、バンジーでもさせられない限り飛び降りられるか躊躇してしまうだろう。
しかし、なにかの折にはバンジーせねばいかんかもしれない。

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