アガヴェ家のルール【天候術師のサーガ 35】
〜 アガヴェ家のシェルター リヴィング 〜
アガヴェ、
説明してちょうだい。
これはどう言うことなの?
ママ、入れないでって
言ったわよね?
どうしてママの言うことが
聞けないの?
── アガヴェのママ
ねぇ、ママ。
ナナミっちの家は
今回の出来事で燃えちゃったんだよ?
他に泊まれる場所だってないし、
こんなに広い家があるなら
止めてあげてもいいぢゃん!
なんで独り占めしようとするの?
── 島ギャル、アガヴェ
まぁっ、この子ったら!
親に口ごたえする気なのね!
うちは大家族なの!
まだ小さい子だっているし、
他の家の人たちの面倒を見ている
暇なんてないのよ!
いちばん上のお姉ちゃんなら
それくらいわかるでしょう?
── アガヴェのママ
だからって、
家がなくなった友だちを
見捨てるなんてこと、
うちにはできない!
それに、ナナミっちの家に泊めてもらったし、
美味しいご飯だって作ってくれたよ?
結局のところこの家の人たちはみんな
自分のことしか考えてないぢゃん!
パパだって
部屋の研究室で
何してんのか全然わかんないし!
出てくるのはご飯の時だけぢゃない!
一緒に住んでるだけで、
うち家族のこと、何にも知らないよ!
── アガヴェ
アガヴェ…。
── アガヴェのママ
だいたい、
どうしてみんな助かってるの?
無事なのは幸いだったけど、
事前にレーザーが照射されるなら
このシェルターに人々を避難させても
良かったぢゃん!
そんなの人殺しとおんなじだよ!
うち、もう人殺しの家に居たくない!
ナナミっちたちと一緒に生活する!
── アガヴェ
アガヴェはそう言うと
ナナミとナミナおばあちゃんを連れ
シェルターの外へ出ようとした
待って、アガヴェ…!
行かないで!
ママが悪かったわ!
お願いだから、この家に
居てちょうだい!
── アガヴェのママ
いやだよ!
さっきも言ったっしょ!
人殺しの家になんか居たくないって!
── アガヴェ
その人たち、
しばらく居させてあげていいから…!
お願いだから戻ってきて…!
── アガヴェのママ
アガヴェはナナミに目配せをし
ほらね、といった顔をした
わかった。
ナナミっちたちを
ここに居させてくれるなら
うちはこの家に残ることにする。
── アガヴェ
ただし、ひとつだけ
守って欲しいことがあるの。
── アガヴェのママ
それはなんですか?
── イノリゴ島の少女、ナナミ
パパの部屋にだけは入らないで…!
お願い…!
── アガヴェのママ
アガヴェのママは
心から懇願したように見えた
36へつづく
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