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子どもにどんな本を読ませたらいいですか?① 低学年へのおすすめ10冊

仕事柄、「子どもにどんな本を読ませたらいいですか?」と聞かれることが多いので、保護者の方に向けて、子どもの本の選びかた低学年へのおすすめ本10冊を紹介します。

子どもの本の選びかた

「子どもにどんな本を読ませたらいいですか?」と聞かれたら、まず「年齢」「ふだん読んでいる本」「お子さんが好きなもの」を確認します。(ちなみに、書店員さんは「本を手渡すプロ」なので、この3点を伝えてもらえれば、たくさんのおすすめを教えてくださると思います)

「年齢」を聞くのは、子どもの本が対象年齢を意識して作られているから。子どもは竹の子のようにぐんぐん成長していく生き物で、幼稚園の年長さんと、小学校1年生では、たった1歳しか違わなくても、興味・関心、知っている言葉、見ている景色…なにもかもがちがいます。大人向けで「この本は30歳から」なんて本は見たことがないけれど、子ども向けには「読み聞かせは◯歳から」「ひとり読みは◯歳から」「対象年齢◯歳から」なんて表記があります。(だいたい、本の裏表紙のバーコードのあたりに書いてある)

でも、「年齢」はあくまで目安で、「おしりたんてい」シリーズが大好きな1年生がいれば、『世界の伝記 ワシントン』など伝記シリーズにどっぷりハマっている1年生もいます。そもそも、ふだん本なんて読まないという子も。

「ふだん読んでいる本」や「お子さんが好きなもの」を聞くのは、その子の読解力や、いま興味を持っているものを知るためです。

その子の「いま」に照準を合わせることができたら、ようやく本選びスタート。

…と言っても、仕事で携わっていると「なるほど、この本が好きならあの本も」「それを読んだなら、このシリーズもおすすめ」と頭の中の本棚から本を取りだすことができるけれど、そうでもなければ、たくさんの本の中から、子どもにぴったりの1冊を見つけだすのは至難の業。

なにを選べばいいかわからないときは、子どもにゆだねるという手があります。

まずは10冊くらい図書館でいろんなタイプの本を借りてくる。どれに食いつくか見守り、食いつきがよかったもののシリーズをさらに借りてくる…そのうち、子どもがもっと読みたい!となったら、書店や図書館で、本人に選ばせてみる、という方法です。最終的には、与えるだけでなく、子どもが自分で本を選べるよう、選書眼をつちかう必要があるから、この方法はその点でも優れているでしょう。

だから、その最初の10冊が選べないんだよ! という方のために、(一番聞かれることの多い)低学年へのおすすめ10冊をご紹介します。

低学年へのおすすめ10冊

低学年の子どもは、習ったばかりのひらがなを、一文字一文字、指で追うところから読書が始まります。まずは1冊読みとおす自信をつけるのが大事なので、最初は保護者の方が読み聞かせしていた絵本、教科書に載っている話の原作など、ストーリーが頭にすっかり入っているおはなしがおすすめ。そして、絵本を読むのに自信をつけたら、こんな本はいかがでしょうか?

⚫︎りんごかもしれない(作・絵 ヨシタケシンスケ/ブロンズ新社)

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あまり読書が好きじゃないという男の子がいたら、とりあえずおすすめしてしまう。読者が空想を広げて楽しめる絵本。

⚫︎アリになった数学者(作 森田真生 絵 脇坂克二/福音館)

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数学者がアリになって出会う新しい「数」の世界。発見のよろこびがいたるところにちりばめられた美しい絵本。

絵本のつぎは、幼年童話を手にとってみてください。だいたい80ページくらいで、どの見開きにも挿絵が入っています。絵本が三輪車だとしたら、補助輪のついた自転車で、絵本から児童書への橋渡しをしてくれる存在です。

⚫︎ルルとララのアイスクリーム(作・絵 あんびるやすこ/岩崎書店)

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女の子に大人気のシリーズ。ルルとララがアライグマにお礼をしようとすると、「お礼リレー」をしてと言われて…? 低学年でも作れるデザートのレシピつき。

⚫︎がっこうのおばけずかん(作 斉藤 洋 絵 宮本えつよし/講談社)

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男の子に大人気のシリーズ。毎日通っている学校にもこわーいおばけがたくさん⁉︎ でも、このお話を読めば大丈夫!(お子さまカレーくらいのこわさです)

⚫︎スパゲッティがたべたいよう(作 角野栄子  絵 佐々木洋子/ポプラ社)

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おばけのアッチったら、大のくいしんぼうで、好きなとこだけつまみぐい。おこられそうなことばっかりやってくれるので、子どもにはたまらない本です。

⚫︎だいじょうぶ だいじょうぶ(作・絵 いとうひろし/講談社)

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小さなぼくが不安な気持ちになると、いつもおまじないの言葉で助けてくれたおじいちゃん。いまだから言ってほしい、言ってあげたい言葉の数々。

⚫︎のはらうた(くどう なおこ/童話屋)

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かまきりやみのむしなど、詩人がのはらを散歩しているときに出会ったものの詩。何度でも声に出して読みたくなる、楽しい詩集。

幼年童話に親しんでくれるようになったら、もう少し長いおはなしを。できれば、最初は読み聞かせで。『ゲド戦記』のル=グウィンは、自分の子どもたちに『指輪物語』を読み聞かせていたそう。物語の最初の扉は、子どもによっては重たく感じますが、一緒に開いてあげると、自分で先へ進めるようになります。

⚫︎大きくても ちっちゃい かばのこカバオ(作 森山 京 絵 木村かほる/風濤社)

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かばのこは、体が大きくてもまだ子ども。ユーモアたっぷりに、見過ごしてしまいがちな、子どもの小さな成長を、美しい言葉づかいでつむいだ物語。

⚫︎ちいさいモモちゃん(作 松谷みよ子 絵 菊池貞雄/講談社)

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生まれたてのモモちゃんのところに野菜たちがお祝いにやってきたり、空想と現実がいりまじる子どもの世界をそのまま物語にした感性豊かなおはなし。

⚫︎ふたりはともだち(作 アーノルド・ノーベル 訳 三木 卓/文化出版局)

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この中の一編「おてがみ」は教科書にも採用された。時にシュールで、時にユーモラスな、独特の世界観が味わいぶかい物語。

紹介したのは、ロングセラー・ベストセラーばかりなので、書店さんでも、図書館でも見つけられると思います。(もちろん、ネット書店でも)

心から楽しめる本に出会えると、一生の友だちができます。

こんなときだからこそ、本とのよい出会いがありますように。

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