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治験に参加すると、いくらもらえる? 確定申告は必要?――負担軽減費の疑問にお答えします【治験解説②】#負担軽減費編

\この記事でわかること/
・来院1回あたりの相場
・支払われるタイミング
・支払(受取)方法は指定できる?
・受取額に税金はかかるの?

トライアド治験ネット note編集部

前回の記事 治験解説①はこちら

治験の応募時などで目にする「負担軽減費」。
治験に参加いただくと、協力費として支払われるものですが、単に「協力費」や「謝礼」といったほうが、わかりやすい気も…。
しかし、そもそもの成り立ちからいえば、被験者さんの「負担」を「軽減する」お金といえるのです。
今日は、治験参加で気になる「負担軽減費」を解説します!

負担軽減費はいくら?

1来院につき、7000~10000円の試験が一般的

治験に参加していただくと、来院1回につき、通常7,000円~10,000円が支払われます。これを「負担軽減費」(または治験協力費)といいます。

治験に参加いただくこと自体は、「ボランティア行為(自発的な意志に基づき他人や 社会に貢献する行為)」と位置づけられています。
ですが、現実には治験に参加すると交通費がかかったり、会社を休んだりする必要があり、被験者に経済的な負担がかかってしまいますね。

また、治験に参加する場合は、以下の実費負担が見込まれます。
*詳細は治験によって異なります。

  • 医療機関までの交通費

  • 保険範囲内の診察費

  • 治験の対象外の疾患に対する処方薬費(治験実施医療機関で処方する場合)

また金銭的な負担以外にも

  • 通院にかかる移動時間や診察時間

などスケジュール調整が必要になります。
通院の頻度も治験によってさまざまです。
それ以外では、

  • 生活リズムや飲酒習慣等の調整

  • 検査に伴う絶食等の食生活や食事内容の調整

をお願いする場合もあります。

このような、被験者さんのご協力とご負担に対して、それらを軽減する目的で「負担軽減費」があるのです。

✨point✨
治験に参加される被験者さんの、さまざまな“負担”を軽減するために支払われる「負担軽減費」

支給方法・タイミングは医療機関によってさまざま

原則として、1つの治験ではどの医療機関で参加しても、負担軽減費の額自体は変わりません。

しかし、支払い方法は、医療機関によって【現金手渡し】【口座振込(月ごとにまとめて翌月末or翌々月末にまとめて振込)】等とさまざまです。支払い方法自体は、医療機関で決まっているため、変更が難しいところではあるので、ご了承いただければ幸いです🙇

負担軽減費に関しては、インフォームドコンセント(同意取得)の際に治験コーディネーターがしっかりとご納得いただけるまで説明させていただいています!!

 ✨point
負担軽減費額  ⇒ 1来院あたり7,000円~10,000円通常
支払方法 ⇒ 【現金振込】or【口座振込】医療機関で最初に説明あり!

【会社員の場合】給与以外に治験を含め20万以上の収入があれば確定申告が必要

負担軽減費はもらいっぱなしでOKな場合と、NGな場合があります。

負担軽減費は、税法上の「所得(雑所得)」とみなされます。
雑所得とは、本業(給与所得)以外の収入で、それ以外のどの所得にも含まれない所得のこと。
会社員の場合、治験の負担軽減費を含む、給与以外の収入が、1年間(1月~12月)で20万円を超える場合は、個人で確定申告が必要となります。

最近は、副業などで収入を得ている方もいっしゃいますので、そのような方は副業と合算した収入が20万円以上(経費を控除できる方は、控除して20万円以上)であれば、確定申告を行います。
(余談ですが、最近では、マイナンバーカードやスマホを使って、税務署に行かなくても、比較的簡単にオンライン手続きができます)

確定申告とは?
 毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税の額を計算し、源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、その過不足を精算手続のこと。なお、給与の収入金額が2,000万円以下で、給与を1か所から受けている会社員や、給与や退職金以外の所得金額が20万円いかである人等は、確定申告はしなくてもよい。

参考:国税庁 確定申告書作成コーナー

収入のない人は年額38万円を超えたら税金の支払いが必要

学生さんで就労をしていない方や、年金・生活保護の支給等の雑所得を含めて、所得がまったく無いという人は、「負担軽減費」の受取額が38万円を超えるまでは確定申告は不要です。
 
また、アルバイトやパート等で扶養控除内(一般的に年収103万円以下)で働いている人は、「負担軽減費」を合わせた収入が課税対象となるか、税務署等で確認されることをおすすめします。


治験参加のメリットは「負担軽減費」だけではない

治験に参加していただける方の負担が増えることは、決して望ましいことではありませんので、負担軽減費は、いわば当然のものと思います。
ですが、治験の利点は「負担軽減費」かというと、そればかりではありません。

病気を抱える方が治験に参加することで、今までとは異なるアプローチのおくすりを試すことができたり、専門医による丁寧な診察や検査も受けられ、治療の選択肢が広がります。現在、かかっている病気の治療費の節約にもつながります。
 
受け取る負担軽減費の金額によっては税金の支払う義務が生じてしまう場合もありますが、それでも治験ボランティアとしての意義や社会貢献を強く感じてくださる方もいらっしゃいます。

治験で「新しいくすり」等の効果と安全性を正しく判定できるのは、参加される方々の日々のご協力があってこそなのです。

負担軽減費の疑問

ここからは、負担軽減費の素朴な疑問(聞かれたことのある質問)
に答えていきます!

Q.なぜ負担軽減費の相場は7,000~10,000円なの?

⇒  A.  社会通念上から適切な負担軽減費の額とされています。厚労省から国立病院や国立大学に出された通知が基本となっています。

負担軽減費については、平成10年に提言された「治験を円滑に推進するための検討会」の最終報告書で「治験参加に伴う物心両面の種々の負担を勘案した、社会的常識の範囲内における費用の支払いによる被験者の負担の軽減」とされています。
金額に関しては、例えば、国立病院・療養所で実施される治験については政医第196号(平成11年7月2日)において、「当面、7,000円を標準とすること。」となっており、「国立病院・療養所における受託研究」「Q&Aの5」(平成11年7月)で、Q1に対する回答の中では、「7,000円以外の額を設定する際には、会計検査等にも十分対応できるよう、具体的な根拠に基づき設定されるようお願いします。…」となっており、7,000円に限定されたものではないと考えます。
しかし、それが治験に参加する強い誘引にならないように、社会通念上から適切な負担軽減費を考慮する必要があります。

製薬協HPより(一部改変)

Q.生活保護受給者は負担軽減費を受け取れる?


⇒ A. 負担軽減費を受け取ることは可能。ただし、逆に負担にならないか、金額等の注意が必要です。また、試験によっては参加できない場合も。

生活保護の認定には一定の要件があり、受給者の収入により支給額は変わる仕組みです。

そのため、月額8,000円を超える収入は、生活保護費の減給対象となることが一般的です。

減給額と負担軽減費で得る所得の金額を確認し、最も負担のかからない方法を選択することが必要です。
場合によっては、負担軽減費の受け取り可否を相談することもあります。
なお、負担軽減費を受け取る場合には、金額にかかわらず福祉事務所の担当官への報告が必要となります。
また、治験の種類や医療機関によっては、生活保護の方が参加できない場合もあります。

最後に

トライアド治験ネットでは、こころの病気や症状に特化した治験情報をご紹介しています。
治験に関するご質問や、具体的な治験参加へのお問い合わせなど
どうぞ、お気軽にご連絡ください。
お待ちしております。


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