見出し画像

いくつもの試験を通って、「くすりの候補」は「薬」になる! 【治験解説④】効き目や安全性を調べる3つの段階

前回の記事はこちら

治験に参加するまでの流れが、少しイメージがついてきているでしょうか?
今回は、薬ができるまでの3つの段階についてほんの少しご説明します。

薬はどうやって人のもとに?


薬をつくる最初の段階は、「薬のもと」探しです。
「薬のもと」は、自然の植物や微生物から探し出したり、科学的に作ることもあります。これを、試験管の中での実験や動物を使った試験(非臨床試験)などで問題ないことが確認できてはじめて、人を対象に「くすりの候補」を試すことができます。これを臨床試験といいます。
臨床試験のうち、特に国から「薬」としての承認を得る目的で行われるものを、治験といいます

最新のものだからこそ慎重に。治験の3つのステップ

治験では、一般的に以下の3つのステップで段階的に進められます。

第Ⅰ相試験

主な対象:健康な成人
まずは少人数の健康な成人の方を対象に、「くすりの候補」をごく少量を使用し、徐々に量を増やしていきます。
その過程で血液や尿の検査をし、その「くすりの候補」が体内に吸収される量や、排せつされるまでの時間などを調査します。
また副作用についても注意深く調べます。第Ⅰ相試験は、安全性を確認するための重要なプロセスです。

第Ⅱ相試験
主な対象:少数の患者(比較的軽度)
次は実際に疾患を持っている少数の患者さんを対象に、病気の程度による有効性や、副作用の程度(安全性)を調べます。
また、量や服用回数など、使い方の違いで効果が変わるかなど、実用化を見据えた試験をすることもあります。


第Ⅲ相試験
主な対象:大人数の患者
これまでの試験の結果を踏まえ、最後に多くの患者さんを対象に「くすりの候補」の有効性、安全性、使い方を確認します。
試験の際は、正確な効果をはかるためにプラセボ(本物のくすりと見分けがつかないが、有効成分は入っていないもの)を服用する場合や、すでに普段使っている薬と比較して行われることが多いです。


「試験」の後には「審査」


これらの段階を経て、「くすりの候補」を開発している製薬企業は、データを国に提出し、認めてもらうよう申請します。 国(厚生労働省)が審査を行い承認されると、初めて「くすりの候補」は正式な「薬」となり、医療現場で使われたり、患者さんが処方薬として服用できるようになるのです。



今使っている、その薬も


今、日常的に病院で処方されたり、薬局に並んでいるお薬は、みな治験を経て世の中に出てきました。発売に至るまでの経緯はあまり表に出ることはありませんが、どの薬も多くの患者さんの協力があって世に出てきました。ありがたいことだなと思います。

トライアド治験ネットでは、主に精神科領域の治験について紹介しています。もしこの記事をご覧いただいて治験に興味を持ったら、治験の紹介や募集をしているトライアド治験ネットのホームページもぜひご覧になってみてくださいね。


――あなたの治療に「治験」の選択肢を――
精神科の治験ボランティア募集
【トライアド治験ネット】
うつ病治験情報はこちら
★治験ボランティア登録はこちら