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コズエの鬼ゴリ絵本日記

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出逢った絵本の考察や感想をここに書きためています。(鬼ゴリ:動詞。鬼のようにゴリゴリと書く、の意。いまだ鬼はあらわれておりません)
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#絵本のある暮らし

絵本日記DAY2 ごはん、かさ、スイカのプール

9月29日(日) 雨。今日も紫波町図書館から。 図書館に行く前にラーメンが食べたくなって、産直に併設されている食堂に並ぶ。 お昼時だったので家族連れで賑わっていて、うーん、また今度にしようかなぁと思っていたら。券売機の前で並ぶ4人と3人、それぞれ二家族の方たちが、二人掛けの席しか空いてないからお先にどうぞ、と声をかけてくださった。 7人のお顔が一斉に振り返ってこちらを見ている。私がまごまごしていると、おじいちゃまと呼びたくなるような素敵な男性が「回転率を上げましょう」と朗らか

絵本日記DAY16 はじめてのキャンプ

こんにちは。じりじり焦げつくような毎日が続いていますね。 なぜか「意外!」「夏は私の季節って感じなのに」などとよく言われることが多いのですが、私は夏の暑さがほんとうにニガテです。さらに冷房もニガテなので、毎日ほとほとこまっています。 でも、夏の行事は大好き。お祭りのお囃子には血がどくどく騒いでくるし、風鈴の涼やかな音色には手をとめてうっとりできる。 流しそうめんなんて、半ばクレイジーな夏のおたのしみ。 上からホースの水とともに、勢いよくそうめんが流れてきて、それを狂喜乱舞

絵本日記DAY9  Wave

鬼のようにゴリゴリと更新するはずの絵本日記、鬼が留守のあいだに気づけば7月に。積み重ね、だいじにしていかなくちゃ。 今日の絵本は「Wave」。波。 子どもの頃は、こういう文字が一切ない絵本はあまり好きではなかったというか、退屈に感じていた。 でも、今ならばわかります。 この絵本には、文字はいらない。 なぜなら寄せては返す波の音を聴きたいから。 ざぶん、ざざざ。ざぶん、ざざざ。 ときどき、カモメの鳴く声。貝殻が砂に連れていかれ、しずかに戻される音。 ひとりの女の

絵本日記DAY8 パクチーパクパク

一口噛むとじゅわっと旨味がひろがる。独特、としか表現できないことが悔しいくらいの、ほのかな苦みと甘み。熱を加えずに、オリーブオイルとガーリックソルトをかけてたべるのが一番おいしい。根っこまでついていたら最高。 私の愛してやまないパクチーの話です。 はっきりと好き嫌いが分かれ、苦手な人からは「なんであんなものが好きなのかわからない」と非難をあびることもしばしば。中毒性があってやみつきになり、毎日ではないが時々無性に欲する味。今日は、そんな「パクチー的要素」をもつ絵本をストッ

絵本日記DAY7 嗚呼パリ、憧れのパリ

パリ。世界中の人びとが夕陽に染まるセピア色の塔に、ゆるやかに流れる運河に、庇(ひさし)の下で味わうワインに憧れを抱いていることだろう。行ったことはないが(だからこそとも言える)、わたしもパリに情景の念を抱いている者の一人だ。 やっぱりあなたもなのね!と嬉しく思わずにいられない絵本に出会った。 トミー・ウンゲラーの「アデレード」だ。 この絵本は、翼の生えたカンガルーの女の子のお話。 カンガルーのパパとママのもとに生まれた天使には、ほんとうに羽が生えていました。大きくな

絵本日記DAY5 雨、雨、雨

今日の盛岡は、久しぶりにどしゃぶりの雨。 濡れた路面に映って光るイルミネーションを見て、なんだか少し焦ってしまった。あ、もうクリスマスが来る、年末がやって来る、と。 ほんとうに急がなけきゃいけないことなんて、実際はそんなにないのにな。 今日会ったひとが「雨ずっと降ってて、いやだねぇ」と言ったとき反射的に「そうですねぇ」と答えてしまったけれど、ごめんなさい。嘘をついてしまいました。私は雨がたまらなく好き。雨が屋根にあたる音も、雨が降る予感をはらむ匂いも、土がむわんと立てる

絵本日記DAY4 秋の夜長に絵本であそぶ

久しぶりに、赤い扉のパン屋さんへ行った。 新しいメニューがたくさん増えていて、あっという間にトレーがパンで埋まっていく。一際目をひいたのが、挑発的な赤のラズベリージャムと有塩バター、板チョコレートが2枚サンドされたバゲット。 お会計の時に、お店の奥さんから「早めに食べてくださいね。バターが溶けちゃうから」と教えてもらった。 それで。図書館に向かう車の中で、がりりと一口そのバゲットを噛んだ。 なにもそこまで急かしてはいないだろうに、しかし私は教えを忠実に守りました。とい

絵本日記DAY3 みどりな絵本

本棚から自然に手にとる本。その時の自分が無意識に欲しているものを知る、ひとつの指標になるのがおもしろい。今日は、集まってきた3冊の緑の絵本を書き溜めます。 ①はちうえはぼくにまかせて原題は「The plant sitter」。ちょっとおせっかいな植物係、って感じかな。 トミーは大の植物好き。 お父さんの仕事が忙しくて、夏休みだというのにどこへもバケーションに行けない。暇をもてあまし、旅行へ行く近所の人たちの鉢植えをあずかって世話することを思いつく。 リビングはもちろん

絵本日記DAY1 絵本日記はじめました

9月16日(月)雨。 これから鬼のようにゴリゴリと、絵本を読んだメモをここにストックしていきます。今日はしとしと雨の、紫波町図書館から。ここの図書館の司書さんはプロフェッショナルでとってもかっこいい。屋根裏部屋みたいな、読書スペースも最高です。 それではきょうも、はじめます。 ①そとごはん この絵本のあらすじはすべて、この表紙の男の子「ボク」が物語っていますので、多くは語るまい。「そとごはん」って、すごくいい響き。谷川俊太郎さんの訳で、登場人物は「チチ」「ハハ」となっ