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大学で見つけた宝物

大学時代、わたしはゼミの先生であるK教授の部屋によく遊びに行っていた。

専攻している勉強について相談する事もあれば、将来や学校生活の事、はたまた、単なるプライベートの話をしに行ったりと、、、先生の部屋は学生の私たちにとって、秘密基地のような神聖で楽しい空間だった。

部屋には、先生の好きな霊長類のオラウータンの写真が貼ってあったり、おそらく教え子の留学生からもらったりした海外の置物なんかも沢山、棚に飾ってあった。

お茶っ葉が、いつも置いてあって、学生のうちの誰かがお茶を入れ、先生が誰かからもらったお菓子をみんなでほうばりながら、あれこれ話したものだ。

先生には、本当にたくさんのことを相談したし、たくさんのくだらない話を聞いてもらった。

かなりシリアスな相談もあったと思う。しかし、先生は、いつも、やや神妙な顔をしつつ、相槌をうって、自分の経験なんかも話したりしてくれたりはするものの、『こうした方がいいんじゃない?』という明確なアドバイスは、ほとんどしてくれなかった。

学生時代は、先生に相談をしに部屋にいって、こんなに沢山話したのに、先生は何にも具体的なアドバイスをしてくれなかった、とプンプンしながら部屋を出ていったが、、、。

でも、今ならわかる。

先生は、学生にあれこれ質問して話を聞き出しながら、最後は学生自身に、自分で答えを導き出して欲しかったのだな、と。 
そして100%正しい正解はない事も。

先生のお子さんの育て方も、とても自由な印象だ。

時々、プンプンしながら先生の部屋を出て行った昔の自分を懐かしく思い出す。

今もあまり成長していないけれど、卒業して20年以上経った今も、先生とゼミ生のみんなで、一年に一回会って、食事会をしている。

みんなオバさんになって、先生はおじいちゃんになりつつあるが、みんなで集まると、先生は昔と全く同じように、楽しげに、時には神妙な顔で、うんうん、と頷いてくれる。

大学で勉強したことは、今の仕事に殆ど役に立っていないが,K教授とゼミの仲間に出会えたことは、今でも私の大きな宝物だ。

宝物はどこに転がっているか、
時間が経たないとわからないものである。 

あー人生って、、、♡

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