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父からの電話

仕事中、ふと、携帯を見ると父と母から合わせて4回も着信が入っていることに気づく。  
周りに離席する事を伝えて、すぐ、父に電話をかけた。

以前なら、平日、私が働いている時間帯に電話をかけてくることは、殆どなかった。 

けれど、今は、両親2人とも高齢になり、私が働いている時間帯かどうか考える余裕がない時は、急に電話をかけてくる事がある。

娘としては、いろんな心配がよぎり、気づいた時は、すぐ折り返し電話をするのだが、九割九分、緊急でない用事だ。

例えば、スマホのライトが消えない、変なメールがスマホに来る、昨日、地震があったけれど大丈夫か?、スマホの画面が割れた、など。スマホ関係が多いかな。

そんなわけで、いざ電話すると、なんだそんな事ー?なんて思ってしまうのだけれど、内心、毎回、大した用件でなかった事に安心している。

今日も着信の多さにビックリして、すぐ、父に電話をかけ直した。

すると、私が送ったふるさと納税の返礼品の鰻が、無事、届いたのこと。ありがとうございます、と父が電話の向こうで言った。父は電話だと、営業で働いていた時のなごりなのか、娘の私にも敬語で話す。

なんだなんだ、そんな事か、とまた思ったけれど、最近、物忘れが顕著な父からのお礼の電話がおもいのほか嬉しかった。

その夜、母からも電話があり、鰻を夜2人で食べたとのこと。おいしかったよ、と言ってくれた。

娘がうなぎを親に送って、
親が娘にお礼の電話をした、
というだけの話。

でも、わたしは今日も父の緊急でない用件の電話に安心して、お礼の言葉を両親から伝えてもらえた事がすごくうれしかった。

私たち親子は決して仲がいいわけでない。

でも、それでも親がいるってありがたいな、
実家があるってありがたいな、
鰻を送って、喜んでくれる人がいてありがたいな
と思う。

なんだかんだいって、私は幸せだ。

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