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歪み愛 【完結】

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〇〇が目を覚ますとそこは...(この話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。)
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歪み愛  1

歪み愛 1

『なんで美空のこと好きになってくれないの?美空はこんなに〇〇が好きなのに!』

『美空以外の女と話さないでよ!
連絡もしないで!美空の事しか考えないで!』

『もうさぁ...!いい加減さぁ...!!』

『美空のものになってよ!!!!!』

...

...

...

〇〇 : んん...

眠りから覚めて、ゆらゆら霞む視界。

美空 : おはよう。

そんな中、今日、初めて俺の目に映ったものは

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歪み愛  2

歪み愛 2

美空 : 〇〇ー?ご飯の時間だよー?

美空 : ちょっと痛いかもだけど...我慢してね?

美空はそう言って、
俺の口を閉じていたガムテープをはがす。

監禁されてから、今日で多分3日目。

さすがにあの日から
ずっとベッドの上のまま...という訳ではなくて

起きてる時はベッドの足に
トイレやシャワーの時は美空や手すりに

錠を繋がれ、俺は監禁されていた。

持ってたはずの携帯は手元からなくな

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歪み愛  3

歪み愛 3

〇〇 : はぁ!はぁ...!はぁ...!はぁ......!

今頃になって、かなりズキズキと痛む両手。

ふらつきながら、
出せる限りの力で夜道を走る。

〇〇 : はぁ...はぁ......はっ...!

時々、振り返っては誰もいないことに安心して

それでも、
早くしなきゃと無理やり足を動かした。

監禁されてから、おそらく7日目。

ついに、俺はあの家から出ることに成功した。

・・・・・?

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歪み愛  4

歪み愛 4

桜 : ちょっとしみるかもだけど...

〇〇 : ぃっ......!

血を洗い流すために水道で手を水に濡らす。

すると、傷口に水が沁みて
あまりの痛さに思わず肩に力が入る。

桜 : あれっ?包帯!どこにあったっけ?

美空の家から逃げてきて、今

俺は隣に住む、"桜"と名乗る女の子の家で
その女の子から手当てを受けていた。

桜 : あ...!あった。

桜 : 手、だして?桜が巻いてあげ

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歪み愛  5

歪み愛 5

〈〇〇?ここにいるんだよね?出てきて?〉

〈今すぐに出てくれば許してあげるから。〉

〈美空から離れていかないで?〇〇?〇〇!〉

落ち着いていて、優しい?そんな美空の声。

しかし、その声とは裏腹に

ドンドン!ドンドンドンドンドンドンドン!

扉を叩く音はかなり強い。

だからこそ
扉の向こう側から、より美空の恐さを感じた。

桜 : ...もしかして、〇〇くんを監禁してた子?

恐ろしさで

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歪み愛  6

歪み愛 6

桜 : んーっ...!んわぁ...ぁぁ...っ...

ぐっと背伸びをして、あくびをする彼女は
眠たそうに目をこする。

テーブルの上にあったデジタル時計を見たら
時刻は既に午前2時過ぎ。

彼女が...というより
普通の人が眠くなるのは当然の時間帯。

桜 : 桜、もう眠たいから寝るね?

桜 : あ!〇〇くんはどうする...?

〇〇 : え、あ...っと、俺は......

薬で強制的に眠ら

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歪み愛  7

歪み愛 7

〇〇 : っ...はっ!...はぁ!はぁ...!はぁ!はぁ...

"目が覚めて"、飛び起きて辺りを見回す。

すると、カーテンの隙間から朝の光が射し込む
昨夜と何ら変わりない部屋が目に映った。

窓ガラスは割れてない。

呼吸は苦しいものの
首を絞めていた美空の手の感覚はない。

というより何より、部屋の中に美空はいない。

それで、
今さっきまでのは夢だったのだと気づけた。

〇〇 : はぁ.

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歪み愛  8

歪み愛 8

桜 : ただいま、〇〇くん。

桜 : 大丈夫だった?地震すごかったけど...

〇〇 : お、おかえり。うん。大丈夫だったよ。

〇〇 : 逆に大丈夫だった?地震...

午後5時過ぎ
大学から帰ってきた桜に、笑顔でそう返す。

けど、内心
うまく笑って言葉を返せているか不安だった。

っていうのも
あれから、頭の中にずっと残っていたから。

菓子缶に入っていた、あの写真のことが。

服装的に、

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歪み愛  9

歪み愛 9

美空 : やっぱり〇〇だ...!

〇〇 : っ...

聞くからに嬉しそうな声と共に

隣の...俺の部屋のベランダから
こちらを覗くように、顔だけ出している美空。

それを見て

まんまと罠にかかってしまった...って思った。

まさか、美空が今、俺の部屋にいるなんて...

昨日見た夢がフラッシュバックする。

もし、ベランダを伝って美空がこっちにきたら
あの夢が正夢になってしまうかもしれな

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歪み愛  10

歪み愛 10

桜 : こんな時間にどこいくの?〇〇くん。

〇〇 : え...あっ...あぁその...

〇〇 : な...なんか今日、全然眠れなくって...!

〇〇 : ...それで、散歩にでも行こうかなって

桜 : へー......今から?

〇〇 : そ、そう...!今から...

玄関の前で咄嗟にそう答えてみても

その答えに全く納得していないのか
桜はずっと真顔で俺のことを見ている。

俺は、そん

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終・歪み愛  1「1」

終・歪み愛 1「1」

[齋藤さーん。
あぁ、ほんとだ。ほんとに目覚ましてる。]

[あのー、齋藤さんね。
起きてすぐ聞くのもアレなんだけど。]

[ご自分のお名前、言ってみてもらえますか?]

「なま...え...?じぶん......の...?」

[そうそう。自分の。]

「......?...っ...と.........〇...〇?」

[あーそうそう。〇〇さんね。齋藤〇〇さん。]

[...よかったー。
ご自分の

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