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#3【雑記・不規則変化】

 言語と切っても切り離せないのが「不規則変化」だ。言語にもよるが動詞、形容詞、冠詞など不規則変化する類は多岐にわたる。これが言語の言語たらしめる所以であり面白くさせている点でもあるのだが、学習者にとってはこれが壁となることは想像に容易いだろう。
 英語、フランス語、イタリア語を学んだ経験からして自分が苦労したのもここだ。なにしろ学習者はまず正則を覚えなければならない上に、決まって序盤ほど不規則系が多い。いったい何故なのか。
 答えはいたってシンプルである。使う頻度が多いからである。そして序盤に不規則系が多いのも同じ理由である。不規則系の大半は基本的なものであり日常生活で最も使われる。故に不規則系が序盤に登場しやすく、また話者の間で生まれやすいと考察した。
 近い将来、翻訳機能が大きく進化を遂げるだろう。人々の交流が今より活発になり至る所で外国語を耳にするようになるかもしれない。もはや耳にすることなく、脳に埋め込んだ翻訳チップが直接訳してくれるかもしれない。
 私が今その中で危惧している点は翻訳機能を媒介とした人間の交流では言語は衰弱化するのではないか、という点だ。人の口から口へと飛び移るように交わされ、「言葉は生き物」と言われるまでに自由に変形してきた言語が生物(セイブツ/ナマモノ)として扱われなくなると人間の言語運用能力は如何ほどのものになるのだろう。
 何でもかんでも機械に頼ってばかりいては人間としての尊厳はどこに生れよう?産業革命の途に労働者を中心に機械打ちこわし事件があったが事態は思っているよりもっと深刻かもしれない。自分たちが生み出したものの奴隷となってきた人類だが、また一つ支配主が増えるかもしれないのだ。今一度自分の脳で取捨選択するときだ。考えよう、選ぶのだ。さもなくば、である。


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