見出し画像

苦手を克服する〜ちょっとの勇気が未来を変える〜

先日、20年ぶりに歯科医院へ行った。
 
何故、20年もの長期間行っていなかったのかというと、実は中学時代、若い男性の歯医者さんに服装や容姿についてセクハラまがいの発言を連発されたあげく、「あなたが動くから手が滑った」と言ってエキスカベーターという器具で唇をざっくり切られたことに端を発する。
両親がその歯科医院に猛抗議してくれたものの、以来歯科医院を見るとどうしてか過呼吸を起こすようになってしまったのだ。
 
 
そんな歯医者恐怖症の私が去年の夏から相次いで歯を悪くした両親の付き添いのため、ちょっと遠方の歯科医院まで車を走らせることになった。
評判の良い、とても朗らかな女性の歯医者さんであることは、歯医者恐怖症の私が調べ上げて見つけたところだったので十分わかっていた。両親のためにネットで歯医者さんを探したのは、私自身、20年ぐらい歯科検診をしていないことに不安を抱いていて、ここの歯科医院だったら行けるかもしれないという希望を見出したからだ。と言っても、やはり突如としてエキスカベーターの尖った先っぽが脳裏に浮かぶと、「やっぱり無理だ」と思ってしまい、自分の診察についてはすっかりと諦めていた。
 

そんな話をイギリス人の友人とのおしゃべりタイムでこぼしていたら、
 
「ママと一緒の時に歯を診てもらえばいい。大騒ぎするママと同じ時に診てもらえば酷いことはされないと思う。それに、親のために”この女医さんなら”と思って選んだところなら、きっと大丈夫」
 
と、イギリス人の友人が言った。
この美容マニアの友人は歯も美容の一つと考えているので、歯ブラシ、歯磨き粉、洗口液、フロスの種類をマニアックなほど知っており、前々から私の歯医者トラブルについては心を痛めてくれていた。
 
そして。。。
何故かその会話を聞いていた母が唐突に、歯科医院の受付で次回の予約をする時に私の事情を話して私の予約も入れてしまった!
治療が終わった頃に歯科医院前まで迎えに行った時、車に乗った母から私の予約日の話を聞き、プチパニックを起こして、帰る道を間違えて隣町まで行ってしまったぐらいだ(笑)
しかも、その動揺を治める暇もなく、イギリス人の友人が、「歯医者に行くと決まったら!」と、顔の脱毛から保湿ケア、薄付きのファウンデーション選びまで指示してきて、予約日までの1週間はまるでブライダルケアの如く顔の細やかな手入れをする羽目になり、私は歯科医院に行く前からとても疲れ切っていた。
 
 
「歯周病ケアとステイン除去をしたいのですが」
 
恐る恐る言えば、年層の女性歯科医は目元をニコっとさせて、「では、20年分のステインを取りましょうね」と言った。歯垢とステイン除去、すべての歯をくまなく診察されている間、すっかり俎板の上の鯉状態。
診察結果は虫歯もなく、歯も親知らず入れて32本綺麗に生え揃っていて健康的だと褒められ、次の検診は半年後となった。
 

「ありがとうございます、本当に助かりました」
 
気付いたらそんな言葉が出ていた。
 
「若い時にそんな怖い目に遭ったら、誰でもそうなるわよね。でも大丈夫です、あなたは今日踏み出したのだから、これからは歯医者恐怖症にはなりません」
 
女性歯科医のかけてくれた言葉に、私は自然と歯を出して微笑むことができた。知らぬうち、あの時の恐怖から歯自体がコンプレックスになっていたのかもしれない。今まで歯を出してあまり笑わなかった。
 
これをきっかけに私は変わった。
半年後の検診まで歯の手入れに余念がなく、イギリス人の友人に教えてもらって歯間ブラシやら歯の表面をツルツルにするゴムなど、様々なアイテムを手に入れるまでに至っている。

不思議なことに、歯を綺麗にすると自信が持てる。 
スピリチュアルカウンセラーのみちよさんがYouTubeで、歯がボロボロだと自信がなくなってしまうと話しておられた意味が漸く理解できたような気がした。
 
変わるためにはちょっとの勇気。
その勇気を振り絞ると、全然違う未来が待っているのだと実感した出来事だった。

 “今、超えられるかもしれない”とふと思ったり、周りの人達の力に乗せられて超えることが出来るかも、と直感で思った時はその気持ちとタイミングを大切にして突き進むのも良いのかなと。自分の中にあるひらめきは大切にしたほうがいい。

とは言え、苦手を克服するのはなかなか難しいし、私のようにトラウマになる程の出来事があった場合は心に相談する必要と周囲の人や専門家の指示を仰ぐことも大切なので、”その時”を待つことも大切だと思う。

 
 
 
「あなた、最近いい顔で笑いますよね。ニッて」
 
イギリス人の友人が歯を出して笑うような素振りをして見せる。
 
「みんなのお陰で乗り越えられた気がするよ、20年もののトラウマをね」
 
私はもう一度歯を出してニッと笑った。


2024年3月16日
 ホワイトデーにイギリス人の友人カップルとお出掛けする予定だったので、いつもは使わないスキンケアアイテムを使ってから眠ったところ、明け方に顔中湿疹だらけ!当然お出掛けはキャンセル😨
真っ赤に腫れあがった顔にパニックを起こしながら、ひたすらアレルギーの薬を飲み、塗り薬を塗布している今日の夕方です。

この度はサポートして頂き、誠にありがとうございます。 皆様からの温かいサポートを胸に、心に残る作品の数々を生み出すことができたらと思っています。