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世界24都市を飛び回って開催した交流会--ユーザーとの交流で得た財産

株式会社トラベロコは、海外で実現したいことがある日本人と、それを叶えるスキルがある現地の日本人(ロコ)をつなぐサービスを提供しています。法人化して3年目の2018年、海外20カ国以上を移動しながら働く社員、岡慧隼がロコの人たちと対話するため、世界24都市でイベントを連続開催しました。※2019年1月公開記事

「ネットを飛び出した情報の交差点」を世界の各都市でつくりたかった

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「ロコタビ(旧トラベロコ)」は、2018年に登録者数が12万人になりました。数字だけなぞると大きく成長したように思えますが、まだまだウェブサービスとしては未完成です。しかし、今はそれで良いと思って育てています。

完成形をぽんと出して、「ではこれを使ってください、使い方は……」と提供するのではなく、人が中心となって回っている「ロコタビ」だからこそ、おもちゃの使い方を子どもが開発していくように、使う人と対話をしながらサービスを成長させていくことが理想だと感じています。

そこで、ロコの方々と交流をするため、2017年の終わりから約1年かけ、世界24都市でイベントを開催することにしました。このタイミングで開催した理由は大きく分けてふたつあります。

ひとつ目は、ロコとのコミュニケーションをする機会が減ったこと。

ロコタビはこの3年間、ロコの皆さんと育ててきたという実感があります。

特に2015年ごろは、各国のロコの方々へのヒアリングを通して、ロコタビの基盤をつくりあげていました。しかし、月日が流れるなかで、システムの改善や日頃の業務に追われ、ロコの方々とのコミュニケーションの機会が減ってきました。

「ロコタビ」が次のステップへ進むためには、このタイミングで、顔を合わせて対話する機会をつくることが必須事項でした。

ふたつ目は、培った知見を共有したかったことです。

2015年に比べ、ロコの方々が自身のライフスタイルに合わせて「ロコタビ」を活用していることが明確にわかってきました。

たとえば、ミラノ在住で主婦のロコは、日中の空いた時間を使い、趣味のカフェ巡りをコーヒー好きのユーザーに提供してます。

またロンドン在住のビジネスマンは休日に市場調査のサポートをおこない、同業種のユーザーと新しいつながりをつくるなどさまざまです。

こういった多くの事例を、ほかのロコの方々に共有し、それぞれが自分に合った使い方を考える機会をつくりたいと思いました。

そこで、実際に世界各国を訪れている私は、インターネットから飛び出し、現地で「ロコタビ」の説明や事例紹介、交流をおこなう「トラべロコ・タウンミートアップ」の連続開催をはじめることになりました。


自分に実現できるのか?膨大なタスク、挫折しそうになる自分との孤軍奮闘


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▲岡がイベント開催で訪れた際のNY

個人的にもサービスを通じてしか関わることができなかったロコの方々と直接会えるというだけで、心が踊っていました。

しかし、いくつかの都市を除き、欧州を中心にひとりでイベントを開催することになります。

経験がないどころか、ほとんど行ったことのない国。何からはじめて良いかサッパリわかりません。そもそもの実現のハードルにぶち当たりました。

イベントの運営、LPの作成、各都市での告知集客など、やるべきことはキリがありません。

加えて、効率の良い周遊ルートを決め、航空券に宿の手配、各都市での移動手段や、安全に仕事ができる場所の確保など、考えるだけで気が滅入ります。

「これはもう、違う人間にでもならないと、実現は無理なんじゃないか」とすら思いました。頭がおかしくなって「海外 タウンミートアップ 開催方法」とググったほどです。もちろん、何も引っかかりません。

けれど、タウンミートアップの連続開催は、会社としてこのタイミングで何としても実現したい想いがありました。やるしかありません。

初めは効率が悪く、多くの時間を浪費しました。実際、初めてひとりで開催したアムステルダムのタウンミートアップは、24都市目のロサンゼルスに比べ、10倍ほどの準備時間がかかりました。

しかし、やると決めてしまえば試行錯誤を重ねるだけです。

まずは、必要なことと不必要なことを地道にはっきりさせていきました。「何をすれば良いのか分からない状況」からの脱却は、何よりも精神的な負荷を減らすとわかったんです。

たとえるなら、テスト前に何も知らず「分厚い教科書のどこを読めばいいのか分からず不安」な学生から、試験範囲を知り「マーカーを引いたところを勉強すれば8割は取れそう」な学生へと変わっていく感じでしょうか。

開催を重ねるうちに、マーカー線が増え、精神的な余白が生まれていきました。

結果的に、途中から余白の時間を使って各国で奮闘する若い日本人を取材したり、業界を超えてさまざまな人ともお会いできたのは良い経験でした。


ロコの人たちのためにはじめたはずが、彼らなしでは実現できなかった

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振り返ると、もっとも大変だったのは会場のセッティングかもしれません。都市の規模感やエリアの雰囲気もわからない状況で、遠隔で会場を決めるのには神経を使いました。

海外に滞在することが多い私ですが、ここだけの話、英語は得意ではありません。会場の担当者はほとんど外国人のため、Google翻訳と格闘しながらひとつずつクリアしていくしかありませんでした。

そんななか、救ってくれたのは世界各都市に住むロコの方々です。

会場のセッティングにあたり、主要な条件は大きく分けて3つ。「アクセスの良さ」「30人規模のイベント開催が可能」「プロジェクターなどの必要設備が整っていること」です。

これに、セキュリティ、雰囲気、飲食の持ち込み可能などの細かい条件を加えていく流れになります。これらの条件を満たす会場をインターネットで探すのは困難を極めました。

そんななか、試しに「ロコタビ」を利用してみることにしました。営業トークに聞こえるかもしれませんが、これが大正解で、なぜ最初に思いつかなかったのかと悔やんだほどです。

具体的な利用方法は、シンプルで、開催を予定している都市のロコに無料Q&Aでオススメの会場を聞き、対応可能なロコがいたら、そのままサービス依頼もするというものです。

結果的に、1都市あたり平均10回答ほどいただき、それらのほとんどが自分で調べた時には出なかった会場でした。

たとえば、ベルリンでは空間アートをなりわいにされているロコの方にイベントスペースのあるカフェを教えていただき、そのまま会場の予約と調整のサービス依頼をしました。

結果的に、ほとんどの会場は各都市のロコの方々がオススメする会場で開催しました。ひとりでは叶えられなかったことを、ロコの助けをもらい実現することができたんです。

これまで「ロコタビ」の運営者として多くの体験エピソードに触れてきましたが、まさか自分自身でこんなにもサイトの価値を実感する日が来るとは思ってもいませんでした。

タウンアップミーティングは、ロコの人たちのためにはじめたはずが、彼らなしでは実現できないものだったのだと気づきました。

「」というサービスの可能性を身をもって感じることができた、私にとって大きな財産である体験です。


「トラべロコ」という“場”を、みんなで育てていきたい

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結果的にタウンミートアップは、世界24都市、20代から70代まで年齢職業問わず400人以上の海外在住者の方々にご参加いただきました。

2018年12月には、終着点として東京で120名を超えるイベントを、無事に終えることもできました。間違いなく創業以来、ロコとのコミュニケーション量と密度がもっとも高かった年だと思います。

直接会うことで、分け隔てなく「ロコタビ」の改善に向けた多くの知見をいただくことができて、心の底からやってよかったと思える企画になりました。

そんななか、あらためて、「ロコタビ」という場をロコの方々と一緒につくりあげていきたいという想いが強くなりました。

今回のタウンミートアップを通じて何度も感じたのは、「ロコタビ」がただのマッチングサービスではなくなってきているということです。

私が各国を訪れるたびに、「ロコタビ」という場を面白くするアイデアの提案をたくさんいただきました。

「世界中のロコで協力して、本を出版したい。」「みんなで協力して各エリアの基本情報を整備したい。」など、サイトの可能性を広げるアイデアばかりです。

徐々にマッチングサービスとしてだけでなく、ひとつの共同体としての側面を持ちはじめたのかもしれません。

2018年現在、株式会社トラべロコは、社員が8名しかいません。少人数なので、常に外の人と関わり協力しながら「ロコタビ」を育ててきました。

だからこそ、今後もロコの方々を含め、あらゆる人たちと一緒に力を合わせて、みんなにとって良い場所をつくれないか考えていきたいです。

そんななか、会社でもロコと協力して世界各国の魅力をローカルから発信するという企画があがり、世界中に点在するライターを募集しはじめました。(詳細はこちら)

現在世界各都市からステキなライターの方々から応募がきており、地球規模で仲間が増えていくことにワクワクしています。

これからも、海外在住日本人の生活の一部になるようなサイトづくりを心がけ、試行錯誤を重ねていきます。ぜひみなさんと一緒に、「ロコタビ」という場をつくりあげていければ嬉しいです。

▼岡が、タウンミートアップについて取材いただいた記事はこちら▼



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