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「なんでやねんエチオピア」アフリカ大陸縦断の旅~エチオピア編②~

*前回の物語はこちらから!!!



 2018年8月24日、午前11時頃。ピアッサ地区から次の目的地であるアルバミンチ、またその先のカイヤファールへと向かうはずだった私たち。そのために情報を集め、ようやく見つけた3つのバス会社。しかし、その全てに振られる始末。私たちの目的地へと向かうバスは、存在していなかったのです。エチオピアに入国した初日、私たちは早くも先への進み方が分からなくなってしまいました。

「こうなったら人に聞いて回るしかない。」

・SKYBUS/SLEAMBUS/GOLDENBUS/の3つのバス会社からはすでに断られたので、それ以外のバス会社を探していること
・地図を見せながら、自分たちの目的地を明確に伝えること

 言語が通じないことは百も承知。それでも、この2点だけに集中して、ピアッサの街の人々に尋ねました。

 親切なピアッサの街。私たちの伝えたいことを理解するため、多くの人が耳を傾けてくれました。しかし、よほどあの3つのバス会社が大きいのか、別の長距離バスを扱う会社を教えてもらうことができないまま、時間だけが過ぎていきました。

「今日は動けそうにないな。ピアッサに泊まるか。」

 そう思いながらも、日没までは粘ってみようと、私たちは聞き込みを続けました。

「小さなバス会社がいくつか並んでいる場所がある。もしかしたらそこから、アルバミンチまでいけるかもしれない。」

 人に尋ねて1時間半ほど経ったその時、とある男性が私たちに手を差し伸べてくれました。

「ここからそんなに遠くない。10ブル(当時約40円)で連れて行ってあげるよ。」

 これが本日最後のチャンス、行かない手はない。

 私たちは何者かも分からない男性とともに、15分ほど歩きました。そして見えてきたバス会社。社名とともに区切られたいくつかの建物。

「(こんだけあったら1つぐらい、、、。せめて、明日の便を予約させてくれ。)」

 そう願いながら、いざ建物の前へ。私たちは愕然としました。おそらく横並びに6つほどあった小屋のようなバス会社。しかし、どこをどう見ても従業員は女性1人。使われている形跡がない小屋も。

「6つのバス会社ワンオペなん!?」

 訳が分からないまま、とりあえずその女性に話しかけてみること。私たちの代わりに、ここに案内してくれた男性が通訳してくれました。

「アルバミンチまで行きたいんですが、バスあります、、、?」

 案の定、答えはNO。もはやこの景色を見た瞬間に分かっていたことでした。

「(そうやんなー。やっぱり明日出直すか。)」

 肩を落として帰ろうとする私たちの元へ、ここまで案内してくれた男性が声をかけてきました。

「50ブル払ってくれ。」

「(え、、、?)」

「いや、10ブルゆーてたやん!!!」

・バス会社までの案内代
・通訳代
・女性と私たちの交渉の待ち時間代

 これらを含めて金額が5倍に跳ね上がったという男性の言い分。

 そんなことに納得できるはずもなく、両者一歩も譲らず、10と50の言い合いが続きました。

 そんな現場に遭遇してしまった、通りすがりの男性。なぜか彼が私たちの間に入ってくれました。

 そして、私たちの20ブルの支払いで決着。

「(1人10ブルって考えるしかないか。1人分か2人分か、どっちの値段か聞いてなかった俺も悪い。通りすがりの男性に、喧嘩仲裁代とか言われへんかっただけええわ。)」

 こうして、謎の反省と諦めを感じていると、さっきのワンオペ女性が声をかけてきました。

「私の友達がもうすぐアワサに向かうから、一緒に乗せていったもらったらどう?」

「(は!?どういうこと?まずアワサてどこ?アルバミンチに行きたいねん。)」

 とてもすぐに理解できる内容ではなかったため、詳しく話を聞きました。

・私たちが金銭トラブルを起こしていた最中に、たまたま連絡をとっていた友人がアワサに向かうことを知り、私たちを乗せるように頼んでくれた。
・アワサはアルバミンチの少し北側に位置しており、アルバミンチやカイヤファールまでのバスがたくさん出ている。
・その友人に600ブル(当時約2400円)払って欲しい。

 とまあ、おそらくこのような感じであったと思われます。

 エジプトで他人を信用できなくなった私たち。さらにエチオピアでは、情報収集した自分を信用できなくなりつつあった私たち。どうせ行く当てもない。何をするべきかも分からない。ピアッサに残っても意味はない。ピアッサからアルバミンチまでの相場とあまり変わらない値段。余計な金だけ取られなければいい。

 ほとんど投げやりになっていた私たちは、アワサまで連れて行ってくれるという、ワンオペ女性の友人を待つことにしました。

「はぁ。なんなんエチオピア、、、。」

 予測不可能な展開が続くこの国に、ため息をつきながら待つこと1時間。愛想の良い2人の男性が到着。ワンオペ女性と何か会話をした後、私たちを車へと案内してくれました。特に何か話すわけでもなく、荷物を積み、後部座席に乗り込んだ私たち。こうして、4人乗りの小さな車は、変な緊張感の中、アワサに向かいました。

 道中、ほとんど会話はなし。4人が絶妙な距離感を保ちながら、両側に自然や動物が続く道を走り続けました。何かあってからでは遅い、ということで眠れなかったこと。霧まみれで前が見えない道を平然と60キロのスピードで30分ほど走り抜けたこと。それ以外は特に何もなく、約5時間後、無事にアワサへと到着。指定された600ブルを支払うと、周辺のホテルを探してくれ、さらにアルバミンチに向かうためのバス停にまで案内してくれました。

「ただただ親切な人やったな、、、。」

 本当にこれだけで終わるのかと、逆に恐怖を感じるほどでした。そして、彼らに頭を下げて礼を言い、別れを告げました。

 時刻はすでに夜の19時。怒濤の展開だった1日を終え、少し疲れた私たちは、彼らが見つけてくれたホテルへとゆっくり歩き始めました。

 すると突然、後ろから聞こえる子供たちの大きな声。それはだんだんと近づいてきました。

 振り返ると10人以上の黒人の子供たちが私たちを追いかけて、全速力で走ってきていました。

 無意識に疲れた体が動きました。絶対に追いつかれてはいけない。気付けば、私たちはアワサの歩道を本気で走っていました。


「(はああぁぁぁぁ!まじでなんでやねんエチオピア!!!)」

 


*続きの物語はこちらから!!!












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