higuchi0113_ドラッグされました_

『新しい料理の教科書』

こんにちは、樋口直哉です。この度、このnoteがマガジンハウスから本にまとまりました。

何点か入っているcakesの記事以外のnoteベースのものは結局、本文を全部書き下ろしていますし、フライドポテトなどはnoteの記事とは違い、作りやすいレシピにしているので、ぜひ購入していただき、中身を確かめていただけたら、と思います。

・鶏のから揚げ (冷たい油から揚げるとジューシーになる)
・豚肉の生姜焼き (合わせ調味料の酵素の力でやわらかく)
・鶏もも肉のステーキ (肉汁たっぷりの秘密はレモン汁にあり)
・牛肉のステーキ (高温のフライパンで何度も裏返しながら焼く)
・超絶ハンバーグ (卵を入れない、玉ねぎは炒めない)
・喫茶店風ナポリタン (麺に煮詰めた濃厚なケチャップをからめる)
・王道チャーハン (木べらで切るように炒めるとパラパラになる)
・親子丼 (卵は二度に分けて加えると半熟トロトロ)
・最高のオムレツ (焼く15分前に塩を入れると、驚くほどふんわり)
・青菜の炒め物 (シャキシャキにするには水蒸気の力で一気に加熱)
・玉ねぎのロースト (蒸し焼きにすると、とろける甘さに)
・茹で上げブロッコリー (濃い塩水で2分茹でると風味が残る)
・インゲンのサラダ (茹でる時に塩を入れる必要なし)
・ほうれん草のお浸し (たっぷりの湯で茹でるだけで色は鮮やかに)
・フライドポテト (冷ましてからもう一度揚げると、カリカリになる)
・元祖ポテトサラダ (砂糖を加えて茹でると冷めてもしっとり)
・ブリ大根 (最初に酒を加えるとくさみが消える) などなど

あれ、コツコツ、リンクを貼ってみたんですが、玉ねぎのローストのレシピってnoteに載せてなかったっけ……ちょっと、見つかりませんでした。追って掲載します。

オビに"新常識35"とあるのですが、マガジンハウスの内容紹介には17項目(レシピ)しか記載がありません。

という質問がありましたので、目次を追加しました(2/7日)

最初は「ビジュアルを入れた料理本にしましょう」というコンセプトでスタートしたのですが、すぐに編集サイドから「文章を生かしたい」という要望があり、こんな形のきわめて文章が多い本になりました(笑) おそらく料理本としては異色の文章の多さだと思います。

noteをはじめとするネット媒体は原則、横書きで、やっぱりレシピなど「見る」コンテンツに向いていると思いますが、本は縦書きなので「読む」コンテンツに適しているんだなぁ、と改めて感じました。装丁は90年代の料理本風のレトロ感がありますが、中身はばっちり最新系の情報をフォローしています。

合理的だから、おいしい!

というのは本の見返しに編集サイドがつけてくれたコピーです。本当にそのとおりだと思います。料理は科学とよくいいますが、それは適切な表現ではないと思います。身の回りで起きていることはすべて科学現象だからです。

科学の実験では基礎理論を学び、そこから実験計画を立てます。料理も同じ。食べ物の生育環境や風味がどうやって生まれるかを知っておくと、料理を上手につくることができます。そんな科学における基礎理論を学べる本になったか、と思っています。

本に書ききれなかった料理のコツを3つだけ書きます。

1 塩とコショウ

この本のレシピを作る場合、塩は精製塩を使ってください。というのも塩は形状が一つ一つ違うので、レシピ通りに小さじ1/2とやっても使用量が変わってしまうからです。プロのキッチンでも野菜を茹でるときや、パスタを茹でる時など、精製塩が大活躍しています。

高価な自然塩や粗塩を使いたいなら、料理に慣れてきてからにしましょう。自然塩は調理中ではなく、仕上げに使うようにしてください。焼き上がった肉に粒の大きなフルール・ド・セルを振れば、すっきりと際立った塩味が素材の風味を高めてくれます。

コショウは挽きたてを使うのがおすすめです。あらかじめ挽いてあるものは香りが消え、いがらっぽい風味があります。最近はスーパーなどでもミル付きのコショウが売っているので、それを購入しましょう。

大事なことは「塩コショウ」という調味料はない、ということ。塩をふるか、胡椒を振るかの選択も重要です。基本的にいくつかの例外はあるものの塩は調理の最初に振ったほうが食材の風味を引き立てますし、コショウは最後に加えたほうが香りが立ちます。

2 味見

とにかく重要なのは味見。頻繁に味見をする習慣をつけてください。塩加減は迷うところか、と思いますが、はじめのうちは計ったほうが失敗が少ないか、と思います。

また、必要とあれば調理中の料理から一部をとりだしてそこに塩を加え、味見をすることを繰り返してください。ある瞬間に「一番おいしい」というポイントがあり、次に「入れすぎた!」という味になるはずです。そうしたらとりだした一部を鍋に戻して、改めて先程の「一番おいしい」ポイントを目指して塩を加えてみればいいのです。これを繰り返すうちに味付けは上達していきます。

また、料理は全体のバランスが重要です。例えば主菜の味が濃い場合はスープの味は控えめにという具合に調整してください。野球のピッチングと同じで全力のストレートを投げるだけではいい投手にはなれません。投球にも料理にも緩急が必要なのです。

3 料理をする前に

料理は主観的な行為です。悩み事を抱えていたり、疲れていたら、料理をしないという選択が正解です。外でおいしい料理を食べて気晴らししましょう。おいしい料理を食べることも料理を上達させる方法の一つです。

さて、長々と書きましたが、改めて『新しい料理の教科書』をよろしくお願いいたします!


撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!