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アートや美術品の資産形成や投資事情1

近年投資家の投資対象として、株式や不動産など従来の投資対象だけでなくアートや美術品、古美術品(以下まとめて美術品)への投資が注目されています。その中でも中国美術への投資はここ数年顕著に急上昇しました。例えば斎白石(中国の著名水墨画家)は日本で数十万円で取引されていましたがものの10年にほどで10倍から30倍くらいになりました。そして2021年の現在に及んでもまだ値下がりはしていません。そのように全体が大きく前進した中国美術市場と裏腹に日本はそうではありません。日本の美術品販売のカタログを見ていてもバブル期に300万円の茶道具、例えば楽茶碗は平成10年に半値、2021年度には50万前後とどんどん値下がりする一方ですが、この値下がりには二つの要素があります。まず一つ、これは単純に値下がりしているというより、本来の現在需要に収束しているだけだと考えます。すなわちその時点の適正価格な訳です。以前はヤフオクやメルカリ、など個人間売買もなく、まして鑑定も難しい美術品となるとプロの言い値で買わざるを得ない部分はあったでしょう。しかしながら幸いにも現在は売買履歴を公開するオークションも増え、個人でも簡単に売買できるようになってきました。

これにより購入者は真贋はさておき同類品の比較対照を容易に行えるようになりました。二つ目は茶人の人口減です。茶道具は茶道で使う道具である以上茶道人口減は需要減になるのはいうまでもありません。この点が茶道具としての茶碗と、道具としてだけでない美術品との違いであり、鑑賞しうる、そのものの美しさを備えていないものの宿命かもしれません。

中国がそもそも公開オークションで中国美術品を売買しているのも確信犯であり、結果として美術品の価格の安定へとつながり安定資産としての美術品を意識する時代です。仮想通貨や株式など様々な投資対象がありますが、元来は超富裕層しか知り得なかった美術品の資産家の世界の入り口が誰でも入れるようになったわけです。ただこの世界も株式投資に投資アドバイザーがつくのと同じで明確なアドバイザーであり鑑識眼も確かなディーラーやオークションハウスと良好な関係を築かないとたちまち稼いだ金はガラクタに変わるでしょう。ですがうまく利用するとこれほど節税でき、リターンの安定する資産もないのです。近年現代アートの人気が(もともと海外では当たり前の世界)国内でも増えていますが、現代アートと古美術は同じ線上、時間軸の中にあるものですから次第に国内の文化的古美術にも目が向くことでしょう。そんな国外の評価が中心の自国の美術品にも内需が増えることを願うばかりです。つづく。


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