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G7「コロナサミット」に期待、観光業で全世界2億人が失業も

 今週は、わずかに期待の持てそうなニュースに接して少しだけ心が軽くなりました。何かと言うと水曜日のまとめでご紹介した記事で、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)が主要な旅行関係企業のリーダー100人超を代表し、G7各国(日本、米国、カナダ、フランス、ドイツ、英国、イタリア)と豪州、韓国、スペインの政府に対して書面を送り、「コロナグローバルサミット(COVID-19 global summit)」を開催するよう要請したというものです(写真は16年の伊勢志摩サミットのもの。wikipediaより転載)。

 書面に署名したリーダーたちは、エクスペディアグループやトラベルポート、IBM、ウーバー、ブリティッシュ・エアウェイズ、エミレーツ航空、シンガポール航空、TUI、ハイアット、マリオットなど錚々たる企業のCEOなどで、記事に埋め込まれた書面を見るとJTB前会長の田川博己氏の名前も見えます

 観光産業のダメージは筆舌に尽くしがたいレベルであるにも関わらず、新型コロナウィルスに対する世間の反応は過敏であり続け、一向に打開の予感はありません。そして海外諸国もそれぞれ同じような悩みを抱えつつ国民性も異なるなかで、仮に日本が交流再開に舵を切ったとしても相手国が同調してくれるかは運任せのようで、最近はこのままいくといつまで経っても交流を再開できずに業界は死んでいくばかりかとすら考えていたところでした。きっと多くの業界関係者が同じような危機感や閉塞感に苛まれているでしょう。

 しかし、実現のハードルは高いのかもしれませんが、仮に「コロナサミット」を開催でき各国が再開に向けて足並みを揃えられるのであれば前に進める可能性はあり、むしろこれ以上の方法はないのではないかとすら感じます。G7サミットの開催も予定されているタイミングですので、一縷の望みくらいは持っても良い気がしますがどうでしょうか。

 コロナの議論は結局「どちらを救うか」のトロッコ問題であるわけですが、このまま行くと観光産業だけでもものすごい数の失業者が出る可能性(WTTCは全世界で1.97億人と予測しています)がありますし、飲食など他の多くの産業も甚大な影響を受け、収束の時期もまったく見えません。一方では亡くなった方の数で1200人弱で、インフルエンザで年間3000人近くが亡くなることもあることを考えれば、感染拡大の抑止は徹底しつつもうまいこと付き合って経済を回していくほかに道はないはずなのです。

 すでに海外では少しずつ歩みが進んでおり、例えばポルトガルなどでは訪問者に対し感染時の費用をカバーする保険を提供することで安心して旅行してもらえるようにする施策も導入されているということですし、そもそも入国制限を緩和する国自体が増えてきています。また、民間でもMICE参加者用のリストバンドが開発され、装着する参加者の体温をモニターできるだけでなく、感染者が出てしまった場合の接触確認も容易にできるのだそうで、読む限りでは非常に理にかなったツールではないかと思います。

 先程、世間の反応は過敏と書きましたが、それを大きく左右するメディアは相変わらず新規感染や重症など「その日に一番悪く見える数字」を取り上げ、そのくせ「観光地には深刻なダメージが」などと言って無責任極まりなく、心底腹が立ちます。ある方から「感染症の研究で飯食ってる会社」の要職に就かれている野村慶太郎さんという方のFacebookページをご紹介いただいたのですが、投稿を拝読しまさに拍手喝采の気分でした。

 もちろん自分の耳に心地良いことを言ってくれる人の意見ばかり聞こうとする態度は誤りであり、個人の発信が盛んな現代においては常にそのバランスに気を付けなければならず、そして私は感染症のことも医療現場のことも分からない素人ですので投稿の真偽を判断する能力は持ち合わせません。しかし過去のご発信を遡って読む限り、客観的な視点を常に持たれようとされているご様子で、できる限りは客観的であろうと信念を持って文章を書き続けてきた身として十分に信頼できる情報ソースと直感します。

 観光産業に従事されている方ですら「でもテレビがああ言っていたし…」と自粛ムードを良しとされることがあるようで悲しくなりますが、そうやって自分の人生を誰かに委ねていると、いざ自分が立っている地面が地盤沈下した時に別の場所には簡単に移れないでしょう。玉石混交の情報に常日頃から触れたうえでどれは客観的、論理的に間違いないか、日頃から考えておく必要があるはずです。(松本)



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