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観光産業1.2億人が失業の危機、ウィズコロナの取り組みも

 平日の毎日更新している海外ニュースのクリッピングですが、今週は約140本、1日あたり30本弱の記事をご紹介しました。もともと前職にいた頃に情報収集を兼ねて始めた作業でしたが、独立してすべての時間を自分で使えるようになったことでチェックするメディアの数も取り上げる記事の数も増えています。

 結果として結構な時間がかかるようになってしまい悩む部分もありますが、ここまで多くの海外業界誌にしっかり目を通している人間は日本で他にいないのではないかと思いますし、「日本で一番世界の観光産業の現状やトレンドに詳しい人」になれる予感もあります。習熟による作業時間の短縮は課題ですが、焦らず丁寧にやっていきたいと思います。

 さて、そうしたクリッピングを通して知る「観光産業の現状やトレンド」ですが、最近の傾向としてはコロナ禍に対して「もういい加減にしてくれ」という観光産業の叫びが大きくなってきている印象です。今年だけで世界の観光産業で働く1.2億人が職を失う可能性があるという試算もあり、本当に厳しい状況であるわけですが、そうした中で例えば英国では、業界誌が「#SaveTravel」キャンペーンを展開して1.1万筆以上の署名を集め、国会議員や大臣にロビー活動をしています

 また、出国自体が原則禁止されていたり州境が封鎖されたりしている豪州のメディアからは国民のフラストレーションも相当の様子であることが感じられ、「出国の自由」は憲法に定められていないのかというような議論も目にします。基本的人権としての出国の自由なんて考えたこともありませんでしたが、外国への渡航とか県をまたいでの移動といった旅行業にとっての根幹に当たる行為がそもそもどういう性質のものであるかという点は、こういう機会だからこそ考察してみるのも良いように思います。

 一方、世界的にはウィズコロナ、アフターコロナの旅行について色々と新しいアイディアや商品も出てきていて、例えばシンガポールの企業は展示会などで使えるリストバンドを開発し、参加者の体温の変化をチェックするほか、だれかが発症した際には他の参加者との接触履歴も確認できるようにしているそうです。

 また、保険も注目の的で、旅行保険にPCR検査をオプションで付けて、陽性が出てしまったら旅行費用が返ってくるものや、感染時の治療費だけでなくその後のプライベートジェットでの帰国の手配まで約束するプログラムも登場しました。

 政府や企業が旅行需要の回復に取り組もうとする際に、保険費用を負担する試みは確かに消費者の目線で考えても最も直接的に安心感が高まる方法の一つですので、日本でもこれから普及していくだろうと予測しているところです。

 また旅行会社が顧客とのつながりの維持に工夫を凝らしているという記事では、レザーのパスポートケースをプレゼントして次の旅行に思いを馳せてもらったり直筆の手紙を送ったりする施策が紹介されていました。

 観光は必ず復活すると断言できる一方、旧来型旅行会社の未来は、そもそもコロナの前から危ぶまれていたわけではっきり言って相当厳しい状況ではないかと思いますが、こうした取り組みは人と人の心の交わりそのものであり、リアルエージェントならではの試みで、是非奏功してほしいと願っています。(松本)


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