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片道5分の海外旅行
最近、インドカレー屋で酒を飲むことがマイブームになっている。
満腹になってしまうので、あえてカレーは頼まない。タンドリーチキンやシークカバブ(ひき肉の串焼き)、チーズナンなどをつまみにハイボールや海外のビールを飲む。
メニューに並ぶ未知の料理を眺めながらどれにしようか迷っていると、日本にいながらにして異国を旅行しているような気分に浸れる。一度、店を出ると通りに寝そべっているおじさんがいたことがあり、本当にどこか遠いアジアの国へトリップしてしまったのかと錯覚したものだ。
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どの肉料理にも独特の風味がある。香辛料や肉そのものの香り、燻したような香り。意外にもその風味がハイボールに合い、つい酒が進んでしまう。肉料理以外でも毎回頼んだことのないメニューに挑戦しては、予想外のものが出てきて驚かされる。
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軽いおつまみ感覚で「サモサ」を頼んだら、想定の3倍くらい大きな揚げ物がでてきた。中はぎっしりと芋が詰まっており、口の中が渇いてしまうのでハイボールをお代わりする羽目になった(そういう作戦かもしれない!)。
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ネパールの餃子と言われる「モモ」は小籠包のような見た目をしているが、スパイスを合えたソースに付けて食べる。半信半疑で口にすると、これが意外な調和を見せていた。
私にとって、「食」は旅の中でも大事な要素である。ご当地料理を楽しむことはもちろん、例えばゲストハウスで人とコミュニケーションをとる第一歩のツールとして有効だ。
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タイのゲストハウスではトムヤムクン味のプリッツを買っていき、輪にいれてもらうきっかけになった。福岡ではスタッフと「もつ鍋を食べたい」と相談している人がいたので一緒に行くことを提案し、同じ釜の飯ならぬ同じ鍋の飯を食うことで仲良くなった。
SNSが発達した今、旅の記憶はもっぱら風景や現地の自撮り写真など視覚情報で語られることが多いように思う。しかし、旅の記憶として自分の中に残っているのは嗅覚、味覚による情報が多いような気がする。それは他者に対しては、言葉によって一部を共有することしかできない。しかし、いや、だからこそ自分の中で宝物になっている。インドカレー屋で酔っぱらうと、また旅をしたいと強く思う。
まだ海外旅行は躊躇される日々が続き、時々憂鬱になる。そんな時に「地球の歩き方 世界のグルメ図鑑」を書店で見かけて買った。
料理の紹介だけでなく、各国の料理を出しているレストランまで載っている。スペインやイタリア、インドなどはもちろん、エジプトやクロアチアなど料理の想像がつかないような国まで紹介されていた。
現地で食べられればもちろんそれが理想だが、それが難しい今、日本で各国の料理が食べられるなら行ってみる価値はありそうだ。日本人向けにアレンジされているだろうが、口に合わなければ合わないでそれも一興。逆に強烈な記憶として残るし、笑い話にしてしまえばいい。
どこから攻めようか。知らない国であればあるほど面白そうだ。いや、意外とメジャーな国でも、知らない一面を見せてくれるかもしれない。
どこへ行こうか、どこへでも行ける。旅行前の高揚感に似た気持ちが久しぶりに戻ってきた。
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