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ITベンチャーに転職して、3年で破綻した話 #1

まさかこの経験を記事にする日がくるとは。

私は十数年前、ITベンチャーに転職した。その時の話をしようと思う。

転職を決意

当時私はギャンブル関係の会社で働いていた。新卒で入った会社で、かなり安定した売上がある会社で、給与もよかった。ほぼ競合がいない特殊な業界だったので、基本的に同じことを繰り返していればよく、頑張る必要もなかった。
また仕事はできるほうだったので、社内評価もよく、いつもS評価をもらっていた。当時私は若かったので、調子に乗り、もっともっと仕事がしたい!と思っていた。

しかし、とある出来事がきっかけで転職を決意することになった。

私には尊敬していた上司Hがいた。とても面倒見がよく、ほとんど残業がない会社だったが、私が残業していると、家庭があるにも関わらず、必ず付き合ってくれた。

この上司Hが信頼しているのが、役員Nだ。元々、この上司Hとこの役員Nは、部長と部下の関係で、その頃はとてもよい上司だったそうだ。

しかし、Nさんは役員になると人が変わってしまった。Nさんは自分が現場をみないと気が済まないタイプだった。自分が離れた現場は認めず、自分が仕切っていないものはぶち壊し、自分で作り直すほど、徹底していた。
特になにかを発注するときはほとんどNさんが決めていた。なので、ほとんどのベンダーはNさんへ特別な対応(接待など)をしていた。あまりにあからさまなので、私は嫌悪感を抱いていた。

Hさんは私の上司だったが、私はNさんに頼りたくなかったので、なるべく自分1人で仕事を進めていたが、いつも途中でNさんに仕事を取り上げられていた。
私はいつまで経っても、Nさんの言う通りの仕事しかできず、フラストレーションが溜まっていた。そんなときにいつもフォローしてくれたのがHさんだった。Nさんは当然それが気に食わなく、執拗にHさんを追い込んでいった。
ある日ついにHさんが会社に来なくなった。

その後、Hさんは半年間休職することになった。
半年後にHさんは復職できたのだが、私はすでに転職を決意していた。Hさんは私を買ってくれていたので、ただ申し訳ないという気持ちしかなかった。

ちなみにHさんとは今もたまに連絡を取るが、ずっと同じ会社で元気に働いているようだ。

転職活動

さて、転職すると決めたら転職活動をしなければならない。当時私はこれからは、プラットフォーマーが強いと思い、プラットフォームサービスをやっている会社を探した。最初は転職エージェントを使って、何社か面接を受けた。

私は自分が言うのもなんだか、そこそこスペック(学歴や年齢)がよかったので、メジャーな会社を紹介してもらったが、面接がなかなか通らない。今考えれば、特別なスキルもないし、実績もないから当たり前だった。

なかなか大きい会社は難しいのかな、と思いながら、自分でもプラットフォームサービスを提供している会社を探していたら、とある会社が目についた。
新しい技術を使って、新しいプラットフォームサービスを開発している企業だった。
研究機関からスピンアウトした丸ノ内にあるベンチャーで、資本金は2億以上、大手のベンチャーキャピタル、大手企業が出資していて、国のプロジェクトにも多数採択されている。

ちょうど中途採用を募集していたので、私はすぐにコンタクトを取り、応募したい旨を伝えた。

すぐに面接となり、丸ノ内にあるオフィスビルで面接をしてもらった。面接してくれたのは、技術系取締役のTさん、技術部長のKさんだった。2人とも豊富な専門知識があり、頭の回転も早く、この2人の元で働きたい!とすぐに思った。

聞くと、今案件が多すぎて、断っているくらいだ、とのこと。誰もが知っている企業とのプロジェクトや、プロスポーツ向けのプロジェクトなど、これまで地味な仕事ばかりしてきた私にとっては、キラキラした仕事ばかりだった。
意気込みを伝え、面接は終了。一次面接は無事合格し、すぐに最終面接。最終面接では社長Kにその場で内定を告げていただいた。

慰留

転職先が決まったので、会社に退職願を出さなければいけない。Hさんには相談していたが、退職を伝えるとなるど、Nさんに言わないとダメだった。その頃、私は口も聞きたくないくらいNさんを嫌っていた。今思うと、ただの子供だったな。

そこでF社長へ直接話をしにいくことにした。

F社長はNさんと仲がよくなかった。私はF社長からは評価してもらっており、よく直接仕事の指示を受けていた。今思うと、Nさんはそれが面白くなかったのかもしれない。

F社長に
「実は会社を辞めたいんです」
と伝えた。F社長は、
「ダメだ。君に辞めてもらっては困る。悩みがあるなら相談に乗るから、話してくれ」
と言った。私はすべて正直に話したうえで、意思は変わらないと伝えた。
なぜか涙が出てきたのを覚えている。多分思うように仕事ができず、私は悔しかったのだ。情に厚い方なので、F社長も涙を流してくれた。
結局2ヶ月間慰留された。時にはHさんも交えて話し合ったが、私の意思は変わらなかった。
F社長は、最後は認めてくれたが、私が会社を辞める理由を書面に提出することを求めた。それをNさんに突きつけて、Nさんを追い出すつもりだろう。私は書面を提出し、会社を辞めた。

この間に内定をもらっていたベンチャー企業は大変なことになっていた…。

#2へ続きます

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