30 Day Song Challenge Day 30 (Last)

いよいよ今日が最後。1ヶ月間読んでくださりありがとうございました。
自分の好きな曲を延々あげていくだけの、なんの捻りもない企画でしたが、毎日楽しんでできたのでよかったと思っています。自己満足ですが。テーマに沿った曲を考えるのはなかなか大変なこともありましたが、いつも楽しんでやっていました。このタグを通して、自分って案外音楽好きじゃん、ということが浮き彫りになったので、この気づきを今後どこかで活かせればと思います。曲も案外するすると出てくるもんですね。
一応学生時代に音楽をかじっていたというのはありますが、ほとんど何の専門知識もない中で、いやないからこそというべきかもしれません、べらべらと自分の思ったことを率直に、好きなことだけを好きなだけ、何も気にせず喋りまくれたことが、日々の救いになっていました。
また何かこういう機会があれば挑戦してみたいと思いますので、その時興味を持たれたら読んでみていただければなと思います。

では。

Day 30 A song that reminds me of myself（自分のことを歌ってるなと思う曲）


〇いつも何度でも/木村弓


つい最近お引越しをしたのですが、前に住んでいたところを出てくるとき、この曲の心境にかなり近かったことを覚えています。前に住んでいたところでは、率直に言ってとても嫌な経験をたくさんしました。普通に生きていたら出会えなかったであろう、とんでもない人に出会ったりもしました。ひとつひとつが人生を変えるような経験でした。わたしはあの場所で、それまでの人生では学べなかったことをたくさん知りました。それでも、あんな思いをするくらいなら、そんなことは一生知らないままでいたほうがよかったと思うくらいです。血や涙を流してまで、流し続けてまで知らなくちゃいけないことなんてないです。知識がすべてじゃありません。あんなところへ行くことを選んだ自分のことを恨みそうになる日もありましたが、なんとか生き延びて帰ってくることができて、今はとても安心しています。

いろんなことを経験して、悲しみも尽きなかった。それこそ数えきれないほど。ああまたやらかしちゃったなあと思って空を見上げるとびっくりするくらい青くて、なんかちょっとだけ生きていてもいい気がした。こういう日々が一体いつまで続くのだろうと、死ぬまで続くのだろうかと、絶望的な気分になったこともありましたが、でもこの両手はまだ光を抱けると折に触れて実感させられることがあったから、なんとかここまで生き延びることができたのだと思います。
飛行機が離陸していくときは静かな気持ちでした。身体がゼロになっていくような感じ。今日も世界中で新しい生命が誕生しては消えていき、地球はどんどん入れ替わっていくし、変わらないものなんてないのだなと、窓の外の過ぎ去っていく景色を見ながら思いました。なんだ、全部ちゃんと終わっていくじゃんって。終わらないものなんてないんじゃんって。わたしに、こういう日々は一生終わらないと思い込ませていたのって、邪悪な呪いの力だったんじゃんって。


餞別にアクセサリーをもらったんです。千尋がハクにもらったあの髪留めのような感じですね。後ろを向いてはいけないよ、と言われた気がしました。髪飾りをもらったことで、あの世界は夢だったわけじゃないんだ、本当にあったことなんだとわかるわけです。わたしもあの手作りのアクセサリーをもらったことで、あの場所で過ごした日々は決して幻想などではなく、それがどんなに現実感覚からかけ離れていようと本当のことだったのだと確信することができます。それを受け止めることは時として苦しいことです。忘れてしまったほうがいい、なかったことにしたいと思うようなことにも遭遇しました。でもその記憶は残り続けます。あのアクセサリーのおかげで。でもその代わりに、誰かから、あの時の経験のことをそんな話はウソだ、作り話に違いない、そんなことあるわけないじゃないかと反論された時には、あのアクセサリーをさっと差し出せば、それが証拠になります。誰にもあの話を夢落ちにはさせません。

後ろを振り向かないことにしました。あの時こうしておけばよかったとか、あの時はこうだったなあとか、思い出して反省したりすることは生命にかかわると直感的に思いました。もしあの頃のことをもう一度思い出したいと思うときには、後ろを振り向くのではなく、あのアクセサリーを見ながら思い出すことにしています。実家に置いてきちゃったので、実際にそうやって思い出したことはまだないけど。そして当分はそんなことしないと思うけど。思い出したいという気持ちになることもしばらくはないだろうし。

戦争の話とかもそうですが、悲惨や痛みを語ることももちろん必要です。そういう語りは、自分の気持ちの整理にとっても、共同体にとっても、両方にとって重要なことです。落ち着いてきたらそういうことをやっていこうと思う。でも今は、とりあえず今は、できるだけ悲しみの数を数えず、自分にはこれがあるから大丈夫なんだと思えるような、楽しい歌だけを歌っていこうと思って、このタグを30日間続けてきました。少しくらい幸せになったっていいじゃないですか。我々は痛みを語るためだけに生きてるわけじゃないんですよ。好きな音楽でも聴いて、心を開放して、そうやって少しでも空っぽの心が満たされてきたら、また次のことを考えていこうと。おかげさまで、なんとか体制を立て直すことができそうです。少しは色んなことを語り始める準備ができてきました。


輝くものはいつもここに。わたしの中に見つけられたから。もうこれ以上遠くに行かなくても、自分にとって大切なものが何か、よくわかっています。これからはそれを失わないように、大切に大切に守り育てていかなくてはいけないなと思っています。