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星空散歩(秋)〜初級編

秋。日に日に寒さが身に染みる季節ですが、誰もが知っているお誕生星座が輝いています。
そんなお誕生星座を探して、星空を散歩してみましょう。

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<星空を説明するときは、上下左右ではなく、東西南北を使用するのが通常ですが、>
<わかりやすさを優先させるため、北半球で南を向いて立っていることを前提に上下左右でまとめています。>
<10月1日22時、11月1日20時、12月1日18時ごろの北海道札幌市で見える星空になります。>

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一般的に夏の見やすいお誕生星座は右側(西)から順に次の4つになります。
 ・やぎ
 ・みずがめ
 ・うお
 ・おひつじ

『おひつじ座』は冬の星座に分類されるかもしれませんが、東の空の低いところに『おうし座』の『アルデバラン』が見えていますので、十分見ることができます。
(『おひつじ座』については、『星空散歩(春)初級編』の note をご覧ください)

『やぎ座』は星並びとしては見つけやすい星座になりますが、3等星より明るい星が1つしかないため、街中では見つけるのに苦労する星座になります。
『ペガスス座』のペガサスの頭から下に行ったあたりに大きな逆三角形をした星並びがあります。これが『やぎ座』になります。
とても古い星座で、『トレミーの48星座』に数えられます。
英語で冬至点のことを“The Tropic of Capricorn”と『やぎ座』の名前で呼びますが、現代の冬至点は『いて座』にあります。
冬至点『やぎ座』の位置にあったのは古代バビロニアの頃であり、黄道12宮が制定され『やぎ座』が作られたころには冬至点があったため、冬至点を“The Tropic of Capricorn”と呼ぶようになったと言われています。
そのため、とても古い星座であることが分かっている星座になります。

『みずがめ座』はあまりはっきりとした星並びがありませんが目印は、4つの4等星がつくる三ツ矢、またはYの字の形でしょうか。
この三ツ矢は、“Water Jar”とも呼ばれるアステリズムですが、これは日本の随筆家・天文民俗学者の野尻抱影が三ツ矢サイダーの商標より考案したものになります。
(野尻抱影は準惑星となった冥王星の和訳命名者になります。)
『みずがめ座』は美少年ガニュメーデースが水がめ(酒器)を持つ姿とされ、そこから流れ出した水は『みなみのうお座』の口に注ぎ込まれています。

最後は『うお座』です。
『うお座』は紐で結ばれた2匹の魚として描かれる星座ですが、それぞれの魚は、秋の四辺形の下と左に居ます。
それを結ぶ紐が「くの字」のように伸びていますが、3等星よりも明るい星が無いため、街中では見るのが難しい星座です。
星座は88』や『誕生星座は12』の note で少し取り上げましたが『うお座』には赤経の基準となる『春分点』があります。
(春分点とは、太陽の通り道である「黄道」と「天の赤道」が交わる点のことです。)

秋のお誕生星座『やぎ座』『みずがめ座』『うお座』には意外な共通点があります。
なんでしょうか?

実は3星座とも、【水】が関係しているのです。
(『くじら座』と『みなみのうお座』も含めて、水にまつわる星座が多いのは、星座が作られたメソポタミア地方で、当時太陽が『みずがめ座』」付近を通過する時期が雨季だったからと言われています。)

「やぎ座のどこが水に関係するんだ?」という方は、神話に着目しましょう。
『やぎ座』のモデルになったのは、羊飼いと羊の群れを監視する神『パーン(アイギパーン)』ですが、星座のパーンは下半身が魚の姿になっています。
これはパーンがテューポーン(ギリシャ神話に登場する最大最強の怪物)に襲われた際に、上半身が山羊、下半身が魚の姿になって逃げたためと言われています。
もっとも、この姿が高き山の頂まで登る山羊と、海中を自由に泳ぎ回る魚の両方を持っており、世界のあらゆるところに到達できるともされています。
(英語で「全て」を意味する接頭語の“Pan(汎)”の語源と言われています。)
ちょっとカッコ悪い姿ですが、見た目で判断してはいけませんね。

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