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【ドイツあれこれ】出稼ぎが支える旬の味

[初出:2006年5月]

畑道で道を訊ねたが、ドイツ語がよく通じない。そうか、アスパラガスの収穫の時期だったなと気が付く。盛り土のなかから白アスパラガスを掘り出すのは重労働である。私の住むドイツ北西部では、ポーランドからの出稼ぎ労働者にその労働力を依存している。長期失業者に対する雇用機会の創出を目指す「1ユーロジョブ」でも、ドイツ人にはなり手がない。機械化の難しい苺や醸造用ブドウの収穫も同様である。

昔は国内からの季節労働者もいたし、また家族総出で収穫したのだろう。学校の秋休みを別名「ジャガイモ休暇(Kartoffelferien)」と呼ぶが、それは子供達が馬鈴薯の収穫に駆り出された時代の名残である。さしずめ、日本の「田植え休み」といったところ。

その収穫が出稼ぎの汗の結集であることを考えると、アスパラガスのほろ苦さも格別だ。


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