見出し画像

【ドイツ風物詩】聖家族をパーツ買い

[初出:2006年12月]

街の広場にクリスマス市が立った。アジア雑貨とか、安っぽい電化製品の露天商は、なんだか興ざめする。伝統品を売る屋台の方が見ていて面白い。なかでも私のお気に入りは、「クリッペ」の人形を売る店だ。

「クリッペ」とは、人形模型でキリスト降誕のシーンを再現したクリスマスの飾りである。地方によって様式も異なる。私が近くの市で見かけたのは、彩色されていない素朴な木彫り。これならどんなセットにも合う。単品でも値が張るから、毎年、少しずつ揃えるのだろう。まずは聖家族、その次に三賢王、そして羊飼いと買い足していく。

なぜか日本の雛人形を思い出す。昨年は三人官女を買ったら、今年は五人囃子でもなんて、夜店で雛人形のパーツを物色できたら楽しいだろうに。真剣な眼差しで羊の人形を品定めする親子連れを見て、うらやましくなった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?