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Blog in Japanese

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翻訳者・通訳者の視点から主に言葉と文化についてつぶやいています。
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#ドイツ

手前味噌で恐縮ですが・・

本日、千秋楽を迎えた#国際総合食品見本市(#ANUGA)にちなんで「食」の慣用句に関する投稿です。 食は文化、翻訳は文化。それを痛感する誤訳に出会ったことがあります。 お恥ずかしながら、身内の失敗談です。 ドイツ語ネイティブの翻訳者にビジネスレポートの独訳を依頼しました。 法務文書や財務諸表が専門で、お堅いものを訳させたら右に出るものがいないという翻訳者です。 しかし、いくら優秀な翻訳者が担当したとしても、戻ってきた訳文には必ず社内でしっかりチェックを入れます。 「

州議会で祝日を決定するのがドイツ

3月8日は国際女性デー。ベルリンに続き、今年から独メクレンブルク=フォアポンメルン州でも、この日が祝日になります。 日本の皆さんには馴染みが薄いかもしれませんが、 ドイツでは州ごとに祝日が異なる → 州政府が祝日を決めることができるのです。 ついでにいうと、教育制度や警察制度も州の管轄事項です。 ドイツでは祝日全体のほぼ9割は宗教関係の祭日  → そのなかで、女性デー(Frauentag)が祝日の座を勝ち取ったのは快挙といえます。 日本の祝日に宗教色がないのは

森鷗外没後から100年、偉大なる翻訳者を想う

7月9日に没後100年を迎える森鷗外。 鷗外ゆかりの地である#ベルリン の #森鷗外記念館 では、昨晩の記念式典を皮切りに様々な展示やイベントが予定されているそうです。 森鷗外は小説家としだけではなく、#翻訳家 としても活躍しました。 『ファウスト』、『即興詩人』、『サロメ』などの翻訳が有名ですが、その他にもさまざまなジャンルの作品を縦横無尽に訳しています。 📚 ためしに、鷗外選集(岩波書店)の第11巻から、翻訳作品のタイトルだけを以下に拾ってみました。 マクベス (

日本とドイツ、再生可能エネルギーの普及に向けてタグを組む

本日から、地中熱・地熱の展示会「Geo THERM - expo & congress」が独オッフェンベルクにて開催! 元々の会期であった春先から延期され、6月になってやっと、業界関係者がリアルに一堂に会します。 脱炭素とエネルギーの安供給の観点から、地中熱・地熱は今まさに注目されるエネルギー源です。 これに関連して、日本で地中熱の普及に尽力されている福島大学赤井仁志教授に、この分野における独日連携プロジェクトをご紹介いただきました。 ~(以下、引用)~ 地中熱ポテ

ところ変われば品変わる ― Andere Länder, andere Sitten

今日は父の日。ドイツでは昇天祭(Christi Himmelfahrt)が父の日とされます。昇天祭とは、キリストが復活後、天に昇ったことを祝う宗教的な祭日です。キリストは独身のはずなのですが、お父さんである神の元に戻ったという考え方もできるわけです。ちょっとこじつけくさいけど、そこはご愛敬。 しかし、実際には「父の日」というより、輩で集まって呑む日となっています。幌馬車に山ほどビール樽を積み込んで、どんちゃん騒ぎをしながら馬車旅をする強者(つわもの)たちもいます。 そんな

1Day仕事体験@翻訳事務所

先日、かわいい研修生さんをお迎えしました。といっても一日だけなのですが、事務所にフレッシュな風が吹き込みました。 ドイツのギムナジウム(中高一貫校)では、中学課程のときに一日の職場体験(3事業所)、高校課程のときに2週間の研修体験をすることになっています。 私がお引き受けしたのは、一日の職場体験の方です。#翻訳 に興味があるというお子さんに合わせて、作業を用意しておきました。 少し緊張した面持ちの研修生さんを前に、まずはオリエンテーションから。 「翻訳者には何が必要か」

ドイツの温泉ボキャブラリー

今日はお風呂(2⃣+6⃣)の日だそう。 ♨ 昔、書いたエッセイに温泉の話があって、読み返してみたら少しホームシックになってしまいました。 https://note.com/translator_essay/n/na6bbf25e5258 ドイツにも温泉ありますが、一般的には水着で入るもの。療法士からきちんと指導を受けるための温水プールのような感じです。逆に、サウナは全裸の男女混浴がお決まりだとか。文化により恥じらうポイントが違うのですね。 しかし、ドイツでも都市部のスパ

地中を極めるには、地上も極めよ

🌎 近年、地表と地中との温度差を利用した地中熱利用システムが環境に優しい空調方式として注目を集めています。欧州ヒートポンプ協会(EHPA)の調べによると、2021年における欧州でのヒートポンプ売上は200万台以上を記録し、前年比で25%アップ。世界的に見ても、欧州は地中熱利用の先進地域といえます。ドイツも助成金などの施策により地中熱利用の普及に力を入れており、その導入の実態を探りに日本からの視察も増えています。 🌡さて、そのような調査団に何度か通訳として随行させていただく機

人らしい生活に必要な必需品とは

ここに来て、ドイツでもワクチン未接種者に対する規制が厳しくなりました。私が住むNRW州でも、今月頭に行われた関連州令の改正により、ワクチン未接種者にとってはロックダウンに近い状況となっています。 もちろん、スーパーや薬局などの生活必需品を取り扱う店舗には制約は適用されません。そのなかで意外に思ったのが、本屋も適用対象外になっていることです。 人は衣食住だけが足りればよいのではない ― 大げさな言い方ですが、そこに社会の気概を感じます。言葉を生業とするものとして何だか嬉しくなり

Medicaブースでデモ(Hall5/A-35)

世界最大の医療機器展 MEDICA のリアル展が戻ってきました! そして、長年、弊社通訳がお手伝いする株式会社スミロン様(ライフケア事業部)も日本から参加します。 「快適、清潔、安心空間」を創造する、同社の製品はまさにコロナ禍という時代のニーズにマッチするものと言えます。 展示会では、気密性が高い専用パックテープで菌やウイルス、臭いを密封パックするエコムシュウ(欧州流通名:CareFort)をご紹介。消臭器やオゾン発生装置のように「臭いを取り除く」消臭ではなく、「臭いの発