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Blog in Japanese

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翻訳者・通訳者の視点から主に言葉と文化についてつぶやいています。
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欧州AI法が発効

本日、AIに関する世界初の包括的な規制である#欧州人工知能法 (European Artificial Intelligence Act)が発効しました。 例えば、何が禁じられているかというと・・・ ❌リアルタイムでの遠隔生体認証のためにインターネットからの無差別な画像収集に使用すること ❌脆弱性や弱者を狙い、自由意志を操作するために使用すること ❌職場や教育環境における感情認識に使用すること ❌自然人を評価・分類するソーシャルスコアリングに使用すること 👉高リスクAI

暑さに対する日独の温度差

6月だというのに、このところドイツでも30℃を超える真夏日が続きます。先々週末は記録的な猛暑でしたが週明けは落ち着きました。子供たちとしては平日も真夏日を期待していたところ。というのも、ドイツの学校は暑いと休校になるからです。 その敷値は教室内温度27℃(NRW州基準値)なので、日本ならありふれた「夏日」なのに学校はお休みです。 そこで、日本とドイツで異なる「暑さに対する温度感」を気象用語から探ってみました。 日本の夏の気象用語: 炎天 空が燃えるというイメージが詩的

ところ変われば品変わる ― Andere Länder, andere Sitten

今日は父の日。ドイツでは昇天祭(Christi Himmelfahrt)が父の日とされます。昇天祭とは、キリストが復活後、天に昇ったことを祝う宗教的な祭日です。キリストは独身のはずなのですが、お父さんである神の元に戻ったという考え方もできるわけです。ちょっとこじつけくさいけど、そこはご愛敬。 しかし、実際には「父の日」というより、輩で集まって呑む日となっています。幌馬車に山ほどビール樽を積み込んで、どんちゃん騒ぎをしながら馬車旅をする強者(つわもの)たちもいます。 そんな

専門誌に紹介されました!

『通訳・翻訳ジャーナル』2022年4月号の巻頭連載「 #ボーダーレス通訳者・翻訳者通信 」に紹介されました。リレー形式で世界各国のリンギストとそのお仕事事情を紹介するコーナーで、ドイツ在住の翻訳者として寄稿させていただきました。 20年以上にわたる職業人生を振り返り、しばし感慨にふけりながら執筆しました。読者のなかにはこれから #通訳者 ・ #翻訳者 を目指す方も多いので、ドイツ翻訳業界の概説にも努めました。 同誌は大型書店や通販でお求めいただけます。個人的には、アンケー

ハムスター、巣ごもり、そして今・・・

「巣ごもり消費」とはよく言ったものだと、感心していたら、いつのまにか時代は「今のうち消費」 日本でもオミクロン型の感染が急拡大の兆しを見せるなか、日本の年末年始商戦はまだ比較的好調だったようです。そのような消費者動向を「 #今のうち消費 」と呼ぶらしいですが、これまた唸らされる造語です。「そのうち買えなくなるかも」という不安がひと言で表されています。 リベンジ消費が弱気になった感じといったらよいでしょうか。ネットで探しましたが、それに対応する英語や独語の表現は見つかりませ

東京裁判判決の日に、通訳の仕事について想いを馳せる

山崎豊子著の「二つの祖国」を読んで、そのモデルとなった #デイヴィッド・アキラ・イタミ の経歴と東京裁判での通訳業務に興味をもちました。そこで、読んだのが「 #東京裁判における通訳 」(武田珂代子著/みすず書房)。 そこには、通訳者・モニター・言語裁定官という、通訳手続きにおける三層構造が解説されています。これは、翻訳の国際規格であるISO 17100:2015の「翻訳→ #バイリンガルチェック→最終検品」をどこか思い出させる体制です。著者によると、(ニュルンベルク裁判とは