見出し画像

スワード上院議員の演説|第5章 イギリスに対するアメリカ人の憎しみ|アメリカでの40年間(1821-1861)

Forty Years of American Life 1821-1861
Thomas Low Nichols


スワード上院議員の演説

米国の国民のほとんどは、80年間にわたって北アメリカのイギリス領の併合こそ自分たちが望むことであり、遅かれ早かれ実現するであろうと確信していました。それだけでなく、米国の政治家や最高位の地位にある人々も、こうした国民の考えに全面的に共感しています。アメリカの国務長官スワード氏ほど良い例を挙げることはできません。彼はごく最近、この考えを何度かはっきりと表明しており、特に1860年9月18日にミネソタ州の州都セントポールで行った注目すべき演説でその考えがよくわかります。彼のライバルであり現在の大統領であるリンカーン氏の大統領選挙運動の最中のことでした。スワード氏がこの演説を行ったとき、自分は間違いなく政府を率いる指導者となるだろうと思っていました。

スワード氏はこのように語りました。
「私はいま初めて、北アメリカ大陸中央に位置する高地にいます。ハドソン湾とメキシコ湾(大西洋から太陽が沈む海まで)から同じ距離にあり、二つの大きな川が隣り合って、まるでキスをするかのよう湧き出る場所です。その一つは、滝や川や急流、湖や川を次々と通り抜け、奇妙で気まぐれで雄大な流れを辿ります。そしてついに2,500 マイルの航路を経て、ヨーロッパの港までの半分の地点まで商取引を運びます。もう一つは、森林地帯と草原を2,500マイルも蛇行しながら流れ、東から西から次々と支流が集まり、アレゲニー山脈の西側斜面の水とロッキー山脈の東側を流れ下る水とを合流させ、メキシコ湾で大西洋に至ります。ここは、北米で最も豊かな地域の農業が全世界の供給に貢献しなければならない中心的な場所です。東はスペリオル湖の岸に沿って、西は大陸を横切る帯状の広い平原に広がる地域です。新しい州が次々と誕生し、人口の多くなった州の人間社会を支えるための生産物が生み出されなければなりません。これは、つまり重要な分野なのです。さらに、この大陸の運命に、またその商業的将来にも重要なのです。なぜなら、権力というのはアレゲニー山脈の東斜面や港湾に永久に留まるべきものではないからです。海港は常に内陸の住民によって制圧され、支配されてき、ました。この政府の権力は大西洋岸や太平洋岸に確立されるべきではありません。この大陸の人々の意志を代弁し表現する権力はミシシッピ川流域、およびミシシッピ川とセントローレンス川の源流に位置付けられるべきです。」

「以前、私は北米の人々の究極の権力の中心地はどこなのか、その未来について考えていました。ケベックやニューオーリンズ、ワシントンやサンフランシスコ、シンシナティやセントルイスを見て、北米の権力の中心地はメキシコの谷間にあるだろう、アステカの首都の栄光は再び輝き、最終的にはアメリカ合衆国の首都になるだろう、と結論づけました。しかし、私はその見解を修正し、この大陸の究極の最後の権力の中心地は、いまミシシッピ川を航行している私の立っている場所から、それほど遠くない半径内のどこかにあると今では信じています。私はこれまで、大陸の壮大なパノラマ全体を眺め、把握できる場所に立ったことがありませんでした。現在および将来の何百万人もの人々の幸福のために働くことが、アメリカの政治家の義務です。」

この注目すべき演説で、スワード氏はアメリカ国民の考え、希望、そして野心をうまく言い表しました。彼は国民のモットーを採用しています。
「抑圧されたユーティカが我々の力を縮小することはないが、無限の大陸全体が我々のものだ。」

カナダとメキシコ、イギリス領土と中央アメリカは、すべて彼の夢の帝国の形成に役立ち、彼はそれにふさわしい首都を求めています。彼は公平にケベックとメキシコを調査した結果、首都となることを否定しています。

これまでのところ、イギリス諸州の併合は、たとえ征服できたとしても、克服できない障害が一つありました。近年、南部は北部および自由州がこのように上に立つことに決して同意しなかったでしょう。北部の各州と同じように南部の各州をアメリカに加えることによってのみ、南部の協力は得られたでしょう。しかしこの障害はもう存在しなくなってしまいました。南部連合が北部から分離され、北部が併合や征服の夢を自由に実現できるようになるか、あるいは南部諸州が北部に従属し、北部の意志に抵抗できなくなるかのどちらかでしょう。もし南部諸州が連邦に敗れた場合、北部の政治家たちは、南部の綿花栽培地域とミシシッピ川河口の喪失をいいことに、北部国境の広大な領土の確保とセントローレンス川と湖沼地帯の支配にこれまで以上に貪欲に目を向けるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?