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高卒求人相場情報

 高卒就職問題研究のtranactorlabです。高卒就職市場には給与や休日数などの相場情報の不足を補うことを通じて社会貢献したいと考え、調査研究と発信を行っております。とくに若い人たちの待遇の向上に少しでも役に立てれば幸いです。

 調査結果の詳細は私のホームページに掲載しています。興味のあるものをご自由にダウンロードしてご活用ください。


 さて、12月初めから公開高卒求人の充足状況を調査を行いましたが、やっと結果がまとまりましたので報告したいと思います。7月から8月にかけて集めた公開高卒求人のうち12月時点で消えている場合、充足したものとみなし、非充足求人(公開が継続されているもの)と比較する調査です。

 求人票の件数では、昨年度同時期に比べると、だいたいどこの地域でも5%から10%程度減少しているようです。
 充足率は12.3%で昨年同時期より少し下がっているようです。

 では、まずは月給。

2021年7月8月公開の高卒求人の月給に関する調査

 7月8月に公開された全求人(A)のうち、非充足群(12月初めも公開継続中のもの)、充足群(公開が中止されていたもの)、それぞれの月給を比較です。(  )は前年同時期の数字と増減。

  月給の全国平均              ¥172,065  (¥174,066  ¥2,001減)

  非充足群                         ¥172,401  (¥171,916   ¥485増)

  充足群                           ¥169,497   


 意外に思われるかもしれませんが、充足群の月給平均が低く出ます。充足群の月給平均が非充足群を上回ったのは秋田(301円)、鳥取(2486円)、愛媛(685円)、佐賀(2814円)の4地域だけでした。これは、待遇に関係なく、とにかく充足していない求人の方が圧倒的に多いためでしょう。
 充足群の月給平均が昨年から1万2千円近くアップしていました。しかしながら給料が高ければ充足しやすい、とは言えないようです。


次に年間休日数。

2021年7月8月公開の高卒求人の年間休日数

 7月8月に公開された全求人(A)のうち、非充足群(12月初めも公開継続中のもの)、充足群(公開が中止されていたもの)、それぞれの年間休日数の比較です。年間休日数は昨年同時期の比較では0.5日前後の微増でした。

年間休日数 全国平均 106.8日
        最大 111.3日(東京)
                   最小 101.9日(鹿児島)

非充足群      平均 106.2日
                     最大 110.2日(神奈川)
                     最小 101.5日(鹿児島)

 充足群         平均 110.7日
                     最大 114.5日(茨城)
                     最小 106.4日(大分、長崎)
 

年間休日数は充足群が明らかに多いです。
全ての地域で同じ傾向が見られました。

年間休日数 と充足率


 年間休日数105日が週休2日の目安だといわれますが、それを下回ると求人の充足率はぐっと下がります。
 年間休日数135日以上の群の充足率が下がるのは、おそらく夜勤のある交代制勤務の求人が多く含まれるためだと思われます。

年間休日数 と充足率
135日以上  14.74%
125日以上  19.65%
115日以上  17.73%
105日以上  10.93%
100以上     9.78%
90日以上   7.77%
80日以上   5.34%
80日以下   6.16%


 繰り返しになりますが、高卒就職市場には相場が分かる情報が足りていません。子どもの数が減って求人数に対して求職者数が激減し、超売り手市場が続いているにも関わらず待遇がなかなか伸びない問題には、この情報不足が大きく影響していると思います。
 それは「高卒就職だからこれぐらいだろう」のような昔からの常識(?)が幅を利かせている状態であると言えるでしょう。
 人口減少は急速に進んでいます。前にも書きましたが、今の高校生ひと学年の人数は今の50歳台の半分しかいません。
 そういう時代ですから、求人側にも求職者側にも十分な情報が必要だと思います。所管官庁である厚労省には、提供情報のさらなる充実化を図っていただきたいものです。


 コロナ禍により様々な影響を受けた2021年もまもなく終わろうとしていますが、来年こそは好転するよう願ってやみません。

 まだ就活継続中の高校生諸君も頑張りましょう!



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