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オフィスは「正解のない」時代へ。 トレイルヘッズが手がける最新オフィス事例まとめ【2022年】

パンデミックも増減の波を繰り返しながら、少しずつ日常が戻ってきている昨今。コロナ禍で、働き方や暮らし方を見直した2年間でしたが、トレイルヘッズでは森に出勤する「森ワーク」を提供開始するなど、働き方の選択肢を広げる実験を進めてきました。このような状況でリモートワークもすっかり浸透し、在宅と出社日が入り混じるのが当たり前になった方も多いのではないでしょうか。

そんな中、昨年秋の緊急事態宣言解除以降、日常が戻ってくるのと比例して、オフィスの問い合わせが急激に増えてきました。そこで、現在トレイルヘッズにご依頼いただいている企業が、オフィスや働き方をどう捉え、どのようなオフィスをつくろうとしているのか、リアルな現状をまとめました。

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2021年6月に増床移転したエムステージ社

1. ご依頼いただく企業の多くは『オフィスに戻る』傾向

コロナ禍で急速に定着したリモートワーク。この2年間は、感染症対策の面でオフィスに集まることが敬遠された期間でもありました。しかし、オフィスへの問い合わせが増えてきた最近は、ご依頼いただく企業の様子は少し変わってきています。

山口

トレイルヘッズ代表の山口はこう話します。
「緊急事態宣言が明け、少しずつ働き方にも日常が戻り始めています。日常が戻るのと比例して、オフィスへのお問合せも増えており、現在30~40社のプロジェクトに携わらせていただいています。

各企業の意向を聞いていると、オフィスに戻ろうとする動きを強く感じます。理由としては、スピーディな事業推進や、社員同士のフィジカルなコミュニケーション、パフォーマンスが上がるといったことがあげられているようです。

もちろん、エンジニア等をはじめ、職種によってはリモートワークも前提にしている場合もありますが、オフィスの重要性が改めて見直されています。オフィスにどう戻るか、どういう場を作るのかは、企業の戦略とも切り離せないものになっているのをまさに体感しています。」

2. 新たなオフィス空間のトレンド4つ

オフィスに戻る意向が強い企業では、オフィスに求めるものにも変化が起きています。コロナ以降空間作りをお手伝いしている30社以上の実態から、新たなオフィス空間の傾向を4つのポイントにまとめました。

①拡大路線、感染症対策を経て、正解のないオフィスのあり方の検討へ 
コロナ禍の昨年は、レイアウト変更・移転においても、ウイルスを遮断すること、感染症対策を第一としたものが多く見られました。一方で、現在は、会社のブランディングや働き方をどう作っていくか。事業推進や、社員同士のコミュニケーションをどう取るかを考えるようなご相談が増えています。正解はないため、今までよりも更に企業の本質を捉えた空間づくりの必要性が高まっています。

②オフィスとリモートワークの使い分け方がより明確に
単純に当番制で出社率を調整するのではなく、事業に合わせたオフィス/リモートワークの使い分けが、より明確になってきました。例えばライブ配信アプリを提供する17LIVE社は、ライバーと呼ばれる顧客との会議は音の干渉を避けるため自宅で。その反面、オフィスでは社員交流に注力しています。また企業向け動画編集ツールを提供するオープンエイト社は、商談で動画を活用するため、ネットワーク環境が整ったオフィスを商談場所としています。

③ほぼ全ての会社が「フリーアドレス」を併用。全員1人1席は少数派
リモートワークが前提となるため、新たにオフィスをつくる会社のほとんどがフリーアドレスを導入しています。ただし全席ではなく、一部の席での導入が多数です。フリーアドレスは、ビジネスサイド(営業、マーケ、事業企画など)向けに用意される傾向があります。

④ミーティングブースの重要度は高い
オフィスに来たい人は「家でミーティングができない」というのも大きな理由のひとつです。そのため、オンライン会議用のミーティングブースのニーズが非常に高くなっています。ある企業では、ミーティングブースを10個以上設置するなど、音干渉問題は多くの企業で課題にあがり、対策が検討されています。

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フリーアドレス席もあるラウンジ空間(Infobahn社)

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個人ワークやオンライン会議もできるブース(CoDMON社)

3. 不動産事業者が見る、現在のオフィス動向

スタートアップ等の事業戦略に合わせて最適なオフィスを提案するIPPO社。コロナ禍で、大きく揺れ動くオフィス市場に間近で接していらっしゃいます。そんなIPPOの代表 関口さんに、最近のスタートアップのオフィス動向について伺いました。

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株式会社IPPO 代表取締役社長 関口秀人さん:
「コロナが流行しはじめた2020年前半は動きが止まり、その後6月〜10月ごろまでは、早めに縮小へと舵を切る動きが見られました。ただそれ以降は、リモートワーク環境でのコミュニケーション不足が問題視され、オフィスの価値が見直されています。

スタートアップに限ると、2020年夏頃までは縮小傾向にありましたが、その後はずっと拡張傾向が続いています。実は、弊社に話が来ている案件の約9割が拡張のご相談です。特にサービス立上げ・拡大期の企業については、リモートワークは残しつつも、週2〜3回は全社出社日を設けているようです。

もちろん、拡大する企業ばかりではなく、縮小する企業もありました。ただ、単純に面積を減らすというよりも、代わりに立地を改善したり、新築ビルに入るなどして、社員の満足度や働き方を見直すような選択が多かったです。

コロナ禍による一番の変化は、オフィスの坪数の決め方ですね。
これまでのセオリーのように、単純に人数に坪数を掛け合わせて面積を決めることは少なくなりました。社員の働き方、フリーアドレスの割合、チームで集まる頻度などにもよるので、面積の決め方はとても難しくなっています。逆にいうと、移転を考える際にはこういう点までしっかりと検討が必要になりました。

それでもコミュニケーションの総量は足りていない、と話す経営者も多くいらっしゃいます。場所の活用の仕方ももちろんですが、カルチャーの醸成という面においては、仕組み作りも平行して行っている企業が多いように感じています。」

4. 具体的なオフィス実例

ここからは、コロナ禍から現在にかけて動いている実際のオフィス実例をご紹介します。

●エムステージ
本社拡大|本社に人を集約。交流を促進する「来たくなるオフィス」
医業分野での人材紹介や企業向け産業保健支援事業を手がけるエムステージ社。コロナにより客先訪問が減り、オンライン商談が増加したことから、オフィスを見直し。複数あったサテライト拠点を廃止して、本社を増床して統合。本社はリアルな場としての価値を高めたいという意向から、オフラインのコミュニケーションを重視して「来たくなるオフィス」を設計しました。

エムステージ

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仕切りはローキャビネットで、全てが見渡せる空間。

●トリニティ・テクノロジー
増床 |顧客ファーストでブランディングを重視したオフィス

「スマート家族信託」を提供するトリニティ・テクノロジー社は、事業拡大に伴い拡張移転。来社する顧客やステークホルダーに会社のカラーである暖かさや真摯さを伝えられる印象を第一にデザインをしました。

トリニティ

●オープンエイト社
リサイズ |新しい働き方に合わせて機能性を重視し、快適性もアップ!
AIを活用したBtoB向けSaas事業を展開するオープンエイト社。コロナ禍をきっかけにオフィスワークとリモートワークとを自由に選択できる新しい働き方を導入。その定着を受けて2022年2月にオフィス移転を行いました。ラウンジスペースや全長約4.5メートルの大型テーブルを設え、オフィスワークするメンバーがそれぞれ居心地の良いスポットで仕事ができたり、オンラインミーティング用に遮音性のある個人ブースを多数備えました。機能性と快適性を向上させると同時に、フロア面積を従来の70%以下へとコンパクトにリサイズしています。

オープンエイト

5. まとめ

オフィスを使うシーンを明確にすることで、各社の事業に合わせたオフィスの活用方法が選択されてきています。オフィスを拡大した企業は、社員同士の交流を強化するデザインを取り入れたり、「リアルの場」を最大限に活用してブランディング要素も盛り込んだりしています。一方で、リモートワークを前提として、オフィスは余白を減らし、機能に特化していった企業もありました。

冒頭にも書きましたが、リモートワークが浸透したことで働く場の多様化が一気に進みました。昨年の夏前後から積極的にオフィスをリニューアルしたり増床や移転するケースが増加しています。深くヒアリングしていくとオフィスをどの様に生かすか、企業によって三社三様の考え方があることが分かりました。様々な働く場の選択肢がある中、どの様なオフィスを作るかが、企業のらしさを表現する時代に突入したのではないでしょうか?

トレイルヘッズでは、様々な企業のオフィス設計を少数精鋭で携わった経験がありナレッジを蓄えています。単に見栄えの良い空間を作るだけではなく、『自分たちの会社にとってのオフィスとは?』を考えるところから一緒に伴走をさせていただきます。

  ▼昨年にトレイルヘッズがまとめたレポートもご参考までに

・オフィスに関するお問合せ:info@trailheads.jp
・取材・その他お問合せ:トレイルヘッズ 村上 murakami@trailheads.jp

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