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5.首都圏から信州へ移住 〜 after 3.11 〜

暗すぎない程度に夜を照らすロンドンで見たような照度の東京。
過剰な白い灯りのない、3.11の後の東京の街。その灯りの慎ましさが好きだった。理由はなんであれ、地球への負荷が減っていることを現した光景は心地の良いものだった。
「もしかしたらこのまま、程よい街の景色が定着するかもしれない。」
その結果は、今街に広がる景色の通りだ。

元妻の実家近くでご両親よりサポートしてもらいながら生活し、首都直下型の地震の話題が尽きない中、移住先の候補として上がったのは日本アルプスを望む信州のとある町。
googleの画像検索が示した日本アルプスはその解像度を飛び越えて、ネパールで拝んだ荘厳なヒマラヤを自身に彷彿とさせた。

「行って確かめよう」

2泊3日の移住先の下見が子供のいた僕たちの新婚旅行だった。
泊まった民宿の部屋がなぜかピンクの照明で、ご厚意で臨時的に付け替えたのか、常時ピンクだったのかは思い出した今でも気になるところだ。

移住候補の町へ車で向かい、左に90°曲がった途端、目の前に荘厳な日本アルプスが現れた。言葉を失い涙が溢れ、助手席に座った元妻の頬にも涙が伝っていた。

「ここにしよう!」

振り返れば僕たちが下見をした時期は春から夏前の、最も美しさと過ごしやすさが同居する季節だった。
山高ければ谷深し。美しさが際立つ一方で、雪国で生活するということは決して生優しいものではない。
1年目の冬は初めての体験で全てが新鮮だ。
「わぁ〜っタオルが一瞬で凍る!」
そんな全てが刺激的。
しかし、2年目になるとその寒さが笑えなくなってくるのだ。
雪の影響で日照時間も短く、雪に閉じ込められた子育て中の元妻は、次第に笑顔を失っていき、家事が手につかない時期もあったりで辛い思いをさせたと思う。

季節の波に翻弄されながらも、元妻のお腹には新しい命が宿った。
いよいよ念願だった自宅出産でのお迎えに臨む。

続く↓


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