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ハードな運命と戦うキラキラお目々の美しさよ:『乙女怪獣キャラメリゼ』

私は、イケダハヤトさんのTwitterでこの漫画の存在を知った。

それから、「心の気になる漫画リスト」にずっと入れてたんだけど、昨日ついに試し読みしてしまってね…。

まあ、予想通り、既刊(2巻)全部買ったよね…。

今、めちゃめちゃ愛が溢れてどうしようもないから好きなポイントを記録しておこうと思う。

1.絶望的な運命に抗おうとする美しさ

女子高生が人外のものになっちゃう、という設定、どこで見たんだっけなあと思って脳内検索したところ思い出したのが…

『最終兵器彼女』。

あれは、とにかく悲しい物語だった。
戦争のために兵器になった「彼女」・ちせは、どんどん強くなり、どんどん人らしさを失っていく。ちせと恋人のシュウちゃんはその運命からなんとか逃れようとするんだけど、読んでいる側には「ああ、この運命は、きっと変えられないんだな…」という予感がびしびしする。終わりまでの時間を少しでも引き延ばそうとする、そういう悲しさが美しかった(&エロかった)。

『乙女怪獣キャラメリゼ』の主人公、黒絵ちゃんも、絶望的な運命を背負って生きている。
彼女は、感情が昂ぶると怪獣になってしまうのだ。

なんとか興奮をおさめようと、音楽を聴いたり甘いものを食べたり、黒絵ちゃんはいろいろな対策を講じるのだけど、南くんへの恋心だけは、なかなか抑えられない。

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↑南くんと一緒にデスティニーランドに行く回(2巻)のこのシーン、特に好き。

で、感情の昂りが頂点に達してしまうと、巨大化してしまうのだ。

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(1巻より)

好きな人にされた嬉しいことで気持ちがあがると怪獣になってしまう、そうすると世界も好きな人もみんな壊してしまうかもしれない、だから近づきすぎないように気をつけようとするんだけど、それが誤解を生みそうになって、やっぱり距離を置くことができなくて、言葉を尽くして、一生懸命南くんに伝えようとする…

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(2巻より)

うわあ黒絵ちゃん!!もどかしい!!

そして、

さいっこーにかわいい…!

悔しさも嬉しさもめいっぱい表現して、なんとかもっとよい明日のためにがんばろう、とする黒絵ちゃん、本当に素敵。

2.女子高生も怪獣もナイス、という奇跡

いぶりがっこ×クリームチーズ、は誰がのっけてもおいしくできるけど、女子高生×怪獣は、誰が描いても面白い漫画になるわけではない、と思う。

まず、女子高生も怪獣も魅力的に描ける漫画家さんが、とっても限られてると思うのだ。

黒絵ちゃんは、こんなにもかわいく、

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(1巻より)

ハルゴン(黒絵ちゃんが怪獣化した姿)は、こんなにもかっこいい。

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(1巻より)

よって、すごい。

(後述するナタリーのインタビューによれば、作者の蒼木さんのお母さんが相当な怪獣好きだそうで、お母さんから多くの資料提供を受けているそう…)

少女漫画の「きゅん」と、怪獣映画の「かっくいい!!」が両方味わえるおいしい漫画なのである。

特にこの作品で好きなのは、キャラの目のキラキラだな〜と思っていたところ、ナタリーのインタビューでこんなやり取りを読んだ(回答者は、作者の蒼木スピカさん)。

──確かに改めて読み返すと、物語中のセリフでも「やっと目…みてくれた」とか「結構…優しい目してるじゃん」とか、目が重視されている感じがありますね。あと黒絵の目の中に、ハートが描かれているのが、1周回ってなんだか新鮮というか……。

往年の表現ですよね(笑)。実はあらゆるところにハートマークを入れているんですけど、「これはラブコメなんですよ」ということをすごく主張したくて意識的にそうしてるんです。女子高生が怪獣になっちゃう設定って、人によってはけっこう「かわいそう」とか「残酷な設定だ」って捉える人もいて。私自身、その気持ちがわからないわけではないので、ハートという往年のコミカルな表現をデザインに落とし込むことによって、怪獣に変身しちゃうっていう……リアルに考えたらすごくシリアスで重い設定が、ちょっとでもポップになればいいなと思っているんです。


きゅん要素が多すぎるので「ハートマークなくたって圧倒的にラブコメだよ!」と思う私なんだけど、このバランスがいいんだろうな。とことん甘くてかわいい絵に、ハートマークで「少女漫画感」を全面に押し出しているからこそ、「怪獣」の重厚さが活きる。

黒絵ちゃん出生の秘密などまだまだ知りたい謎もあって、これは、絶対、続きを追わなければよ…。



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