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疲労を減少させるには?

「疲労感」に鍼灸治療が良いよ、という記事を先日書きました。

簡単に内容をまとめます。

①「疲労」と「疲労感」は別物
②疲労感は炎症性サイトカインの増加によるもの
③鍼灸治療で炎症性サイトカインの抑制が可能
④鍼灸治療は「疲労感」に効果的である

ざっとこんな感じです。
実はこの話は、「疲労感」を減少させる話であって、「疲労」を減少させる話ではありません。
今回は疲労を改善する為にどうすれば良いか、という話です。

※疲労と疲労感の違いについてはリンク先の記事に任せます。

1.疲労を解消するのは疲労である

疲労とはeIF2αのリン酸化であり、このリン酸化を解消すれば疲労が解消するということです。
リン酸化eIF2α脱リン酸化酵素というのがあります。「GADD34」「CReP」といった酵素がそれにあたります。

これらの酵素が産生される条件は何かというと、これが実は「疲労」なのです。

「疲労が疲労を解消させる」というとなんともおかしな話ですが、これは科学的にも確認されている事実です。
適度な運動をする(疲労する)と上記の酵素が体内で産生されると言うのです。
適度な運動とは、ゆっくりとした有酸素運動を1日1時間くらいのようです。

2.疲労を回復させる栄養素を摂る

もう一つは、疲労を解消する効果のある栄養素を摂取することです。

疲労研究をしている近藤先生は、疲労を解消する栄養素を4つ見つけました。4つの栄養素とは、「ガンマ・オリザノール」「ケルセチン」「アンセリン」「ベータ・アラニン」です。
チャットGPTにその4つの栄養素を含む食品を尋ねてみましたので載せておきます。

1. ガンマ・オリザノール
主に米ぬか油や玄米に多く含まれています。特に米ぬか油はガンマ・オリザノールの豊富な供給源です。

2. ケルセチン
ケルセチンは玉ねぎに多く含まれることで有名です。他には、リンゴ、ブロッコリー、ケール、ほうれん草、**ベリー類(特にブルーベリーやエルダーベリー)**などの野菜や果物に含まれています。

3. アンセリン
アンセリンは、魚介類、特にマグロやカツオなどの赤身魚に多く含まれています。また、鶏肉の筋肉部分にも含まれます。

4. ベータ・アラニン
ベータ・アラニンは肉類、特に鶏肉や豚肉、牛肉に豊富に含まれています。また、魚介類(特にサケやタラなど)にも少量含まれています。

チャットGPTによる生成

3.エナジードリンクにはご注意

ここからは余談ですが、エナジードリンクと疲労の関係についてもご紹介します。

エナジードリンクを飲むと元気になるような感じがします。一方、エナジードリンクを飲みすぎて心不全で亡くなったという話もよく聞きます。

エナジードリンクには抗酸化作用のある栄養素が多く含まれており、疲労感を減少させる効果があるのは確かなようです。
肝臓におけるeIF2αのリン酸化を抑制し、炎症性サイトカインの産生を阻止するので疲労感を感じにくくなるというわけです。

しかし、肝臓以外の臓器(例えば心臓など)では、このリン酸化を抑制する効果は全く見られないということです。
炎症性サイトカインの産生を抑制する一方で、心臓でのeIF2αのリン酸化(細胞の停止)はそのままになるので、気がついたときには心臓が止まっているというわけです。

たまに飲むくらいなら良いのですが、エナジードリンクの効果を過信して飲み続けながら活動していると、いつか心不全で死んじゃうかもしれないというわけですね。
気をつけましょう。

参考図書・文献
近藤一博、疲労とは何か、2023、講談社

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