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協力って難しい・・・。こども食堂での経験(アベンジャーズから学ぶ)

1.理想の「協力」

 多様な能力や考えを持つ人が協力し、一人では決して生むことのできなかったパワーを創造する、これが私の理想とする「協力」です。

 初期アベンジャーズのメンバーを見ていきます。人間の身体能力マックスまであげた超人兵士、鉄のスーツを身にまとった飛べる男、ハイスペック女性スパイ、なんでも破壊する怪物、雷神、弓がうまいおじさんがいます。もうこの時点で多様性がやばいです。特に雷神と弓がうまいおじさんの落差たるや・・・。どう考えても雷神が強いでしょう。なんなら、アベンジャーズよりも雷神6人の方が強いのではないかと思ってしまいますよね。

 単純な「よーい、どん!」で始まる戦闘ならきっと雷神6人が強いでしょう。しかし、実際の戦闘には「セキュリティを解除する」、「索敵をする」、「避難誘導をする」、「チームを統率する」、など筋力で解決できない仕事があります。それを鑑みると、雷神6人よりアベンジャーズの方がチームとして強いのではないかと思います。

 要するに、アベンジャーズは多様な能力や考えを持つ人が協力し、一人では決して生むことのできなかったパワーを創造しているわけです。頻繁に衝突しますが、最後には大きなパワーを発揮して強大な敵を粉砕します。まさに多様性は力なりです。

 だから私もアベンジャーズを理想として異なる考えの人とも協力していきたいなと考えています。


2.現実の「協力」(子供食堂にて)

 私は子供食堂で学習指導員をしています。そこには小、中学生がやってきてその子たちに勉強を教えたり、一緒に遊んだりするのが学習指導員の主な仕事です。

 そこではミーティングの時間があり、学習指導員である大学生同士が意見を交換し、どのようにしたら子供食堂をより良くできるかを話し合います。そのミーティング中に協力の難しさを痛感しました。

 遡ること1年ほど前、私たちは中学生の学習指導に関するスタンスをどのようにするかで意見が二分していました。1つは「中学生の指導は静かに勉強がしたい子を中心に行うべき」という意見。そして、こっちは私を含めての意見なのですが「中学生の指導は何かしらの困りを抱えている子を中心に行うべき」という意見です。

 当時の子ども食堂の中学部の形態は、中学生は来てから帰るまで、ご飯の時間を除いてずっと勉強させるというものでした。ですので、教室内は基本静かであることが求められ、私語が多い子や、動き回る子は問題児扱いされます。そんな中学部に不登校気味のTさんがやって来ました。Tさんはすごく活発な子で、先生や他の子供たちと積極的にコミュニケーションをとりたがります。その結果、Tさんは問題児的な扱いをされるようになりました。

 私はこの状況に少し違和感を覚えました。私は子供食堂の最も大きな意義とは、学校だけでは救うことのできない子供のセーフティネットとなれることだと考えています。具体的には無料でご飯を提供するのはもちろん、学校ではなかなか居場所を作れなかったり、学校の授業ペースについていけなかったりする子供に対して何かしらの支援をしていくことが私たちの大きな仕事だと。だから、私の考えに則るとTさんは最も支援をすべき子であるわけです。だから私はTさんと積極的に関わっていこうと決め、楽しく勉強ができるように、コミュニケーションを多く取り入れた勉強をしていました。

 そのような関わり方を続けていると、ある日のミーティング中にこのような指摘が出ました。「T.PuはTさんを特別扱いしすぎじゃないか」と。これに対して私は「学校で居場所を作れていないのなら、ここをTさんの居場所にしてあげたい」という趣旨の回答をしました。ここで生まれた意見の対立が最初に述べた「中学生の指導は静かに勉強がしたい子を中心に行うべき(以下勉強中心派)」と「中学生の指導は何かしらの困りを抱えている子を中心に行うべき(以下困り中心派」というものです。

 私は当初、勉強中心派の言っていることが理解できませんでした。「何で、学校での勉強や学校の雰囲気が苦手な子が多いこの場所を、わざわざ学校のような雰囲気にしていく必要があるのか」と思っていました。なので私は徹底抗戦の構えで話し合いに望んでいました。するとどうなったでしょう。お互い、どんどん感情的になってきます。今までのお互いに感じていた不満が爆発し、話し合いはわけのわからない方向に進んでいきます。最終的に意見は全くまとまらず、お互いが不満が残ったままその日の話し合いは終了しました。

 その後、私はめちゃくちゃ反省しました。冷静になると向こうの言い分ももっともです。ちゃんと勉強したい子からすると私とTさんのコミュニケーションはすごく邪魔なものだったでしょう。また貧富の差が広がり、親の経済状況によって学力にも差が出るという問題が発生している現状もあるため、勉強をしっかり行わせることでそのような現状の改善に貢献するという道もあります。だから私はお互いが納得できる折衷案を考えました。それは「勉強を集中してしたい子と、周りの先生や子供たちと話し合ったりしながら勉強をしたい子で教室を分ける」というものです。お互いの言い分をしっかりと反映した、良い案だと我ながら思いました。

 結論から言うと、その案は却下されました。「手間がかかるから」、「子供は楽な方に流れるに決まってるため、しっかり勉強する子供がいなくなるから」という理由でした。私はそのとき悟りました。この人たちはこれまでのやり方を変えたくないだけなんだと。私は同じ過ちを繰り返しました。また徹底抗戦の構えをとり、また同じような感情的なぶつかり合いになり、最終的には、話し合っても無駄だから今後話し合いするのはやめようみたいな雰囲気になりました。最悪の結果です。

 その雰囲気は今も続いています。

3.学んだこと

 タイムストーンがあったなら、徹底抗戦の構えをとった当時のT.Puをひっぱたきに行きたいです。まじで俺のバカ!!

 私を含め、日本人(勝手に一括りにしてすいません笑)は話し合いが下手だなと実感しました。日本は同調圧力が強く、多数派と同じ意見を持つことが求められるところがあります。だからいざ意見がぶつかるとどちらかが空気を読んで合わせられる人が大人だと言われます。そんな環境では話し合いの力がつきようもありません。だからいざ意見が衝突すると、片方が空気を読んで合わせるか、感情的な対立になるかの2択になりがちです。両方何も新しいものは生みませんし、後者に至ってはこれまでの関係すらも壊します。私はよりによって誰の特にもならない後者を選んでしまいました。

 話し合いを有意義にするには、まず「お互いが違う意見を持っているのは当たり前」ということをみんなが共通認識で持っていることが重要だと学びました。そしてお互いが違うことを認めた上で、主張で被るところはないか、妥協できるところはないかを探り合い、1つの意見だけでは到底たどり着かなかったアイデアへ進化させることこそが話し合いだなと、今ではそう考えます。

 先生になったとき、この視点をしっかりと子供に伝えられるようにしていきたいです。これからの時代、っていうかこれまでも、他人と協働して新たな価値や物を創造できる人が強いと勝手に思っています。「集団の知は孤高の天才に勝る?」的な名言があったと思いますが本当にその通りだと思います。総力では劣るアベンジャーズはサノスに勝ったんですから。私は自分が受け持つ子供全員をアベンジャーズにしてやりたいと思います!!

 やった!この記事書いてたおかげで新しい目標ができた!笑 
まじで書くって大事ですね^^。ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!

 


 

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