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エレン・イェーガーは間違っていたのか?〜ED「悪魔の子」を聴いて〜(⚠️進撃の巨人の終盤のネタバレを含みます)


○エレンは間違っていたのか??


 結論から言います。私は、

「エレンは間違っていた」

と思います。

 アベンジャーズシリーズの最新作、”エターナルズ”の登場キャラクターがこんなことを言っていました。

「大義のために人を殺すのは、最も愚かで時代遅れのやり方」

であると。

 そしてハンジさんもこう言っていました。

 「虐殺はダメだ!これが肯定されて良い理由があってたまるかっ!!」

 本当にその通りだと思います。どんな大義があっても、その過程で命が失われるのであればそれは大きな誤りであると私は思います。




 でも、でもですよ・・・。エレンだってそんなこと分かっていたと思うんです。自分が間違っているとわかっていても、愚かだとわかっていても大好きな人たちを守るため、自分の自由意志を信じて進み続けたんです。

 エレンは最初から、自分の行動を許してもらおうなんて思っていなかったと思います。「エレンが正しかった」なんて周りに言ってもらおうなんて思っていなかったと思います。

 自分が間違っていると分かっていながら、誰にも頼ることができず、進み続けたエレン・・・。どれだけ苦しかったでしょう。もしエレンに会うことができたら「よく頑張ったね」って言ってあげたいです。




 しかし、エレンに「よく頑張ったね」なんて言っちゃいけないんです。だってエレンは大きな過ちを犯したから。エレンは誰からも肯定されてはいけないんです。それは親友のアルミンやミカサにもです。

 心の中では「ありがとう」とか「お疲れ様」って言ってあげたいけれどそれを口に出すことは許されません。だってエレンは間違っていたから。


○この記事を書こうと思ったきっかけ


 進撃の巨人のファイナルシーズンが始まり、それに伴ってOP(オープニング曲)、ED(エンディング曲)が発表されました。

 昨日、何気なくYoutubeを見ていたら、その新EDがオススメとして出てきました。私はいつもEDは飛ばしてしまうのですが、昨日だけは不思議なことに「再生してみよう」と思い、再生してみたんです。

 


 再生が終わった時、私は涙を流していました。曲を聴いて涙が出たことなどこれまでなかったので自分でもびっくりです。この記事を読んでいる人はきっと進撃の巨人を最後まで読まれた方達でしょう。そんな人たちにとってこの曲はあまりにも刺さりすぎます。とりあえず、聴いてみてください。

 メロディーといい、映像といい、そして何より歌詞といい、本気で私たちを泣かしにきてます。

 サビの歌詞が以下のものです。

ただただ生きるのは嫌だ 世界は残酷だ それでも君を愛すよ
何を犠牲にしても それでも君を守るよ
間違いだとしても 疑ったりしない
正しさとは 自分のことを 強く信じることだ

 完全にエレン視点で書かれた曲です。きっとエレンはこのサビの歌詞のようなことを自分に言い聞かせながら「地ならし」を行っていたのでしょう・・・。

 きっと逃げ出したかったに違いありません。気を抜いたら自分のやっていることに耐えられなくなるでしょう。「自分の行為を許してほしい」という気持ちになってしまうでしょう。だからエレンは「正しさとは自分のことを強く信じること」だと自分に発破をかけ、進み続けたのでしょう。心の中では「自分は正しくない」と思いながら・・・。

 こんなことを考えていたら、どんどん悲しい気持ちになっていきました。だから「自分の気持ちを整理するためにnoteを書かなきゃ」と思い、今この記事を書いています。

 なんか文章に脈絡がないのも、感情をそのまま書き出してるからです。読みにくてごめんなさい😿


○エレンの行動から学ぶこと


 エレンのような存在は至る所に存在します。

 宇宙の不均衡を正すため全宇宙の生命を半分にしたサノス

 ドイツ復興のためユダヤ人を虐殺したヒトラー

 天下統一のため比叡山延暦寺を焼き討ちにし、多くの僧を虐殺をした織田信長

 みんな大義のために命を奪った者達です。この人たちの行いは決して肯定されてはいけません。

 しかしここに挙げている人たちの中にはエレンにように、そうせざるを得なかった背景があるのかもしれません。

 私たちはエレンのような存在を否定し、憎むことだけで終わってはいけません。エレンのような存在はある意味、この世界のバグを体現した者だと思っています。

巨人の力による差別と悲劇の体現者がエレン

エネルギー不足やそれに伴う貧困の体現者がサノス 

資本主義によるドイツの衰退、民衆の貧困化の体現者がヒトラー

戦乱の世の悲劇や殺戮の体現者が織田信長

彼らは世の中の何かしらの”バグ”を是正しようと立ち上がった者です。大義はあったんです。その結果として殺戮が行われてしまいました。

 だから私たちはこういった人たちから教訓を得なくてはなりません”バグ”が発生し、エレンのような存在が生まれないように・・・。

 私はエレンの行動は間違っていると思いますが、エレンの行動を無駄にしたくないとも思っています。

 今私たちの周りに”バグ”はないでしょうか?理不尽に虐げられ、不幸な思いをしている人はいないでしょうか?未来に希望を持つことのできない子供はいないでしょうか?

 それらを無視し続けるのは簡単ですが、きっと後で大きなツケとして還ってきます。

 「地ならし」の足音はすぐそこまで迫っているのかもしれません・・・。


 


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