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『チェンジ・ザ・ルール!』全体最適への指標を作れ!

『チェンジ・ザ・ルール!』エリヤフ・ゴールドラット 著

全体最適とは何か?経営と現場を結び付けて改善を考えるためにはどうすればよいのか?もしそういった悩みがあるのであれば、ぜひ本書を手に取ってほしい。小説でわかりやすく全体最適について学ぶことができるだろう。

全体最適を目指すうえで考えなければいけないことは多くあるが、今回はその一つである指標(KPI)について考える。

そのKPIは全体最適につながるか?

「すべての企業の目的は儲けることである」というのが前作『ザ・ゴール』から共通する作者(ゴールドラット)の考え。しかし経営目標は利益だったとしても、現場レベルでは利益を直接評価することが難しいこともある。

多くの組織では、最終目標である利益(KGI)を達成するため、現場レベルでプロセス評価の指標が用意されている。それがKPIだ。

KPIはKGIを達成するための手段であり、それ自体が最終目標ではない。だが、個別最適に陥っている組織ではいつしか目標と手段が逆転し、KPIを達成することが最終目標であるかのように扱われてしまうこともある。

あるいは、KPIを設定した当時は正しい指標を選択できたが、年月を経て見直しが必要になるという場合がある。

KPIの見直しは定期的に必要であり、KPIが組織の利益(KGI)と連動していることが前提条件だ。それができていなければ、経営と現場の相互連携は難しいだろう。部署貫通の最適化も同様である。

部署の相互理解と真の目標に向かって

具体的な例を挙げてみる。営業部署が花形であれば、顧客との契約数が注目されがち。しかしその後、サービスを施行することに関しては疎かになっていないだろうか?

また本書で描かれているように、製造現場部署と物流部署の対立などがも頻繁におこる事例だろう。製造部署がモノを作れば作るほど、物流部署の出荷が遅延するジレンマがおこってしまう。

いくらモノを作っても、エンドユーザーへ製品を無事に届け、カネを回収しない限り売上・利益に貢献しない。冷静に俯瞰できれば明白なことも、現場レベルではそれを見失いやすい。

現場ごとの部分最適を避け、組織全体の利益につながるように個人を促す。そのためにも適切なKPIは必要なのだ。

システムを導入した直後や、組織を再編した直後は、部署間のバランスが崩れやすい。これまでのやりかたや考え方を盲信するのではなく、部署ごとの目標を達成することが本当に組織の利益に貢献するかを常に考慮したい。

まとめ

前作『ザ・ゴール』で紹介された全体最適の教えを、より広範囲で適用すればどうなるかということを示したのが本書だろう。僕自身、かなり活用のイメージを膨らますことができた。

ただし、本書で紹介されていた改革はどうしてもご都合主義的な例になってしまっていた感じは否めない(小説なので仕方がないが)。本書のような華やかに大胆な改革を短期間で行うことはまずできないと覚悟している。

実際にはもっと泥臭い活動を時間をかけていくことになるのだろう。
決して華やかでなく、誰もやりたがらないが、だからこそ挑戦する価値があることなのだとも思う。

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